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デスゲームで死んだらパラレルロボ世界だったんですが?  作者: 蒼井茜


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完成

「完成を祝って!」


「「「かんぱーい!」」」


 ひとまず目途が立ったというだけで実際は完成ではない。

 まだリアクター積んでからの運用やブラッシュアップが残っているのだが、スケジュール的には余裕がある。

 そのため一度息抜きの機会を作ろうという事になった。

 いや、今までの作業とここからの作業って結構肌感違うからさ。


「いやぁ……仕事に忙殺されるってこういう事なんだな」

「まだまだじゃない? 本職の人達ぴんぴんしてるわよ」

「体力つけなきゃなぁ……」


 年齢も性別もクラスも超えて友情が芽生えたメカニック科。

 仲良きことは美しきかな……あいにくパイロット科じゃそうはいかなかったんだよな。

 スサノオ作る際のシミュレーターで得手不得手がわかってきたのはいいんだが、みんな相手の苦手な戦い方をする、いわゆるメタ戦法を独自に複数編み出した結果内部でバチバチやっている。

 切磋琢磨していると言えば聞こえはいいんだが、SクラスがBクラスに負けるというシチュエーションも多くて下克上狙いの奴らと、そうはさせまいとする勢力でバリバリとはり合って毎日シミュレーターに籠っているんだよ。

 今一番立場が危ういのがAクラスで、下克上狙い狙われと言う立場だからあいつらが一番必至かもしれない。


 正直、正式採用にならないとしてもスサノオで経験した戦闘機形態の動かし方なんかは無駄にはならない。

 なにせ軍が可変機を挙って導入している所だからな。

 それ専用の戦法なんかも生れてくるわけで、基本的に「ギア」というくくりでしか見ていなかった学園側も体制を見直すかという話にまでなっている。

 いや、実際うざいよ?

 戦闘機形態でヒットアンドアウェイされるの。

 対処法はいくらでもあるとはいえ、それを実際にできるかは別だから。


「おやっさん、ほい乾杯」


「おう、一段落だな」


「だなぁ。あとはこいつをブラッシュアップするくらいか」


「その辺は任せておけ。もう授業に出てもいいぞ」


「そりゃ助かる。しばらく普通の学生やろうと決心した矢先だったからな」


「まぁ、それでも再来月には交流祭だ。ずっとと言うわけにはいかんだろ」


「……俺は出ないってのは無しかな」


「無いだろ。実戦経験有りのSクラスを遊ばせておけるような祭りじゃねえからな」


「ですよねー」


 交流祭とは名ばかり、実際は各地の有力なパイロット育成校が名を上げて軍資金を得るチャンスである。

 うちが貰ってるのは俺達特務隊のための唾付けと、そのために必要な資金であって学校の運営費じゃない。

 そこが大きな違いになってくるわけだが……。


「他の特務隊とかもいるのかな」


「いるぞ。例えば府中西高のSクラスは全員特務隊だ」


 マジか、意外と近場にいたわ。


「階級は?」


「全員が佐官だな。それ以上は知らんし、知ってても答えられん」


「そっかあ……」


 まぁ守秘義務もあるだろうし仕方ない。


「一つ言えるのは、そいつらは中学生の頃から特務隊だった」


「経験の差があるってことか」


「そうだ。すでに何度も死線を潜り抜けている」


「……そいつは、強敵だな」


 死線なんてしょっちゅうあるものじゃない。

 特務隊なんか未成年の学生を運用している以上、特に安全マージンを確保されているはずだ。

 その上で、死力を尽くしてどうにかと言うタイミングに出くわすのは相当運が悪い。

 だが生き残ったのであれば、運だろうがなんだろうが実力だ。

 そんなのを相手にするとなると……。


「特訓が必要だな」


「おいおい、まだやるのか? 正直こいつを使いこなせるだけで十分だろ」


 背もたれにしてたタスクを叩いておやっさんが呆れたような顔をする。


「使いこなしたところで、それは本人の技量じゃなくて外付けの装備でしかない。ギアでの戦闘ってのはまた勝手が違う。使っていいなら使うけど、向こうだって切り札があると考えておくべきだからな」


「そりゃまあ、そうだがなぁ……」


「なによりだ、クリスも良平も癖がついている。そこを修正するつもりはないし、むしろ伸ばすつもりだけど……苦手な相手に当たった時の事を覚えさせておくべきだと思うんだ」


「そういうお前さんはどうなんだ」


「俺は癖の塊みたいなもんだし」


「……確かに」


 納得するんだ……。

 まぁ普通のパイロットはメカニックとプログラマー兼任しないからな。


「最悪の場合を想定して、ツクヨミ改で月面みたいなところに放り出されても生きて買える自信はあるよ。うぬぼれじゃない。それがこの前みたいなベヒモスとの戦闘の後だとしても」


「まぁ、できるんだろうな。その辺は疑ってない」


「ただそれは生存能力に特化しているだけで、勝つことに特化してるわけじゃないんだ。そもそも勝ちに特化ってなんだよって話だけどな」


「生き残った奴が勝者に決まってるだろ」


「戦場じゃそうでも今回みたいなお遊びじゃそうはいかない。どっちかが負けるまで続けるわけだから」


「となると……もしかして自信ないのか?」


「いや、勝つだけならできるよ。殺さないようにするのに苦労しそうだけど」


 聞けば交流祭は見栄えも含めてギア同士の戦いを生で行うらしい。

 専用のスタンバトンなどの非殺傷装備だとしてもツクヨミ改のパワーだと装甲くらいぶち抜きかねないから困っている。


「今からお前さん用のスサノオでも用意するか?」


「それもありなんだよなぁ……と言うか時間的に大丈夫なん?」


「ありもので作れば今日中にでもできるぞ」


「今日は休ませてやってくれ。まぁできるのなら頼むよ。予備機は俺と凜だけ持ってないし、凜は換装でどうにかなるから実質俺だけだ」


「そうだな、そういうのもあった方がいいだろう。用意しておこう」


「頼んだ」


「頼まれた」


 コンッと、乾杯したエナドリ缶で乾杯してから一気に飲み干した。

 さすがのおやっさんも酒は入れないみたいだな。

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