Lv43 ぴーんぽーんぱーんぽーん
「ヨウジぃ!」
「分かってますよ」
さすがと言うべきか、俺が生徒会長として隣に置きたい男・飽田ヨウジは、荒くれ集団随一の頭脳としての働きを見せた。
突然の爆音を口火に、校内に現れた大量の魔物。その中でも虎型の魔物『Lv40』を確実に仕留めるべく、飽田は轟の身体に的確な『エンハンス』を放つ。
強化スキルで最も困難とされる『他者への身体強化』。自身とは異なる身体能力、体質、体躯、身体の動かし方。
一寸でも狂えば、強化をかけられた方は体勢を崩し、あるいは本来の実力以下のパフォーマンスしか発揮できなくなってしまう。
それゆえに、強化スキルを持つ者が他者に対して強化を加えるのは、他者のスキルや武器など、間接的な部分のみ。
しかし、この男は躊躇うことを知らず、自分のリーダー本体へ最大限の強化を加えた。
「へへっ、これだよこれ!! 俺のこと分かってんじゃねえか! 分かりすぎて気持ちわりーけどよぉ!」
「筋肉バカは扱いが楽なだけですよ」
「んあ? なんか言ったか?」
「いえなにも」
自分より遥かに高レベルの魔物を前にしてもこの胆力。仲間を信用しているのか、それとも、生来の度胸による余裕か。
そして、
「お前は指咥えて見てろよな、オボロ」
轟のスキルは、飽田の強化を邪魔するはず。
しかしこの男もまた、才能。
「歯ぁ食いしばれよ迷子の虎ちゃん! あんまり時間ねえから、ワンパンで終わらすぜ」
『Lv40』に見合う速度で駆け寄る虎の頭を、
「オラァ」
極限まで強化された拳が貫いた。
「ふぅあー、気持ちいいぜ!」
天を仰ぎ、蒼い粒子と化した虎を味わい尽くした。
△△△
「ぴーんぽーんぱーんぽーん」
どーやら虎ちゃんがやーられちゃったみたいねー。まーた『レオ』のやつがガォーガォーうーるさいんだろーなー。
まーいーや。
今はー、ほーそーにしゅーちゅーしないと。チェーンのはーげもガーミガーミしーちゃうからねー。
「がっこーのみーなさーん。あーたしたちがウワサの『タナト教団』でーす」
こーゆーのって、あーたしの仕事じゃなーいよねー。
「A地区ちゅーがくのせーとさんに用事があって来たしょぞん的なー。たんとーちょくにゅーに言うとー」
えーと、ふたつだよねー。
「ひーとつはー、そっちのふじーかなとー、だっけー? れべる1の男の子の身柄をあーたしたちに明け渡すことー」
そーそー、これと、
「そっちのお月様ー、それかお日様の女の子のうちのどっちかをこっちに寄越すことー」
よーけんはこれでよかったわねー。
あーとは、こっちが本題〜。
「今言ったこと、1つでも守れなかったらー」
ああ、ニヤニヤしちゃうー。
「せーともせんせも、あーたしたちがみーんな、ぶっ殺しちゃいまーす♡」
喋りながら、身体中がほてってきちゃーう。
むーかし、いーっつもあーたしにイジワルしてきたあーいつらを、あーたしの粉で皆殺ししたときみたいにー。
「たのしーたのしー、文化祭の幕開けだよー」
ほーそーを切った。
もうちょーっと喋りたかったけど、チェーンに怒られちゃいそーだからやーめた。
『キシャシャ、こちらシャドウ。バカなお前にしては上出来なスピーチだったぜ! キシャシャ!』
「バーカはおーたがい様でしょー」
ぷくー、っと膨らませたほっぺも、みーせる相手がいないとむなしーなー。
『キシャシャ、こっちも任務完了だ。風の女と妖狐、その他100名。体育館に『影檻』発動済み。『レオ』の野郎と『チェーン』の野郎もこっちに配置済み』
「りょー」
無線からもー1人のおーとこの声。
『結構。反抗した生徒をチェーンと共に数名捕縛。拙者はコンフュと合流する』
「まーた仮面のおにーさんに刺されちゃったりしてー」
『冗談でも許しませんよ? もうあのような思いは勘弁願いたい』
ウェイトの泣き言にニヤニヤしちゃいながらー、窓の外のみどり頭と目があった。




