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必殺のグロース—最弱からの急成長―  作者: ヒラメキカガヤ
第八章 限界は打ち破られた
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90/128

Lv90 血筋

ようやく、私が何のために生きるか、その道しるべを与えてくれた。


「司馬っち」


司馬っちが死んでも、私はちゃんと、自分の足で歩いてるよん。


にしても…。


「文明玉ちゃんは司馬っちよりも太っ腹ぁ! 1人につき10万くれるって! ねね! すごいでしょ!? 司馬っちはケチだから1万しかくれなかったのにね! こりゃあよだれが止まりませんな、うほほほ!」


お金がっぽりじゃん!


もう300万は貰える計算だし、何に使おっかなー!


こりゃあ男も選びたい放題だな!


「へえ、お姉さん。いっぱい殺したんだね」


次の金成る木がとことこ、のこのこ、てくてくやって来たぞ!


目の前に現れたのは、なんともニヒルな女の子!


え。


でもさ。


「レベルのない子はお金になるかな?」


この子、レベルがない。


「戦地に迷い込みでもしたのかしら、子羊ちゃん? それにしては肝が据わってるし、武器も腰に下げてるし。うーん。とりあえず誰だか区別できないくらいに殺しちゃえばバレないか。半分の5万は貰っとこう」


「できるといいね、忍者のお姉さん。レイナ、結構強いよ?」


「へえ、いうじゃん! チミみたいな可愛くないお子ちゃまはお尻の皮がズル剝けて血まみれになっちゃうまでぺんぺん叩いてあげるんだからねっ!」


「それも実現できるといいね、元気なくノ一さん」


あれ?


なんか力が入らないな。


胸の内側がしおれていくみたいな。この実ったお胸が小さくなったわけじゃないから一安心…じゃなくてさ。


ああ、この子。


「Z地区の…藤井家の血筋?」


「ご名答。意外と知ってるんだね、子供っぽいお姉さん」


腰の機械からはおそらく不可視の高周波。効果範囲内にいる人間のエナジーを乱し、レベルを下げる。


おかげで『Lv8』になっちゃった。無能にお毛毛が生えたみたいな強さ。


「これからはもう、レイナの独壇場だから」


「へえ、いうじゃんいうじゃん! それくらいでへこたれる私じゃないんだからね! 死屍累々の獅子奮迅なんだから! 戦々恐々しちゃえばいいのよ!!」


Z地区の菱田レイナ。


噂通りの暗殺術。


相手の重心を見抜く洞察力。そこからの組み立ての早さ。


腰に付けた機械から伸びる、細いワイヤー。


あちゃあ、腕が捕まっちゃった。そのまま引っ張られちゃって…


「うぴゃあ!?」


顔を数発殴られる。


「まだあるの!?」


腹を蹴られ、後ろへと倒れそうな私をもう一度引っ張り、


「うげっ!」


回し蹴りが炸裂した。


思った以上に重い。さすがは血筋って感じ。


次喰らっちゃらまずいかもな。


「もういっかい…」


クナイを引き抜きワイヤーを何とか切除する。


「固そうな重心、でも意外と丸見えだったね。ほーら、悔しかったらその太りかけの身体で反撃してみなよ? ざぁこざぁこ♡」


「言ったな~! お姉さん! もうプンプンなんだからね! 激おこなんだからね! あとで謝っても遅いんだから! 脳みそも内臓も舌も性器もぜーんぶ取り出して食べ放題の焼肉にしてあげるんだから!」


子供だからって、なめてたよん。


本気出さないとまずい感じの逸材って感じじゃん。


それなのに。


「レイナ、あまり先走るでない。儂とともに確実に倒す。確実に生きて帰ってじぃじを安心させねばな」


「えへへ、ごめんねばぁば。ばぁばに負担かけたくなくてさ、つい」


「おおレイナ! お前はやっぱりかわいい孫じゃ! その可愛さは宇宙一じゃ!」


「もう、ばぁばってば言い過ぎだよ~」


なんか強そうなババアがきちゃったー!!


「さて、始めようかのう。手強いお嬢さん」


あのババア、菱田トヨコじゃん!!


これ私、死ぬかもしれないやつじゃん!!



△△△



この女、レイナとサシでやってるときは手加減してたってこと?


ムカつく。


それにこいつ、『狂人殺し(レベルダウナー)』の影響をほとんど受けてない。私の血筋みたいに、身体能力が本領ってこと。エナジーは単なるお(・)ま(・)け(・)ということか。


これがレイナの現在地。一日でも早く、ばぁばみたいになってばぁばを引退させたい。その私情を抑えろ。


自身のスキル『煙幕』から飛び出す女。狙いは…


「ババアの首、いっただきー!!」


黒々とした煙から、女が飛び出す。伸びる短刀が命中する直前に、ばぁばは反応して避ける。


「うげっ! これ避けるの!?」


「次こそは指を潰そうかと思ったが、なかなかうまいのう!」


「そういう世辞いらないから、鬼ババア」


ばぁばに悪態をつきながら再び濃い煙に溶け込む。


「いないいなーい」


声が後ろから。


次はレイナだ。


いや、待て。


今さっきまで声はレイナの真後ろにあった。でも足音はわずかにばぁばの方に寄ってる。


これは、フェイント!


狙いはばぁばの方。


「ばぁ!!」


横腹に激痛が走った。


「わあ、受け身、上手なのね! 受け身は(・)!」


また、蹴り飛ばされた。


「小股でトコトコした後に、大股でぴょーんて跳んで惑わしてみちゃった! チミは耳がいいから、まんまと引っかかるかなーって思ったら、ピンポンピンポーン! 大当たり! 当選! ビンゴ!」


長々と喋る女に針を投げる。後ろへ跳んで避けられた。


「ちゃんとチミのことも警戒(リスペクト)してるから。怒んないでよ~。さっきのお返しだからねっ、未熟な女の子! 次は顔面砕いた後に首を斬って、ホントに終わらせてあ・げ・る♡ …うおっ! こわ!」


「レイナの顔に傷を入れてみろ? 儂がお前の骨を全て粉末に変えてやろう」


「うわー物騒! 誰かにやったことあるような口ぶりなんですけどぉ!」


再び漆黒の暗闇へと潜る女。


「レイナ」


ばぁばがレイナを見た。


全てを察した。


続きを、ばぁばに言わせたくなかったし、ばぁばの口から聞きたくなかった。


もっとレイナが鈍感だったらよかったのにな。


「分かったよ、ばぁば」


足手まといの足を地面に弾いて、レイナは黒煙から抜け出そうと走り出す。


「ちょっとちょっと! 待ってよお嬢さん! チミは大事な人質なんだからさー!」


屈辱にも振り向かないし、来たる攻撃にも見向きもしない。


迫りくるクナイの刃先。


その柄をばぁばが蹴り飛ばす。


「邪魔すんなよ筋肉ムキムキババア! 死んじゃいてえのかぁ!?」


「あまりカッカするな、若輩よ。それなら手早く、お前が儂を終わらせてみればどうじゃ?」


分かってる。


レイナの役目は、奪還。


「ばぁば! またクソ雑魚お兄さんを一緒にいじめようね!」


「ほほ、そのつもりじゃ。寿太郎のバカが育てたバカなガキの性根を、今度こそ正道へと捻じ曲げてやらんとな」


抜けた煙幕。


精鋭部隊の死体と魔物の大群が増えている。


でも、


「おじゃましますよ、人外さんたち」


さっきの爆発で破れた壁から、無事、侵入成功。


血は繋がってなくても、ジュタ爺の、たった一人の息子。


お兄さんって本当に世話が焼ける。


レイナたちがいないと何もできないんだから。テリヒメお姉さんにも心配かけて、本当に迷惑な人。


連れ戻したらいーっぱい懲罰しちゃうからね、ダメダメのクソザコお兄さん。

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