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夢幻のアルデモース  作者: KANAR1024
第二章-狂気は夢に沈みゆく虚星なり-
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第二十九話-夜の墓場-

◼︎応接室にて


「これで、全員集まったわね。」


応接室に、依頼のメンバーが揃う


「それじゃあ、事前に決めたチームを作って、グルーゼリヒスに向かいましょう。」


リヒトは伝えられた人物を探す

「えっと、君が、今回のチームメンバー…かな?」

「はい。そうです。私のことは、ナリアと呼んでください。」

白髪の少女が、そっけなく返事を返す


「そうか…僕のことは、リヒトって呼んでくれたらいいよ。」

「わかりました。今日はよろしくお願いします、リヒトさん。」


そっけないなぁ…と思いつつ、挨拶を終わらせたリヒトは、グルーゼリヒスへの道を進み始める



「ナリアは、どうして、傭兵団に入ったの?」

「私ですか?私は、お金が欲しかったんです。」

「…」


話が続かない


あまり話しかけ続けても迷惑だろうと思い、リヒトは静かにグルーゼリヒスへの道を進むことにした


そして、着いた


「どうもどうも、あなたたちが傭兵団の方々ですね?本日は宜しく頼みます。」


「えぇ、こちらこそ、宜しくお願いします。」


墓守と、セリーナが互いに挨拶を交わす


「それでは、その時の情報を詳しく教えていただけますでしょうか。」


「わかりました…初めてあの現象が起こったのは、丁度クレープスどもが王都を襲ってから、1週間後のことでした。

あの時、私はいつもの様に墓の周りを巡回していました。

しかしその時、薄暗い霧が段々と周りに満ちてきて、ふと耳を傾けると、何か歌う様な声が聞こえてきたんです。そして、それが何だか心地よくて、歌が聞こえる方に向かってしまったのです。

そして、霧の先に人影が見えた時、霧が晴れ、その人影も、歌も消えてしまったのです。

それから、毎週金曜日の夜、謎の歌と、人影が現れるようになったのです。」


「成程…それでは、本日の夜に合同で調査をする…ということで宜しいでしょうか?」


「えぇ、傭兵団の皆さん、ご協力感謝申し上げます。」


そうして、墓場の調査が始まる

本番は夜だが、まだ明るい今のうちに、何か痕跡がないかを探すという流れだ


各々チームに分かれ、痕跡を探す、が、


「うーん…ナリア、そっちは何か見つけた?」

「いいえ、何も。」

「やっぱり…夜が本番か…」


結局、どのチームも何も見つけられずに、夜が近づいてきた


「あぁ、そうだ、ナリア。」

「どうしました?リヒトさん。」

「君は、どのくらい戦えるの?」

「少なくとも、リヒトさんよりは、強いと思っています。」

「えっ」

(結構、厳しいなぁ…)


そうして、夜が来る


「———っ!」

辺りが霧で包まれ、視界が悪くなる



『——————♪—♪———♪——!」


微かに歌声が聞こえる

そのメロディーは一見、明るく、楽しそうに聞こえるが、逆に寂しさも感じさせる

とにかく、それが調査対象には間違いない

そして、この広大の墓地の中で、一番それ(人影)に近いのはリヒトたちであった


「行こう、ナリア。」

「はい。」


人影の、すぐ近くまで近づく

気づかれないように、ゆっくりと



だが、歌が、止まる


『———イェイル…?イェイルなの…?』


(———っ!気づかれた…!?)


『…そう…違うのね…』

女の声から落胆と絶望を感じる


『イェイル…何処にいるの…?私…ずっと…』


『どうして、私を置いていったの?』


周りの霧が少し晴れる


そこには、ドレスを着た可憐な少女がいた

その瞳には、涙が浮かんでいる

それと同時に…灰色の髪と、黒くひび割れた瞳が、こちらを覗いていた


(クレープス…!?)

リヒトが状況を認識する、と同時に、歌声が響く


『————♪———♪—————♩』


先程とは違い、その歌は、哀しみに溢れていた



地面が、揺れ、割れる


そして、その下からは…埋葬された者の一部が、クレープスとなって現世に蘇る


それが、死者への冒涜であるかは、死者本人に、聞くべきであろう



(死者がクレープスに…?どうしたらそんな事が…)


「リヒトさん、こっちに向かって来ますよ。」


ナリアの言葉の通り、複数のクレープスたちが二人を襲う


「この様子だと、他の場所もこんな感じだろうね…」


「はい。私もそう思います、ですが、恐らく原因はあのクレープスでしょう。

と言うことは、殺せば止まります。」

ナリアが弓と矢を取り出す


「私は、後方から援護をしますので、リヒトさんは、前衛を頼みます。」

「あぁ、わかったよ。」

リヒトが、ナイフを取り出す


———第一楽章、開幕


『———♩—————♪—♪———』


少女は歌う、ただ一人のために


『私が…いつかあなたを見つけ出して見せます———』


恋する少女の歌声は、何よりも透き通っていた


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