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必殺のグロース—最弱からの急成長―  作者: ヒラメキカガヤ
最終章 必殺のグロース
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101/128

Lv101 知らない

この物語も終盤ですが、コメントお待ちしてます。

気軽にどうぞ。。。


―作者―

こんなところで終わってたまるか。


僕の任務は研究所の待機。


ボスが作り上げた設備。それを守ること。


「ツリー。根を張る準備だ。俺の『光』と合わせて、範囲攻撃を凌ぐぞ! ありゃあ喰らったらひとたまりもねえ」


「うるさい。今集中してるから黙ってろ。逃げたきゃ1人で逃げろよ、目標なく生きてるだけの負け犬」


ビビりのオーファンの指示なんか聞くかよ。いっつも死にそうになったら逃げる弱虫め。そうやって無様に生き延びてきたんだろ。


僕は違う。お前みたいな情けないおっさんにはならない。


広範囲の強固な防御が最大の強みだと、ボスは言ってくれた。


防御。


…。


それも気に食わない。


守ってばっかりじゃ強さの証明になんかならない。僕は勝ちに直結する攻撃力が欲しいんだよ。


ボスだって僕の真価を理解していない。攻撃力こそ、僕の最大の武器なんだ。


降り立った冷気。


あいつは確か、滝本リョウ。ボスが秘密裏に育てた伏兵。


どいつもこいつも、僕を差し置いて。弱かったくせに、ちょっと誰かに手伝ってもらって勘違いして、僕の前を歩いている気になるな。


「『即成長(アーリーグロース)・世界樹(ユグドラシル)』」


「おい、ツリー! やめとけって」


「だからうるさいってば! 黙ってみてろよ、雑魚」


僕だって、この一ヶ月半、何もしなかったわけじゃない。


レベルだって30は超えた。単発のエナジー出力だって、高層ビル3つをまとめて破壊できるくらいに鍛えた。


防御なんて、地味な仕事を押し付けるな。


才能は、開花するもの。


どいつもこいつも、僕を軽んじたことを後悔しろ。


種で巨大化した樹木。それを真ん中に寄せて、藤井カナトに放った時以上の一撃を…。


「消えろ」


滝本リョウ。


お前は『龍』にもタナトにも届かない、凡人だ。


僕こそが、正真正銘の…


…。


「なっ!!」


最大出力で放った光線。


「そんなの…そんなのって…」


それが、そのまま氷漬けにされた。


奥義でも何でもない。ただ、剣を軽く、横に薙いだだけの微動。


『深紅』との死闘に差し込んだ光線は、まるでハエのように払われた。


…目が合った。


「ひっ」と、息を漏らしてしまった。屈辱。


向けられた左手から、短く溜めたくせに僕の技の何倍もの出力を上げた『氷』の噴流が、雪崩のごとく襲い掛かる。


逃げられない。


速い。


もう、目の前に…。


まずい。


さっきの渾身で、防御に出力が回らな…


「ツリー! 伏せろ!!」


え。


目の前に現れた『Lv24』のおっさん。


『光のエレメント』を持ちながらも、怠惰で、向上心のない、意志の弱い男。努力ができない理由を、現実を見ている大人だからと割り切ったようなそぶりを見せて正当化する、僕が一番嫌いな考え方の男。


そんな奴が、


「『光防壁(セイクリッドルーク)!』」


精錬されたとは言い難い『光』を全力で展開し、『氷』の噴流を抑え込む。


「な、なにやって…」


「お前はまだ!」


男の横顔が凍り付く。全身も少しずつ凍りついていく。


「強くなる! 俺みたいな成長できないおっさんとは違う!!」


「な、お、おい。バカじゃないのか。だって僕は…」


お前のことなんて好きでも何でもない。子ども扱いしてくるし、大人の癖に弱いし、逃げ虫だし。


「俺はお前に期待している!!! だから!!!」


「おい、やめろよ」


「こんなところで死ぬな!! その才能! まだまだ全然開花してねえだろ!!」


「やめろって言ってるだろ!! おっさん!!」


なんでだよ…。


なんで目の奥が、熱くなってるんだ、僕は。


こんなおっさんのために、どうして顔がひくついている。


「早く…下がってくれ。俺の死が、無駄になっちまうだろ? カッコつけさせてくれよ…なあ、キノミ?」


「その名前は捨てたって、言ってるだろ…!」


身体が勝手に後退していく。


生存本能が、理性を追い越していく。


意味が分からない。


タナト教団に入って、離別した親のことを思い出している。なんで、今。


うまくいかなかった日。機嫌が悪い日。


毎日うざったいくらい、オーファンのやつが飯に誘ってきた。


「お…れは…あ…こがれてたんだよ…」


顔の凍結で呂律が回っていない。


「親子…みたいな関係…。バカだな、…そんなもん…俺が…手放しちまったのにな…」


こいつの事情は知らない。


なんで一度も聞かなかったのか。


こいつは僕のことを知っている。僕が何を目指しているとか、どういう理由でタナト教団に入ったか、とか。


僕は、自分の話ばっかりしたんだ。


「でも…お前と一緒にいれて…楽しかった…ぜ…」


『光』にひびが入る。


「キノミ…」


そして。


「おい! おっさん!」


『光』の球体のようなものに身体を弾かれた直後。


『氷』の噴流が、おっさんの身体を飲み込んだ。


その『氷』は、僕の方まで流れてくる。


僕はそれを、回復した出力の樹木で防御し、事なきを得た。


僕だけが、生き残った。


おっさんは、死んだ。


僕が、防御をしなかったから。


僕が、勝手に動いたから。


「うっ…」


ダメだ。


こんなところで。


「ぁぁぁ…」


涙なんか垂れ流してる場合じゃないのに。


「ごめんなさい…ごめんなさい…」


中途半端だ。


非情にも、謙虚にもなれずに、ただただ、泣くしかできない。


間違ってたのか、僕は。


反省したって、あいつは帰ってこないのに。


オーファン。


僕は、おっさんの本名を知らない。聞いたことすらもなかった。


もう、当たり前だけど、あのおっさんの口から聞くことすらもできないんだ。

『光』のエレメントは『月』の次に防御力と回復力が優秀です。


オーファンが真面目に鍛えてたら『序列・惨』くらいには余裕でなれてます。

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