第十二話-騎士の精神-
「今日はミラー襲撃に向けた特別修練を行う。具体的に言うと、俺とお前達で模擬試合を行う。」
騎士団の集会で、フォートが宣言をする。
「「えぇ…」」
どうやら騎士達は不満らしい
「団長、技巧の使用ってありなんすか?」
騎士の一人が団長に質問を投げかける
「あぁ、具体的なルールを言うと、技巧の使用、武具、装備の使用は可能だ。」
「それ一番きついやつじゃないっすか…」
「まぁ、ミラーに対抗するためだ、仕方がない」
「準備しろ。」
騎士達が自分の装備を取りに行き、準備を始める…
一人だけ残った団員がフォートの方を向く
「なんだ」
「楽しみたいって気持ちもありますよね?」
「…さっさと準備をしてこい。」
彼はやはり戦闘狂であった
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「さぁ、何人でもかかってこい。」
試合が始まり、騎士達が束になってかかってくる
フォートはまずどの攻撃,誰が今の自分にとっての脅威となりうるかを見極め、優先順位を決める
そしてそこを順々に攻撃していく
まずは右方向にいる男の剣を叩き落とし、蹴りによって攻撃を食らわせる
次に、後方から殴りかかって来ている男の拳を左手で受け止め、そのまま右手で腕を掴み投げ飛ばす
そして仲間達が一瞬で吹き飛ばされ、身をたじろいでいる者達に駆け寄る
剣で攻撃をしてこようとしているが素手で受け止め、武器ごと吹き飛ばす
そうして一連の動きの中、一人の青年が背後から駆け寄り、フォートにナイフを刺そうとする
『ガキィンッ!!!』
ナイフはフォートの剣によって防がれる
フォートは鋭い攻撃をして来た者の顔を見た
「…なんでここにいる?」
「稽古をつけてもらいに、ですよ。」
そう答えた青年…
リヒトはナイフを構えた
「今日は団員達に稽古をつける日だったんだがな…まぁいい、かかってこい。」
二人は向き合い、お互いの武器を構える
二度目の試合が始まる
先にフォートが動きだし、右手に握られた剣をリヒトに振り下ろす
前回とは違って、木刀ではなく、本物の剣だ
リヒトは振り下ろされた剣を左に避け、ナイフを右腕に突き刺す…と見せかけてフォートの顔に目掛けて回し蹴りを食らわせる
フォートは少し怯んだものの、すぐにこちらを掴もうとして来たのでリヒトはすぐに避け、再び構えをとる
「前回と比べると、かなり強くなったじゃないか、だが…!」
フォートの体に紋様が浮かび、先ほどくらわせた顔の傷が癒えていく
「今回は技巧の使用が許可されている…さらに、禁止事項もない、前回のようにはいかないぞ。」
「上等です…!」
今度はリヒトから仕掛ける
ここでナイフの加工式技巧が発動される
それは少し力が物足りないリヒトを強化し、補助を行うもの
それ単体は単純な効力ではあるが、学生時代、技巧・応力学の頂点であったレオンと、アルマの手によってその出力は最大まで高められている
その効果とは、事前に思い描いた軌道への攻撃を補助するという、単純で、扱いやすいもの。
それ故に…
リヒトはフォートへとナイフを向け、下から斬り上げる
そこにフォートは剣を振り下ろす
が、その攻撃には技巧の補正が加わっている
故に、通常のリヒトでは敵わず、叩き切られていたはずの剣を弾き返し、鎧を斬りつける
「何‥?」
予想外の反撃に一瞬フォートの動きが止まる
リヒトはその隙を見逃さない
補正のかかったナイフがフォートの鎧を襲う
だがフォートは騎士団団長である
その称号は並の人間には与えられず、数々の人々に認められたものにしか与えられない
それはそのまま強さを表している
もちろん、彼もただの人間ではなかった
「フンッ!!!」
フォートは前に、ナイフが向かって来ている前方方向へと動き、加速しきる前のナイフを体で受け止め、リヒトの腹に力強い打撃を加える
強い打撃によって吹き飛ばされたリヒトはなんとか堪えるも、フォートはすぐさま剣を拾い、追撃をかける
「仕切り直しです…!」
リヒトは一度離れ、攻撃を逃れようとする
しかし、本気を出したフォートはリヒトを逃さない、
進行方向に剣を投げ、道を塞ぐ
そして近づき…
「終わりだ。」
剣がリヒトへと振り下ろされる
その時、リヒトが動く
今までとは比べ物にならない程の速度でフォートの後ろへ
そしてナイフを突きつける
「終わりです。」
そうして今回の試合はリヒトの勝利となった
「前回試合した時より、随分と強くなったじゃないか」
「いえいえ、今回はフォートさんも手加減してくれていましたし…まだまだですよ。」
そうやってリヒトは微笑む
そしてリヒトを見送ったあと…
「ん…?」
フォートは何かを思い出す
「なぁお前達」
「…」
フォートが団員達の方に振り返る
「お前達との試合は終わってないぞ」
「………」
「さぁ、戻れ」
騎士達の気持ちは一つのものへと収束する
((帰りてぇ…))
その日は騎士団の修練場から常に何かが投げられ、叩きつけられるかのような轟音が聞こえ続けていたという
そして…その付近にはボロボロになった騎士達が多数発見されたようだった。
覚醒系主人公
…チートジャナイヨ




