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旧・夢幻のアルデモース  作者: KANAR1024
第二章-狂気は夢に沈みゆく虚星なり-
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第三十話-墓場に広がる少女の哀歌-

静寂に包まれていた墓場に、喧騒が広がる



右、左、前、迫り来るクレープスが、素早く斬りつけられ、後ろから飛んでくる矢に貫かれる


そうして、一体、また一体と、クレープスを倒しては、いる


だが、どうしても歌うクレープスの元に辿り着けない


(おかしい、蘇ったクレープス達に、意識がある様子はない。なのに…連携が取れすぎている…)


不気味なほどに連携が取れたクレープス達によって、何度も、何度も歌うクレープスへの道を塞がれる



その連携の理由(わけ)それは———


「———あの歌か…!」


歌に合わせて、クレープスが動き、邪魔をするのわかる



(技巧を使えば突破できるだろうけど、負荷が高いし、後が怖いな…)


どうしたものか…リヒトはそう考えていた


「———♪!!」


その時、クレープスの動きが変化を見せる


攻撃態勢に入ったのである


(動きが変わった…?)


歌が激しくなる

その歌声は鋭く、より尖ったものとなる


歌声が、空気を震わせる


だが、そこにもう一つ、風を切り裂くものあり。


矢である


ナリアによって放たれた矢は、歌うクレープスをしっかりと捉えているが、蘇ったクレープス達に防がれる


だが、それも計算のうちである


「guoooooo…」


矢を受けたクレープスたちが、次々と倒れてゆく


ナリアの技巧は、応力の性質を毒に変えるというもの


筋肉弛緩の毒を乗せた矢は次々と放たれる


クレープスたちが倒れていくも、まだ届かない


(鬱陶しいですね…)


「リヒトさん、もう少し数を減らしてください。」


「了解。」


リヒトの攻撃が、より激しくなる

少しづつ、少しづつではあるがクレープスが減っていく

だが、まだ、まだ、


再び地面からクレープスが湧き出てくる


だがその姿は、湧き出てきたクレープスよりもずっとボロボロで、痛ましい


「キリがないな…!」


(やっぱり、技巧を使うしかないか…)

クレープスの大群が、リヒトにそう思わせていた頃


「リヒトさん、少し、良いですか?」

ナリアから作戦会議のお誘いが来る


「どうしたの?」


「私は、今から()()()()()を出します。でも、その間は動けません。なので、守ってください。」

淡々と指示が出される


「あぁ、わかったよ。」

作戦に了承したリヒトが攻撃の態勢を取る


「ところで、それってどれくらい時間がかかるの?」


「わかりません、頑張ってください。」


「…上等!」


再び迫り来るクレープス達を斬り捨てる、だが、援護が無くなったので、先程よりも勢いが強い


(これは…本気を出さないと不味いか…)


今度は、少しづつ技巧も織り交ぜる

出力は、控えめに


なんとか、暫く耐える


(あと、どれくらいだろうな…)

と思った頃———



毒は、薬にもなる

視神経に集中されたその毒は、眼球を刺激し、感度を高める


その狙いは、歌うクレープスへと、


今までの中で一番強烈な、毒を込めた矢を放つ


その矢はクレープスの大群の隙間を縫って、進む、進む




矢が、命中した


強い目眩と、脱力感、それと苦しみによって、クレープスの歌が止まる

墓場に静寂が帰ってくる


はずだった。





『あぁ、この痛み、苦しみ、前に味わった事がある…あぁ、あれはあの時…』

少女は嘆く


『そう、だったわね…イェイルは———あなたは死んでしまったのね…』


少女に、毒は効いていない

否、効いてはいるのだろうが、死には至らない


『——ねぇ、イェイル、あなたを亡くしてしまったら…私はどうすれば良いの…?』


少女のクレープスが、再び歌い出す



死で分たれた、恋人への哀歌を———




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