第三十二話-葬送-
(仕留め、切れなかった…?)
今現在自分が作れる最高限度の毒を注ぎ込んでも生きているクレープスを見て、絶望をする
ナリアは、毒への性質変化の副作用で、動く事ができない
そこにクレープスが近づいてくる
リヒトは、向こうで歌うクレープスへの対処に追われている
助けは見込めないだろう
5、6、いや、もっと居るだろう
クレープス達がナリアを殺さんとする
(嫌だ、ここで死んだら、守れない———)
ナリアには、母がいる
病弱な、一人だけの母
父は、ナリアが産まれてきてから直ぐに、死んでしまった
野生動物を狩りに森へ入って行ったその日、父は帰って来なかった
元々病弱であったらしい母の体調は、悪化した
母を守るためには、金が必要である
金、金、金、金が無いと、母は生きられない
母のためなら、私は何だってできる
私は、少しでも早く稼げるように、幼い頃から、働き始めた。その頃から、鍛錬を続け、腕を磨き、傭兵団に入った
それも、稼ぐため、母と生きる事が出来たなら、他には、何もいらない。無駄。
そう考えたナリアは、人を避けて生きてきた
本来は、寂しがりやのただの少女
母が病弱でなければ、ただの少女として、おとなしい人生を送り、安定した職に就き、結婚をし、生涯を終えていたであろう
だが、こうなってしまった
母親は、悪くない 世界が、悪いのだ
また、世界は邪魔をするのか
こんなところで、死にたくない——
迫り来る攻撃にナリアはどうもすることも出来ない
———ぐしゃ
何かが潰れる
私じゃない
目の前を見ると、先程まで唄うクレープスと相対していた、リヒトが目の前でクレープスを蹴り潰していた
「——リヒトさん?」
「ナリア、大丈夫?」
どうやら、歌うクレープスから私までの一直線上に居るクレープスを全て薙ぎ倒して来たらしい
「あ、ここだと危ないか…どうしよう、」
そこに
「———ここが敵の本拠地か…!」
ぜえぜえと息を切らした傭兵団の男が、この戦場に辿り着く
「あ、すみません!この子が今動けないみたいなので、安全なところに運んでくれませんか?」
リヒトが男に声を掛ける
「え?」
男が驚く
「別にそれは良いんだが、そっちは大丈夫なのか?」
男が目の前に広がるクレープス達と、リヒトを交互に見る
「えぇ、大丈夫…だとは思います、ですが一応、誰か戦える状態の人と出会ったら、こちらに増援を頼んでくれませんか?」
「ふむ、了解した。」
男が動けないナリアを抱え、戦線を離脱する
「さて…」
リヒトが一人、大量のクレープスと、歌うクレープスに相対する
(———足の骨の一本は折れると思ってたけど、意外と効果はあったんだな…あの訓練)
先程ナリアを助ける時に技巧を使用したが、ローレルとの訓練のおかげかは不明だが、骨は折れず、少し痛むほどで済んでいた事に、自分のことながら驚愕する。
(ここからは、短期決戦かな。)
この墓場による最後の戦いが始まる
最期にこの地に眠るのはどちらとなるのか———
———ヒュンッ!!
リヒトの技巧により、クレープスが次々と倒れ、死んでゆく
(出来るだけ、被害は最小限に、)
恐らく、歌うクレープスによってクレープスにされたであろう死者を丁重に斬る
しかし負けじと、クレープス達も歌によって団結を強める
それは、主を、◼︎◼︎◼︎◼︎を守るため
じきに、彼女は死ぬ
だが、その忠誠心…いや、操られているだけかもしれないが、ともかくそれは、◼︎◼︎◼︎◼︎が歌い終えるまで続く———
『———Si sam sie csiptevre letilr betrd.』
墓場に、静かに歌声が広まる
それは、かつての恋人に向けて歌った———恋の歌
『———Si dod nodet knedow yedro.』
リヒトが、次々とクレープスを薙ぎ倒し、近づいてゆく
『———Serndotomse ledver tod yedro,retght sereer ser yedro.』
小鳥が、囀っている
それは、朝が近いことを示している
『———Yedro sir sie letilr betrd def frerdodem.』
そして、段々とクレープスの動きが弱まってゆく
『Spresdom wetings secrodess sie skie ronsereern.』
リヒトが、異変を感じ、手を緩める
『Sieter,si wes bodern tisider sie csager.
Sieter,si wes nodet bodern todgerther wisth yedro.
Sieter,si cesn nodet mert yedro.』
劇毒により、ゆっくりとクレープスの細胞が壊死し始める
『———Revern sid,』
クレープス達が完全に動きを止め、地面へと倒れる
いつの間にか晴れていた霧の隙間から陽光が差し込まれる
『Si witll codnternurer tod yedro.』
『———Sodmerdasy, tit witll surerely pasy doff.』
体がパラパラと塵と化してゆく
そして陽光と溶け込む
『Si berliterver———』
その場には、クレープスになる前、身につけていたであろうペンダントのみが遺されていた
ルビむずい




