表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役に生まれたのなら、徹底的に悪の道を貫いてやる!  作者: 鈴木ハルカ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
16/40

教会 1

 試験の後も王都に留まり、聖女召喚に関する調査を行うこととなった。

 調査を進める上で、まずは情報の収集をしたいのだが、手が足りないことに、頭を悩ませている。


 「お嬢……悩むなら、自分の部屋にしてくださいよ」


 別邸の騎士詰め所で頭を抱えていた私に、フィッツが苦言を呈してきた。


 「なんだ。私がいると不都合でも?」


 「不都合だらけじゃ!年頃の娘の前じゃ、脱ぎたくても脱げないだろが!!」


 フィッツだけではなく、他の若手の騎士たちも同様の思いがあるようだ。

 

 「そういうことか……評してやるから、脱げ」


 「そうじゃない」


 「分かった。分かった。お邪魔な私は……そうか」


 何を悩んでいたのだろうか、私が欲しいものを持っている人間が、そこにいたではないか。

 

 「分かったんじゃないのか?」


 私の言葉に眉をひそめるフィッツ。

 

 「フィッツ。王都で囲っている情報源は、どの程度ある?」


 そうだ。

 伝手がないなら、持っているものを使えば良い。

 何でも一人でやろうとしてはダメなのを、カニアの街で、オルグに、トーマスに、エギーユやガラハウたちを通して学んだことではないか。


 「藪から棒に……あぁっと」


 フィッツの前に手を広げて突き出す。

 

 「詳しくは私の部屋で聞く。着替え終わってからで良いから、後で顔を出してくれ」


 「残業かよ」


 勤務明けとなるはずだったのに、上司の娘に呼び出しを喰らったのだ、嫌な顔の一つもしたくなる。

 

 「そう腐るな。役得もあるかもしれんぞ」


 釣り針にちょっとだけ餌を付けてやった。

 

 「不肖、フィッシャー・ヒュルケンベルグ。着替えが終わり次第、出頭いたします」


 「よろしい。待っておるぞ」


 ◆


 コンコンコン。


 部屋のドアがノックされる音。

 それに反応して、自動的にハンネが動き出す。


 フィッツが訪ねて来ることは、既に伝えてあったのて、私への確認の目配せは無かった。


 「お嬢。話しってのは?」


 ハンネの応対を遮って、推し参ったフィッツだったが、その後ろで鬼の形相となっている彼女を知らない。


 「ハンネ。許してやれ」


 「お嬢様がそう仰るなら」


 「すまないな」


 「何がすまないんだ?」


 「よい。それよりも、そちらに掛けてくれ」


 お父様の執務室ほどではないが、茶会が出来るくらいのテーブルはある。

 私の向かいに座るよう、フィッツを促した。


 「話しなんだが、先にも聞いたように、お前の情報源を知りたい」


 「いくらお嬢の頼みでも、簡単には話せないぜ?」


 先ほど、詰め所では口を滑らせそうになっていたのに、今はもったいぶる。

 

 「教会関連」


 今、知りたいことを口にした。

 

 「?」


 何故それなのか、分からないと言った顔になるフィッツ。

 

 「裏の王都については自分でやる。急ぎで欲しいのは教会関連なんだ」

 

 「訳も分からずってのはな」


 フィッツは偉そうに腕組みをして見せた。

 

 「言うと思ったよ。他言無用で頼む」


 「貧乏クジ……引いちまったか」


 フィッツの溜息を無視して、陛下との会談で話した内容を、フィッツにも話した。


 「聖女ねぇ……眉唾なんじゃねぇの?」


 半信半疑と言ったところだろう。

 それに、聖女召喚なんて大事は、にわかには信じられないものだよな。

 

 「それが、事実だから頭を抱えとるんだろ」


 「そうだよな。でも、再来の聖女ってのは、何で召喚されたんだ?魔族領は落ち着いてるし、封印の柱も……。」


 口を滑らせたようだな。


 星メモの世界は、国同士の小競り合いもあるが、魔族との生存争いも存在しているし、魔獣と呼ばれるものもいる。

 そういった存在の脅威は、国も対応しているのだが、それだけでは手が足りないのも事実だ。

 そういった部分を、冒険者と呼んでいる存在が、討伐などを請け負ってくれている。


 そして、フィッツもそういった者たちとのパイプを持っていると踏んでいたが、当たりだったようだ。 

  

 「ほらな。お前なら、冒険者ともつながってると思ったよ」


 「……。」


 自分の迂闊さに項垂れるフィッツ。


 「と、なるとだ。召喚の理由は邪神が復活して、再封印が必要になったわけでは無いわけだ」


 封印の柱にも触れておこう。

 伝説の勇者のおとぎ話は、まるっきりの創作では無いことは、先にも触れたとおりで、邪神の封印は三百年前の聖女が行ったのだ。

 そして、封印の際に顕れたとされる石の柱。それが、封印の柱と呼ばれているもので、定期的に調査隊を派遣し異常がないかの確認を行っている。

 

 「じゃあ……。」


 「まぁ、待て。そもそも、そんな重大事を王室が知らないわけがないだろう」


 「言われてみれば、そうだな」


 「魔族領に動きがあれば、騎士団から調査隊を編成し、現地調査。その結果、必要であれば聖女召喚」


 大雑把ではあるが、国として動く流れだ。

 

 「そうなるのが普通だよな」


 「と、なると……。」


 「王宮派との力関係か……あぁっ!関わりたくねぇ!!」


 フィッツが政治関係だと気がついて、両手で頭を抱えた。


 「皿を喰らえば毒まで……共に喰らおうぞ」


 「ちなみに、ここからの撤退は可能でございますか?」


 「真相判明まで、地下牢で飼い殺しだな」


 にっこりと笑みを浮かべ、ドギツい事実を述べた。

 国家の運営に関わる重大事を打ち明けたのだ。腕利きの騎士とはいえ、情報漏洩の防止のためには、致し方ない。

 

 「ハメられた」

 

 恨めしげな視線を送ってくるが、役得に釣られたのはお前だよ。フィッツ。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ