再始動 2
取り敢えず目先の目標が決まり、結城結奏と共に屋敷へと引き上げてきた。
「ようっ!相棒」
「トーマス!」
そこには懐かしく、少し歳を感じさせるようになった相棒、トーマスの姿があった。
「カニアを任せきりですまなかった」
「言うな言うな。相棒だろリケ」
そう言って、大げさに手を振る。
「そうだ。ついでに紹介してしまおう。結城結奏だ」
私と共にいた結城結奏をトーマスの前に押し出す。
「結城結奏。こちらが明日からお前の先生になる。私の最強の相棒のトーマスだ」
「嬉しいね。最強だなんて……トーマスだ。よろしくな」
「結城結奏です。よろしくお願いします」
「積もる話しもある……。」
「その前に、リケ……に、結奏でいいかな?」
「はい」
「リケに結奏。会わせたいやつらを連れてきている。俺たちの拠点まで来いよ」
「おぉっ!楽しみだ。すぐに用意する」
「私も」
「玄関ホールでまってるぜ」
◆
夕暮れに色づいた王都の中層市民が多く住む区画、そこを歩く四人の影。
私と結城結奏。それにトーマスとフィッツ。
さすがにフィッツを連れて歩かなければまずい。
「ここだ」
宿屋に見える建物だが、営業はしていなさそうだ。
しかし、トーマスは構わず中へと入っていく。
それに私たちも続いた。
「トーマス?……リケっ!」
「マジだ。リケじゃんか」
「フリーデリケ様。お元気そうで」
「お前たち……そこまで時間は経っておらんぞ」
「「あはははは」」
懐かしくはあったが、まだ、離れて二月も経っていないのだ。
元宿屋のロビーにいたのは、カニアの街の面々だった。
エギーユにガラハウ、アナベルにラトーラ。
「カニアの治療院は、どうしたのだ?」
「立ち上げた勉強会のメンバーと、教会の治療師が交代で見ることになったのさね」
「バレないように準備するのは、ほんとに骨が折れましたわ」
ラトーラはそう言って肩を叩く。
皆、五年前から準備を進めていたのだ。
それも、私の思惑の外で。
「カニアの街はオットーさんに、ハンスさんが仕切っていますので、大丈夫だと思います。親方に怒られながらやってますわ」
親方からしたら、ハンスもオットーも小僧扱いなんだな。
お父様もうかうかしていられなさそうだ。
「ここが俺たちの拠点だ」
「公爵様に許可をいただいて、治療院も準備でき次第開院しまして、街の情報収集も始めます」
「俺たちも外壁区画で顔を売り始めるぜ」
「ぜっ!」
「望んだものが、一気に揃ってしまったな……ははは」
「フリーデリケも、そんな顔になるのね」
結城結奏が、少し嬉しそうだ。
「それて、そちらさんは誰なんだい?」
「こちらは、王都で仲間になった結城結奏。召喚の聖女だ」
私の言葉に、ガラハウが異常と言えるほどの喜びを見せる。
「聖女ってことは、聖属性の回復魔法が使えるんだろ?」
「少しだけだけど」
「よっし。あんた、休みの日はここを手伝いなよ」
「ガラハウも回復ポーション飲みのみ、一人でやってきましたからね」
「私もいるのだ、ガラハウの負担は減らせるだろう」
「いよっし」
「それと、こちらはフィッシャー。私の従騎士だ」
「フィッツはトーマスとは面識がありそうだな」
「同じパーティでしたからね」
「まぁ、郷も同じて、腐れ縁というやつだな」
「積もる話もあるだろうが、まずは飯だ。飯にしよう」
その夜は、久しぶりの顔に囲まれ、今まで思い悩んでいたことがバカらしくなった。
最初からうじうじと悩まずに、こうして連れてきていれば良かったのだ。
王都の裏を制圧するのも、加速度的に速くなるだろう。




