道案内と暇つぶし
この学校、聖栄南学園高等学校は敷地が凄く広く、その広さは移動をバスや電車で行うほどである。
能力があること以外は普通の高校生である秋月渡は恩人とも呼ぶべき教師、坂本 実先生の頼みで転入生の迎えと案内をしていた。校門前で1時間半近く待っていると転入生 藤原市と出会う。
とりあえず坂本先生に頼まれた通り、職員校舎へ案内をする。目的地へ向かうため、
職員校舎行きのバスへ乗る。そこで市と少しだけだが会話をしてお互いの名前を教えあう
色々と謎の多い人物だが、渡はそれを探る気はなかった。
「職員校舎はここだ、後は受付に坂本先生を呼んでもらうんだな」
職員校舎を入った渡は足を止め、そう言いながら立ち去ろうとする。
「さっきから思ってたけど本当に広い学校なんだね~」
市は渡の話を無視して職員校舎の中を見る。
話を聞けと渡は言おうとしたが、目を輝かせて周りを見る市を見てやめた
「俺はもう行くからな」
渡は市に背を向け職員校舎を出ようとする。
出口に向かう渡を見た市は携帯電話を取り出し
「渡君、電話番号とアドレス交換しない?」
上目遣いで渡にアドレスと携帯番号を聞いてくる。
面倒くさがりな渡は断ろうとするが、笑顔とその行動に負けてしまった渡は断れず携帯を見る。
メールが1件届いていたが無視して電話番号とアドレスを市と交換した。
電話番号とアドレスを交換した市は上機嫌で
「また近いうちにでも会いましょう」
と言いながら受付のほうに向かっていた。
市は綺麗な笑顔のままだったが、俺から顔を逸らすときに一瞬だけ無表情になった気がした。
よくわからない人だな・・・あんまり信頼しないでおこうと警戒した渡だった
職員校舎から出た渡はメールを見る。メール届いた時刻は12時52分と書いてあった。
差出人は同じクラスメイトで仲間の枠谷 京輔からだった。
メールの内容はいつもの呼び出しでいつもの第3体育館に手の開いている奴はいますぐ集合とのことだ。
いつものただ集合してただ駄弁るだけの集まりだろう
まあ行かない理由もないし、そもそも暇だから行くのだが
「わかった。今すぐ行く」とだけ書いてメールを送り返し、第3体育館に向かった。
言い忘れていたがこの学校の建物の数は150は軽く超える。
町と言うには小さいが、それでもこの学校は広すぎると思う。
俺も1年の頃はかなり驚いたり迷ったりしたものだ、未だに入ったことのない建物もあるくらいだし
体育館なんか11個もあって一つ一つが馬鹿みたいに広い
俺はその一つの第3体育館に向かっているわけだが、何故俺がそんな所に行くのかと言うと
そこがEランクの・・・落ちこぼれと言われる集団 通称「ユースレス」のメンバーで幹部の一人だからである。
この学校には能力者の級があり、6つの級と能力の系統が5つある
Sが最高でA B C D そして最低のEと能力の強さと成績で評価をつけられている。
植物や液体、動物などの自然の力を操る能力 自然系
自分の肉体や機械、動物を強化又は変化できる能力 強化系
感覚、感情操作やテレパシーなどを使用できる能力 精神系
重力や圧力などの物理法則を操る凄い能力 法則系
時や次元などの因果律に関わる事ができる凄くレアな能力 因果律系
俺は自然系能力者で能力名は「装着炎」自分の腕から炎をだし、それを纏わせる能力
温度はある程度までなら調整できるのだが、如何せん量が少なく調整できる温度も最大で中火くらい、しかもその最大火力を纏っている間は少しだけだが自分にも火傷のダメージを負うという欠点がある。
まあ切り札と言わんばかりの能力も一応あることにはあるのだが・・・
成績も悪いのにこんなショボイ能力の俺は即効Eランクになり、それまで仲良かった能力者の親友達や幼馴染にまで蔑むような目で見られて一方的に縁を切られてしまった。
まあもうどうしようもないことなのでしょうがないと割り切っている。
それに前と違い、今の俺には仲間がいる。こっちの方が大切だ。
色々考えているといつの間にか目的地についていたようだ。
入り口付近に10人くらいでたむろってるメンバーの一人が声をかけてくる。
「渡さん!中でみんな待ってますよ!」
「ああ、わかった」
声をかけてきた奴に渡はそう返す
それと同時に入り口でたむろってるメンバーが道を開けてくれる。
渡はそのまま第3体育館に入った。
「随分と遅いな、渡。遅くなるなら遅くなるとメールしてくれよ」
中に入ると早速、渡に対して声をかけてくる奴がいた。
染めたような荒い金髪でシュガータブレットをくわえているのが特徴的の渡の悪友 枠谷京輔だった
渡と同じ10人しかいないユースレスの幹部の一人で渡と同じ落ちこぼれの部類だ。まあ実際落ちこぼれだけしかいないのかと言われればそうでもないが……
「しょうがないだろ?メール見たの届いた30分後だったんだから……そんなことより何か情報でも掴めたのか?」
渡は遅れた理由を話すのと枠谷が呼び出した理由を聞いた。
それを聞いた枠谷は頭をかきながら
「まあ掴めた訳じゃないが・・・気になることがあってな・・・とりあえず来れる奴が集まったら言うからよ」
少しだけ気まずそうに喋る。
なんというか凄く言いたくなさそうな感じがした。
その空気を壊すように渡は枠谷に質問する。
「それはそうと他に誰が来るんだ?緊急の呼び出しじゃないから全員くるとは思えないんだが・・・」
「お前以外に来ると返信があるのは明智にヒロだな。行けないと返信あるのはリーダーに嘉保だな・・・他は返信ないし橘は携帯持ち歩かないからな・・・とりあえず50分まで待つことにした」
渡が他に来る人を聞くと枠谷は携帯を見始め、そう答える。
それと同時に渡は時計を見る。時刻は14時27分になっていた。
まあ他のやつらも忙しいのだろう・・・橘は暇だろうが・・・来る奴を待つとしよう
しかしただ待つのも暇なだけポケットにあるゲーム機で時間でも潰すか
渡はポケットにある携帯ゲームを取り出し
「京輔、時間潰しにゲームでもやらないか?」
「お?別にいいぜ!何のゲームやるんだ?俺はなんでもいいぞ!大体のソフト持ってるからな!」
渡は時間が来るまで枠谷とゲームで時間を潰すことにした。




