第十四話-剛力と研鑽-
「ォォォォォォォォォォゥラァ!!!!!」
「ッ!」
剛力のクレープスから拳が降ってくる
かろうじてアティスが避ける
その拳の威力は、クレーターとなった地面からすぐ予想ができた
「これは…まともに当たったら死ぬかな?」
アティスの額から汗が滲み出る
(あの分厚そうな肉体…僕の剣で切れるといいけど…)
そう考えながらアティスは剣を抜く
「…手加減してくれたりしないかな?」
「はァ?するわけねェだろうがァッ!!!」
先程よりも、強く、速い拳が迫ってくる
が、
「ゥオォッ!?」
突然アティスに拳を掴まれ、受け流される
そして身体がぐらついたところを剣で切り裂く
「う〜ん…流石に骨に響くね。」
しかし、斬られたクレープスにダメージを負った様子はない
(くそ…斬っても効果なしかよ…!)
「ォイ、テメェなにしやがッたァ?」
「種明かしは君が死んでからしてあげるよ!」
「アァ?もうどうでもいい、ブッ殺してヤるよォッ!!!」
近くの岩が軽々と持ち上げられ、砕かれる
「テメェの力でこれが受け流せんのかヨォッ!!!?」
クレープスが投球の姿勢をとる
「ゥラァ!!!」
とてつもないスピードで石の礫が飛んでくる
(速いっ!でも、受け…流す!!)
なんとか受け流し、前を見る
「ゥラァ!!!!!!!」
「ぅぐっ」
すでにこちらに飛んできていた拳を寸前で少しだけ受け流すも、ほとんど当たり、吹き飛ばされる
「なんだァ?大したことねェじゃねェか!」
クレープスが倒れたアティスに近寄る、と
「はっ!」
「何ぃ !?」
素早く飛び上がったアティスが首を掴み、剣で切り裂く
「グゥゥ…」
しかし、致命傷には至ってないようだ
「硬すぎるでしょ…!」
「テメェ…やったなァ?」
「テメェテメェテメェテメェテメェテメェテメェテメェふざけんなよォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!」
剛力のクレープスが激昂し、凄まじい雄叫びを上げ、暴走を始める
クレープスが地面を捲り始めた
「はぁ!?」
地面が捲れ、土が露わとなるそして
「ウラァァァァァァァ!!!!!!!!!!!」
地面を振り回す
「はぁ…?そっちの方こそふざけんなよ…!」
アティスが使う受け流しは、力の流れの理解が肝となる
それは、力が強すぎる団長に追いつくための技
そして、団長レベルの腕力なら流すことができる
しかし、流石に限度があり、それは…
(これは無理だ!力が大きすぎる!)
アティスは咄嗟に回避を行う
「あァ?避けたな?避けたなァ!!!つまりこれはくらうッてことだよなァ!?」
クレープスの動きがさらに速く、さらに力強くなる
「ほらほらァ!!受け流してみろよォォ!!!」
(これは…やるしかないか)
アティスは息を吸い込み、覚悟を決める
「おい、あんた!」
アティスがクレープスへと話しかける
「あァ!?なんだよ!?」
「頭を使わずに振り回し続けても…一生当たらないよ?」
「ッ!テメェェェェェェェェェェェ!!!!!」
激昂したクレープスがこれまでで一番強く振り下ろす
『ズヅァン!!!』
辺りに土煙が立ち込める
「あァクソ…怒りが収まらねェ、だが、死んだだろ。」
「死体を粉々にしねェと収まらねェ」
そうしてクレープスはアティスに近づくが、
『ヒュッ』
「あァ!?」
瞬間、土煙の中からアティスが飛び出す
(無傷だとォッ!?)
「やっぱり君は…頭が足りなかったようだね!」
アティスが拳を構える
無論、攻撃を防げた理由は、技巧にある
彼の技巧は、ヘフレチール…限度なく攻撃を吸収し、放出することが出来る技巧である。
一見強そうに見えるが…
(ぐっ!)
アティスが歯を食いしばり、技巧を発動させる
『ズガァァァァン!!!』
「一体…何…がァ?」
突然とてつもない衝撃をくらい、顔を半壊させたクレープスが倒れる
しかし、
「痛ッツ〜〜〜〜〜!!」
そこには右腕を粉々に骨折させたアティスがいた
彼の技巧…ヘフレチールは、攻撃を放出する時、吸収した攻撃の倍のダメージを受けるのだ。
故に、彼は緊急時でしかこの技巧を使わない
しかし、今回の戦いを勝利したのは、紛れもなくアティスだった
「ぐっ…僕は一度離脱する!みんな…!後は任せたよ…!!」
「了解です!」
一仕事を終えたアティスは、一度応急処置をしてもらうために拠点へと戻る
その途中で…
(…あ、あの意識持ちのクレープスの名前聞くの忘れた…まぁ、いっか)
そうして剛力のクレープス…フエルテは名前も知れず、敗北したのである。
フエルテさんかわいそす




