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デスゲームで死んだらパラレルロボ世界だったんですが?  作者: 蒼井茜


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オーバーキル

 さてさて、大変面倒なことになったものの俺達が先輩の威信を背負ったという事実は変わらない。

 VR装置にギアを繋いで少し動かしてみれば現実と遜色ない動きと反動、これならばいつも通りの動きができるだろう。


「あー、テステス。そっちはどうだ」


『良好よ。悪くないわねこれ。流石にギアそのものを使うからシミュレーターみたいには使えないでしょうけど……岩壁を蹴った時の反動もしっかり来るわ』


『うん、こっちもいい感じだよ。やっぱり砲撃の衝撃はいつでもいいものだね。ずしんとお腹に響くよ』


 クリスと良平がそれぞれ答える。

 さて、東雲東京は……。


『きゃははっ! 爽! 快!』


『いいわぁ……このスピード感たまらないわぁ……』


 ハイ問題なし。

 クリスと良平がモニターの向こうで唖然としているがこういうもんだ。

 たまにいるだろ、ハンドル握ると正確変わる奴。


「じゃあ1回戦だが、作戦通りでいいな。おい東雲、調子に乗って持ち場を離れるなよ。右京も調子に乗って突撃するな。いいな」


『言われなくてもわかってるっての! そんな事もわからないの? ざーこ』


「お前より数段強いぞ、俺は」


『ぐぬ……』


 よし、メスガキは黙らせた。


『大丈夫よぉ。ちゃんと背中を追いかけるからぁ』


 色気陰キャも問題なしか。


「よし、じゃあ各自レーダーを共有。東雲の索敵と良平の狙撃範囲を常に意識して立ち回れ。俺が空けた穴に飛び込む際は敵の狙撃に注意だ」


『『『『了解』』』』


 とりあえず最初の相手は……北校か。

 堅牢な守りが売りだったな。

 去年までVR使ってなかったから機体を都度直さなきゃいけないという事もあり芽が出なかった学校だが、こうしてVRが導入されたことでオーバーキルもできるし、連戦もできるようになった。

 つまるところ俺達はやりすぎなほどに叩き潰さなければ最後のあがきで思わぬダメージを受ける事になるかもしれないという事だ。

 まぁ機体が壊れても次の試合では復活するとはいえ、パイロットのメンタルはそうもいかないからな。

 そこは精神的持久力と回復力が物を言う。


 ビーという開始の合図と共に俺とクリス、そして右京が敵陣に突撃する。

 スピーダーを背負っているから先頭を進めているが、少し遅れながらついてくるクリスは何なんだ……右京は戦闘機形態だけどあいつギア形態のままだぞ。


「接敵!」


 すぐに敵陣が見える。

 距離にして30㎞はあっただろうが、それを数秒で詰めたにもかかわらず陣が敷かれていた。

 これ、攻め込んできた奴を一網打尽にしてから陣形組んだまま突撃する腹づもりだったな?

 だがそうはさせん。

 所詮は5機、小隊規模となればいくらでも対処法はある。


「お邪魔しまーっす!」


 鶴翼の陣って言うのかね、そんな感じの防御姿勢を見せていた中央のギアをスピードを緩めることなく蹴り飛ばす。

 ツクヨミ改も少し軋んだが、俺専用にほとんど別物に作り替えてるんだ。

 この程度じゃびくともしない。

 ……そろそろツクヨミ改じゃなくて新しい名前にした方がいいかもしれんね、玩具箱の方で得たデータとかこっちに還元してもう完全に別物に仕上がってるし。


『せやあああああ!』


『えぇい』


 クリスと右京がそれぞれ両端の相手を切り捨てた。

 さて追撃と思ったところで戦艦からの砲撃。

 流石に避けないと危ないのでランダム回避運動を開始したところで何かがキラリと光り、レーダーに反応があった。

 これでもかと言うほどのごんぶとビームがさっきまで俺達のいたところを通りすぎ、残っていたギアの1機を焼き尽くしたうえでその直線状にあった敵戦艦の装甲をあぶっている。

 ……良平の狙撃、というか砲撃だな。

 しかもこれ、いわゆるゲロビじゃねえか。

 確かに厚い装甲を持つ敵、例えばベヒモスみたいなデカいインベーダーを装甲無視して中身焼くのに便利な武器だが……対人戦になると恐ろしいな。

 このまま続けば装甲が熱量を受け止めきれず飽和してぶち抜かれて、そのまま内部を焼き進んでいくだろう。

 かといってギアじゃこれを受け止められないのは既に見ての通り。

 じゃあ最後の一機片付けて終わりにするかと思ったところでドローンによる射撃で敵機の両腕が肩から爆散して地面に落ちた。

 ちょうど俺達が切りかかると同時だったので、相手は何もすることができず俺達3人に無残にオーバーキルされた形になる。


 ……おっと、そういや最初に蹴り飛ばしたのが残っていたなと思ったら100を超えるドローンが未だ倒れて動けなくなっている機体を集中砲火していた。

 あれ、中身気絶していたかもしれないのにギアも跡形もなく溶かされてしまったようだ。

 同時に戦艦からも爆炎が上がる。

 ……まーだビーム照射してたのか。

 いや、悪い選択肢じゃないからいいけどさ。

 というかよく見たら良平の機体、戦艦とケーブルで接続してエネルギー充填してやがる。

 そりゃエネルギー切れを起こさないわけだ。


 オーバーキルを何回重ねたかわからんねこれは、とか思っていたらビーと試合終了の合図。

 まぁ……こんな物だろうと思いながらコックピットを出れば北校の連中が泣きながらコックピットから出て行って、一人は担架で運ばれていった。

 ごめん、俺が蹴り飛ばした奴だよな……死体蹴りになって本当にごめんな。

 でも実戦じゃよくある事なんだ。

 許せ、北校。

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