LV.15 あの時も
「やってやったぜ、このやろう…」
凄まじい衝撃の後に見えた景色に、俺は愕然とした。
息を荒げながら、どうだと言わんばかりに前方を見るレベル1の藤井カナト。
そして、生気を失い横たわる巨大爬虫類。
「ざまあ、見ろってんだっ−」
魔物が、光る粒子になって消滅するのを確認した後に、カナトは身体を仰向けにして倒れた。
結論から言えば、カナトは勝った。
俺たちが勝てなかった強力な魔物に。
△△△
役所の医療課員が教師らと共に駆けつけ、 毒ガスに苦しんでいた4人は、見違えるほどに回復した。
「彼女が毒の進行を遅らせていたのが功を奏した。場合によっては後遺症のリスクもあったな」と一人の課員が小柄の少女の力量を評する。
水無月が持つという『月のエレメント』は噂通りだ。防御・治癒・スキルによる特殊効果解除と幅広く能力を発揮するが、特に治癒に関しては、全属性の中でもトップクラスの性能を誇ると言われる。当の本人は、スキルを使い果たして疲れ果てているが、今回ばかりは助けられた。眼を閉じて倒れ込んだまま、なぜか「ごめんなさい…」と呟いている。
彼女にも、
そして、あいつにも。
ビルが倒壊し始めたことに気づいた頃には、もう遅かった。
上から、大量の瓦礫が降り注ぎ、下の階へ降りる階段を塞がれた。
まずい、このままでは。
なんてことは、もう思わなかった。
なぜなら、あの時もそうだったから。
強敵に立ち向かうあいつの姿を。そして、弱いことを自覚する勇気も持ち合わせていることを。
「お前ら! あまり無茶するな!」
レベル40の担任・藤岡が、穴の空いた壁から見える。大きな竜巻を操り外からこの階まで上がってきたようだ。




