異常
最近忙しくなってきました。
「君・・・今なんて言った?」
市からの突然の提案に渡は困惑した。
渡の困惑する反応を見た市は何が面白かったのかクスりと笑い
「だからね、貴方達の問題の解決を手伝いたいなって」
市は優しく微笑み、渡の目を見つめる。渡は思わず目を逸らしてしまう、
そんな渡を見た枠谷が話に割り込むように口を開く。
「手伝うのはいいが、その代わりアンタの目的だけは聞かせてくれ」
「貴方の質問に答えるの忘れてたね。私は貴方達の話を聞いてそのS級とやらを懲らしめたくなっただけだよ。それと正体って言ってたけど私は普通の女子高生だよ~」
枠谷は市に目的を聞く、市は優しく答える。
市の言葉に枠谷はニヤリと笑い、橘に小声で話しかける
『どうやら嘘はついていないようだぜ』
『!?・・・本当か?』
『ああ・・・俺の能力が
そう答えを出してるし、嘘じゃないみたいだ・・・だが』
「皆さん、お話を一回切ってこっち見てください」
枠谷と橘が小声で話しているとヒロが全員の注目を取るように声を出す。
全員がヒロのほうへ顔を向ける。いつの間にかヒロは椅子に縛られてる蜂須の前にいた。
「この蜂須って人、起きてるみたいですよ?」
ヒロはそう言いながら蜂須に指を指す。
指を指された蜂須は何の反応もないが、渡と橘は蜂須の近くへ近寄り、渡は蜂須のほっぺをペチペチと叩いる。枠谷は無言のまま流し台の水をコップで汲み、橘に渡す。ヒロは雑巾を持ち出していた。
余りの手際のよさに市は渡達がこれから何をするのか想像できていた。
水を渡された橘は蜂須の頭を掴み、水を顔面にゆっくりとかける。
だが蜂須からは何の反応もない。渡は無言のまま、自身の能力を使用し、手を蜂須の顔面に押し付ける。
「―あつっ!!―――うぎゃああああああああ!!」
「そんな演技はいつまでも続かないぞ?蜂須・・・だっけか?」
渡の能力「装着炎」の炎を直で顔に受けた蜂須は思わず悲鳴をあげた。
その悲鳴に渡は蜂須から手を離し、蜂須に対して呆れた表情を浮かべた。
(威力弱めたつもりだったんだが・・・本当に使いにくいなこの能力・・・)
渡は自身の能力の使いづらさは知っていたが、ここまで酷かったっけ?と考え込んだ
自身の能力を解除した瞬間、渡は市からの視線に気がついたが、それと同時に蜂須が全員を睨みながら声を出す
「お前等!!俺を拷問でもす「お前次第だな」
「もうすでに渡先輩が・・・なんでもありません」
蜂須の話す内容がわかっていたように橘が割り込んだ。
ヒロがツッコミを入れようとしたが渡から睨まれたのでやめた。
「この携帯、使っていいか?
断ったらどうなるかわかってるな?」
橘は冷たい声で無表情のまま蜂須に問いかける。
謎の威圧感と濁ったような目を向けられた蜂須は思わず頷いてしまう。
枠谷は心の中で(どうせ断っても使うだろうに・・・)と呆れ、ヒロはため息をついた。
渡はさっきから自身に視線を向けている市のほうをチラッと見る。市は渡を真剣な眼差しで見つめていたが渡と視線があうとすぐに逸らした。
橘は蜂須の携帯電話のアドレス帳を見る。
アドレス帳には色々な名前が載っていた。そのアドレス帳を蜂須に見せる。
「今から俺が質問した人物の情報を全て教えろ」
「・・・・・・」
橘からの質問に蜂須は顔を逸らして黙る。
その様子に橘は手で顔を抑えながらため息をついた。
「仕方ない・・・お前の恋人にでも聞くとするか」
「・・・は?」
橘の思わぬ台詞に蜂須は思わずマヌケな声をあげる。
「お、おい・・・お前また何かやる気かよ・・・」
枠谷が顔をしかめた。ヒロは少しだけ震えている。
市は笑顔は崩さずに疑問の表情を浮かべていた。
「橘くーん、大事になる事はやめてくれよ」
「お前!何をする気だ!!」
「た、達也先輩・・・す、少し頭を冷やしたほうが・・・」
「達也、落ち着くんだ・・・
蜂須、お前も手遅れになる前に仲間の情報を吐け!」
渡はヤケクソ気味で話しかける。蜂須は怒る口調で、ヒロは少し怯えながらも声を出す。
枠谷は橘と蜂須の両方を説得していた。そんな渡達の声を無視して蜂須の携帯をいじる。
その後、橘は自身の携帯で縛られている蜂須を写真に取った
蜂須の携帯から音楽がなり、橘が携帯を見る。その後、少しだけ笑みを浮かべ
「少し用事ができた・・・すぐ戻る」
「チョット待て!ホント待て!!」
と言いながら橘は足早に玄関へ向かった。
そんな橘を枠谷は追いかけて捕まえようとするが、橘は枠谷の行動を先読みしていたのか足を引っ掛けた
足をかけられた枠谷は見事に転んだ
「ぐおっ!?何をすんだ達也!!」
と言いながら立ち上がって橘に向かおうとするが、既に橘は渡の家の玄関前にいた
「かわいい女子をナンパしにいくだけさ・・・」
「ま・・・待ってくれ!!」
悪い笑みを浮かべた橘に蜂須は必死に声をかけるが、橘はそのまま出かけてしまった
枠谷も追いかける形で玄関を出るが、周りに橘の姿は無く舌打ちをした。
「凄い物騒な人だね・・・」
市は思わず声を出していた。
「達也はそういう人間だから」
渡も呆れながら思わず反応する。
「あんな危ない奴だけど仲間として信頼はできるんだ。裏切らないし、
実は仲間思いだし、汚れ役を自分からやろうとするからな・・・今回みたいな事も時々おきるけど」
「・・・ふーん・・・まるで暴走した軍人みたいだね」
「そういう市は暗殺者みたいな動きだったな」
誰も言わなかった事を渡は蒸し返すように喋る
市は顔色一つ変えずに笑顔のまま
「武術を嗜んでるからね」
とお気楽そうな声で返してくる。
そんな返事に渡は「あぁ・・・そう」と適当に流した。
その時
「おい、秋月」
蜂須は震える声を出し、渡と市、そしてヒロを見る。
「お前達の知りたい情報を全て話す・・・だからあの男を止めろ」
蜂須は突然の降伏宣言をした。
突然の事にヒロと市は「へ?」と声をあげていた。
「・・・いきなりどうしたんだ?
あの男って達也の事か?それなら断る」
渡は蜂須の提案を断った。蜂須の表情が驚きの表情へと変わる
「な、何故だ!!」
「何故って・・・理由は3つほどあるんだが・・・まず1つ、
さっきも見たとおり達也は忠告以外の人の話を聞かない。
2つに達也がお前の彼女を連れてくれば全て解決する。
そして最後は俺の個人的な理由なんだが・・・お前のその態度が気に喰わない」
「なんだと?」
渡のその回答に蜂須は表情に怒りが出る
「確かに人質が取る態度ではないよね・・・」
市は引き気味だが、渡の言葉に同意する。
それと同時にフォン・・・という音が小さくなった。
「A級の能力者様には自分の状況がわからないほどアホなのかね」
「貴様ッ――」
ドゴン!!
蜂須が何かを言おうとした途端、ヒロが能力を使用して蜂須の顔面を殴った。
ヒロの能力でせいで蜂須は椅子に縛られているのに5mは軽く吹き飛ばされ凄い音が鳴る。
「な、何を「なんかもうめんどくさいです」
殴り飛ばされた蜂須が混乱しながらもヒロに吹き飛んだ蜂須へ近寄り、拳を構える。
「こういうタイプの人間は痛めつけないとわかりませんよ?」
「・・・ヒロってこういう一方的な暴力は嫌いじゃなかったのか?」
ヒロが拳を構えたのと同時に枠谷が息を切らせて帰ってくる。
枠谷が橘と一緒に帰ってこなかったのを見た渡は頭を抱えてため息をつく
「達也には逃げられたみたいだな・・・どうしようか・・・」
「さぁな・・・もう俺には何も出来ん・・・」
「さぁなって、達也にメールか電話でもするかい?
でもちゃんと話聞いてくれるかな?」
「無理だろ」
「それより今はあれ止めなくていいのかな? 床がへこんでるけど」
渡と枠谷が橘をどうするかと相談していると市が話に割り込んでヒロを指差す。ヒロは一心不乱に蜂須を殴っていた。能力を使っているせいか殴るたびに鈍い音と共に床が凹んでいた。椅子は壊れて縄は千切れていたが、既に蜂須は気絶しており、泡をふいている。
「「・・・えっ?」」
それでも構わず無表情で蜂須を殴り続けるヒロを見て枠谷と渡は同時に声を出す。
「お、お、おいヒロ? お前な、なにしてんだ?」
あまりの出来事に枠谷は口をあんぐりとあけていた。
さすがの市も笑顔が崩れかけて苦笑いしている。
「おいヒロ、後で床直せよ?」
「大丈夫です。達也先輩に上目遣いでお願いすれば直してくれます。」
「しかし自転車といい床といい・・・今日はよく物が壊れるな」
動揺する枠谷と市と違いヒロと渡は冷静に会話をする
「ず、随分と冷静なんだね・・・」
「まあいつものことだからな」
「そ、そうなんだ・・・」
「まあなれただけだよ」
などと市と会話しながら蜂須を殴り続けているヒロの腕を掴む
ヒロは空気をよんだのか無言で蜂須から離れた。それと同時に橘が帰ってきた。
大きな黒い袋を背中に背負いながら
次回から渡の視点で始めようとおもいます。




