短き再会
ヒロはいきなり上空から自転車で蜂須を奇襲する。
蜂須は一瞬だけ思考が停止したが、無意識でヒロに向けて右腕を思いっきり振る。殺気を感じたヒロはとっさに自転車を踏み台にして横へ飛んだ。
自転車は三つにわかれて壊れる。それを見たヒロは冷静に
「斬撃を放つ能力?・・・いや・・・違う」
蜂須の能力を考察し始める。
(こいつはたしか……御手洗ヒロだったな……)
ヒロの姿をしっかり確認した蜂須は再び右腕を縦に振る。振った瞬間ヒロは蜂須の斜め横へ潜り込むように移動する。その後
「動きが遅いですね・・・」
余裕の表情で蜂須に殴りかかる。
殴られそうになった蜂須は焦りながら叫ぶ。
「四属性の爪・風!」
技名を叫んだのと同時に蜂須の爪が明るく光る。
それと同時に斜めから潜り込んだヒロに高速で左腕を振るが、ヒロは自分を殴り、能力を発動して後ろに吹き飛ぶ、ヒロがいた場所の道路に鋭い物で切ったような跡が5つできる。
ヒロは自分の口からでた血を拭い、
「なるほど・・・四属性の爪ですか・・・リスクは能力名を叫ばないと発動しないとかですか?・・・自然系ですね?」
ヒロは蜂須に質問する。
蜂須は深呼吸をして冷静になり、ゆっくりと答える。
「やはりばれちまうか・・・お前の考えは大体あってる・・・」
「そうですか、貴方が自然系でよかったです。面倒な戦いにならなくて済みますからね・・・それに・・・」
ヒロは淡々と喋りながら思いっきり拳を握る。
ヒロの拳からフォンという謎の音がなった。
「渡先輩みたいなタイプでなければ、私の 単純一途と相性がいい」
「自分の能力を簡単に喋ったりするんじゃないぞ、それとヒロ……周りが空き家が多いからってあんまり派手にやるなよ」
渡が会話に割り込み、自宅からでてくる。
そして3つに分かれた自転車を見た渡は顔をしかめ、蜂須に指を指す
「後で君が弁償してくれよ?」
渡は蜂須に自転車の弁償を催促をした
それと同時に隣の空き家であるはずの家から女性が出てくる。
「・・・そこにいるのはもしかして渡君?」
女性は街灯の明りに照らされ姿が見える
明りで姿が見えるようになった女性は私服姿の藤原 市だった。
ヒロは市を見て思わず頭の上に?マークが浮かんでいるだろうとわかる表情を浮かべる
渡は頭をかきながらこの状況をどう説明しようか考えていた。
「何かが落ちる音と大声が聞こえたから外の様子をみたんだけど・・・これってどういう状況なのかな・・・」
「ああ・・・えっとなんというか・・・」
渡が答えにくそうにしていると
市はさっきまで戦闘を行っていたヒロや蜂須に地面の傷、壊れた自転車を見る。
状況を理解でもしたのか市は重々しく口を開く
「ここって・・・日本だよね?紛争地域じゃないよね?なんでこんな漫画みたいなことしてるの?」
「この地域では割と普通です」
「・・・」
市が困惑しながら俺達に質問するとヒロはドヤ顔で返事をした。
その返事に市は笑顔は崩さないが少しだけ引き気味の表情になる。
その時、蜂須は市が立っている方向へ全力ダッシュする。
ヒロと渡は反応が遅れ、追いかけようとするが、蜂須は市の腕を右腕で掴める位置にいた
次の瞬間、渡とヒロの耳にべキャッという鈍い音が聞こえた。
無表情の市が蜂須の曲がった右腕を掴んでいた。その後、蜂須が悲鳴をあげようとしたが、
その前に手馴れた手つきで蜂須の首を曲げた。鈍い音がなり、蜂須は泡を噴いて倒れた。
無表情の市は倒れた蜂須を見ながら感情の篭ってない声で
「だめだよ・・・人質を取る前によく相手を観察しないと・・・」
「・・・市、お前殺したのか?・・・」
市の感情の篭ってない声を聞いた渡は恐怖を覚えながらも話しかける。
渡に声をかけられた市は無表情からすぐに笑顔にもどし
「うん?殺してないよ、ただ右腕を折って気絶させただけ
そんな話よりなんでこんな事になってるの?渡君は何かしたの?」
笑顔を向けて初めて校門で会った時と同じテンションで話す。
市の手馴れた行動と張り付いたような笑みを見たヒロは市に対して最大限に警戒しながら渡の前に立つ
それと同時に枠谷と橘が原付に二人乗りで渡の家に到着する。
「おい渡、こりゃあどうなってんだ?
たしか尾行していた奴は一人だったんだよな?」
原付を止めた枠谷は渡の前に立つヒロ、目の前の市と倒れている蜂須を見てから渡に質問する。渡は一瞬だけ困惑したが、すぐに冷静になり
「京輔、達也、そこの女子生徒は巻き込まれただけで倒れてる男が尾行犯だ。
詳しい説明は俺の家にそいつを運んでからにしよう」
枠谷と橘に簡単に説明した渡は市に声をかける。
枠谷は「見たことの無い女子だな」と市を見て呟き、倒れている蜂須を渡と一緒に持ち上げる。橘とヒロは渡と枠谷を守るように後ろに回った。
「市、こんな事になった以上、君にも話すべきだな・・・君が今からでも大丈夫だというのなら一緒に来てくれないか?」
と渡は自宅を指差す。市は「うん、今からでも平気だよ」と笑顔で返す
倒れている蜂須を枠谷と渡で自宅に運び、蜂須を縛る
ヒロと橘はこの時もずっと市を警戒していた。




