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LV.6 結果を残す

「おめえら! 今日から新人が入隊するから、可愛がってやれよ」


金髪のヤンキーリーダーから紹介された『イエロースパーク』の部屋。


チームには、『フロア』と呼ばれる、5階建ての特別校舎の中の一つの階を与えられる。俺が今日から入隊するイエロースパークはそのフロアの4階に位置する。


その、我らが『イエロースパーク』のフロアは、汚かった。


漫画本やゲーム機、ダンベル、金属バット、ボロボロのソファー、食べ物のゴミなど、雑然と呼ぶに相応しい様子だった。


いろんなものが散らかっていて、お世辞にも綺麗なんて言葉は出なかった。


「あの〜、ここって、物置部屋ですか? なんで物置部屋に人が数人くつろいでるんですかね…」


「ここが、1番広くて綺麗だからな! 定期的に集まるのはここな!」


「あっ、はい」


マジか。


ここが、1番綺麗な部屋なのか。


その1番綺麗な部屋には、新人を勧誘するために集まったのだろうか、部屋の中には俺と轟先輩を除いて4人いた。


「ヒビキさあん、なんスカ? そのレベル1は?」


その中で1番に口を開いたのは、ひょろ長い体躯をした男だった。甲高い声で、新入りを非難する。不健康ですと紹介するかのように目元のクマが黒々しく深い。


「こいつ、最弱で面白そうだから拾ってきた」


「ケヘへ! なんスカそれ! キッショ!」


随分な物言いだ。


「へえ〜、ヒビキが面白がるなんて、素質があるのね」


ソファーに横たわっている女が、ゆったりとした口調で話に割り込む。


轟先輩を呼び捨てする同級生らしき女。轟さんと同じく金髪、髪型はショートボブ、切れ長の目とすっと綺麗な鼻筋から硬派な女性という印象を受けるが…。


「カワイイ顔。名前、なんて言うの?」


「あっ、藤井、カナトっす」


「へえ〜、照れてるところもカワイイのね。私の名前は長井リサ。リサちゃんって呼びな」


唇に付けた毒々しい紫色のピアスがその好印象を邪魔している。


そんな訳アリの 硬派な美人がクスッと笑みを浮かべる。


彼女のその顔をよく見ると、なんだか大人の色気があるようで、恥ずかしくなった。俺は目を逸らしてしまう。


「リサは俺の同期で、俺以上にバカだから、気軽に声かけな」


「ヒビキは本当に酷い男ね」


「同じようなもんだろ…(小声)」


感嘆する長井先輩を横目に、轟先輩が残りのメンバーを紹介する。

さっきのひょろ長い男を指差す。


「こいつは、2年の脇谷トミヒコ。親父が実業家でボンボンのボンクラ息子ちゃん」


「そりゃないっすよヒビキさん」


分かりやすくガッカリした態度を取る。ああ、でも、何となく育ちだけは良さそうだな。


「先輩は、以上だ。あとは外部から任務を受けている奴らが2人」


轟先輩が、上級生の紹介を終える。


ってことは。



「あとの2人は、お前と同じ。新人だ」


「えっ」


「1人は、試験が終わった直後、警戒するそいつの兄貴から無理やり拉致った。もう1人は、学年主任に無理言って上位者からかっさらってきた」


 明らかに物騒な手段を自慢げに語り、極悪な顔は嬉しそうに綻ぶ。


「お、ちょうどいいな。空気読めてんじゃねえか、ガキども」


外からドアが開くと、スカした野郎と小さい女が部屋に入ってきた。


「んじゃ、右から。こいつはお前も知ってる通り、今回の定期試験で3位になった」


上位者に選ばれた3位の男、上杉ユウト。真面目そうで温厚な見た目をしているが、頭上のレベルは13で、新入生の時点でこのレベルはかなり強い方だ。だから、学年で4位なんだろう。その事実が、俺にとってはやっぱり複雑だ。


俺と目が合うと、「よろしく」とはきはきとした声で挨拶をする。屈託のない、悪意とは全く無縁に見える態度は、中学生にしてはやけに達観しているようだった。


「お、おう、よろしくな」


この年頃で堂々としているから、呆気に取られて、思わずたじろいでしまう。


脇谷先輩ほどガリガリではない、程よい痩身と細長い手足、その手の細長い指先は器用さや丁寧さを連想させる。ツラは中性的で、気品を感じる美形。入るチームを間違えてしまったなと気の毒に思う。リョウが入団した『ブルーローズ』やもう一つの学内チーム『レッドフレーム』にも声はかかってるだろうに。同情するぜ。


「で、次」


一方の小柄な女。レベルは6。人見知りなのか。こちらに顔を向けずに体を縮こませてソファーではなく、教室から持ってきたような椅子に座っていて、彼女の茶髪しか見えない。


「み、水無月ルナです。よろしく、おねっ、がいします…」


白く、目のクリッとした丸顔が、俺に声をかける。依然、目線は合わせない。


喉から絞り上げたような、か弱い声で挨拶された。


「あ、ああ、よろしく」


こちらは別の意味で、呆気に取られた。



「以上だ。まだ、任務中でいないやつもいるけど」


轟先輩が続ける。


「レベル1のお前がどこまでやれるか、楽しみだな。度胸だけのクソガキ」


俺を試すような目でじっと見る。俺は、自分でも驚くほどに、堂々とした声が出た。


「はい、望むところっす」



リーダーだけでなく個性の強そうなメンバーも集まるチーム、イエロースパーク。


俺はここで結果を残す。


必ず、リョウに勝つ。


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