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LV.17 噂の

強靭な牙と俊敏な動きを武器とするハウンドドックの群生地帯にて。


「どうしましょう、紺野(こんの)リーダー。私のスキルで確認したところ、30匹ほど。筋肉量・エナジーの総量ともに、平均して1匹あたり『Lv23』の個体かと」


大斧を担ぐ五厘の生真面目そうな大男が高い図体から、フードを被った小さな女を見下ろす。


「ふむ、採用だな、大剛(だいごう)。では、さっそく囲い込みするかの。スキルを消耗するのはアタチだけでよろし」


学内3チームの中で最も攻撃力の高いと評される集団『レッドフレーム』。

そのリーダーである紺野ヨウコは、3年生のくせに小学生のような体つきながら、頭上に『Lv38』を表記する確かな実力を持つらしい。その小さな手で何らかのスキルを行使する。


直前に。


「任せろ!」


そんなもん知らねえよ!


こんなやつら、俺1人でぶっ飛ばす!


「おい! 止まれ! 『Lv1』の問題児!…『Lv1』の…なっ!?」


適当にスライム1匹をこっそり退治して、『Lv35』に仕上げてきたこの身体!


さすがにここまで『急成長』すると、少しだけ身体に負担を感じる。そろそろ筋トレも習慣づけないとな。


でも今は。


今は、そんなもん関係ねえ!


「くらいあがれ犬公ども! これが俺の必殺、『急成長』、だっ!」


群れの中心まで高く飛び上がり、そのまま落下攻撃。


真っ直ぐ縦に振られた剣から、レベルを持つ者特有のエナジーを爆発させて、周囲の犬っころどもを吹き飛ばした。


30匹相当の魔物たちが消滅した。


「どうだよ! これが俺の一撃だ・・・、痛っ!!」


「勝手に動くな、お前!」


『Lv1』にもどった俺は、暑苦しい坊主頭に頭を叩かれた。



△△△



遠征のちょっと前の日。


俺を無視して、真っ先にルナの方へとスカウトした生徒会。


忘れもしない。


昼休み。


廊下で嬉々とした目を放つ生徒会員。

目が合った俺は、まるで少年のように(実際に少年なのだが)目を光らせた。


俺もやっと世間から日の目を浴びることになるとは。


あの模擬戦闘を目撃したやつらが噂し、その噂がここまで伝播したわけか。


見てろよ。ヒビキさん。飽田のアホ。リョウ。ミツキ。


俺が全員残らず追い越してやる。


「そうです! 俺が噂の藤井カナト…」


あれ?


俺を素通りした先、小さな女の子を見つけて立ち止まる。


「水無月ルナさんだね? オボロ君…生徒会長の妹」


「えっ!? あっ、はい。ええと、あの、その」


急な接触に、動作不良を起こしたロボットのように口を動かす水無月。


「今度、生徒会とレッドフレームを主体にした遠征があるんだけど、君もそのメンバーに入れるようにって会長から話があるそうだ。生徒会室まで一緒に来て」


「…兄様が…きゃっ!」


歯に衣着せぬ物言いで、『Lv25』の生徒会員(弱そうな男)は水無月の手を引いて行く。


「あわわ!! た、助けてください、あっ藤井くん!!」


「藤井? ああ、あの藤井君か。どうやら生徒会はお呼びじゃないらしい。僕も彼はちょっと…ね」


「この野郎…」


どいつもこいつも俺を見下しやがって。


こうなったら無理やりにでもその遠征とやらに同行してやる。


そういうわけで、俺は勝手についてきた。

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