おもちゃ箱
更に数日後、ついにリアクターも届きタスクと戦艦のブラッシュアップも進んでいった。
そうして完成に辿り着いた戦艦。
俺専用のスサノオも完成と相成った。
……まぁ、だいぶピーキーな造りにしたけど大丈夫だろう。
ちょっと上半身と下半身が分離して斬撃回避したり、脚部パーツや胴体パーツを爆弾代わりに射出できるだけで。
「さて、また乾杯と行きたいが……肝心なことを忘れているなお前さん」
「ん? なんかあったっけ」
「この戦艦、名前がないだろ」
「あぁ……そっか、タスクの方は名前つけたけどこっちはまだだった」
言われて思い出す。
そういやこいつ名無しのままだったな。
「こう、仮名とかなかったん? プロジェクトネームでもいいし」
「ないなぁ……戦艦とかタスク艦なんて呼んでたぞ」
「それじゃ味気ないし……牙を備えたファングでどうだろう」
「もうひとひねり欲しいな」
「じゃあブラッディファング、こいつに狙われたら血まみれになるって意味で」
まぁ、俺が知ってる大抵のインベーダーはこいつの火力なら対処できるだろう。
といってもボスクラス相手となると単騎だときついけど、タスク乗り回す俺達がいるなら話は別だ。
ギリギリ中堅までのボスなら俺達のチームだけでどうにかできる。
終盤のはきついかな、他の特務隊や軍の力を借りれば何とかってところか。
「まぁ、物騒な名前だが悪くない。ところで……お前さんのスサノオは本当にあんなのでよかったのか?」
「使い捨てにするつもりだから安いパーツで十分。元々ツクヨミ改って専用機あるんだし今更でしょ」
「そりゃそうなんがだ……メカニックとしてやっつけ仕事なのはどうにもな……」
「気になるならおやっさんの好きに改造していいよ。そうだな……俺専用スサノオ、あらためトイボックスだ。おやっさん達のおもちゃ箱にしてくれ」
「いいのか?」
「余程無茶な設計じゃなけりゃ操ってみせるさ」
「頼もしいねぇ。まだ試してない技術とか、普段なら絶対承認されない物とか積んでもいいんだな」
「俺は構わないから法の許す範囲で好きにしてくれ」
「現地はとったぞ……てめえら! 乾杯の前にこいつのスサノオ、もといトイボックスをいじくり倒すぞ! 誰でも関係ねえ! なんでもいいからアイデア出せ! 全部形にするぞ!」
「脚とか射出するならもっと爆薬詰め込みましょう!」
「ロケットパンチ! 浪漫追求しましょうよ!」
「いや、だったら目からビーム出そうぜ!」
「馬鹿、おっぱいミサイルだろ!」
「いっそギアに戦艦用リアクター積んでみるとか……素でスピーダーやタスク超える速度出せる機体作りたいな」
「「「それだ!」」」
いや、お前ら盛り上がり方よ……。
というかそれだじゃねえんだよ、スサノオの耐G性能なんかたかが知れてるのに……まぁなんとかなるけどさ。
「まったく、元気なもんだ」
「そういうあんたも元気そうね……」
「クリス、今日の分は終わったのか?」
「ようやく8割ってところよ……うぷっ……吐きそうだから一時中断してきたの……」
「そうか、じゃあ修行レベルを上げるべきだな。8割でまだ吐き気なら次の段階に行ける」
「は?」
「いや、今の特訓はレベル1だから。良平はもうレベル3やってる。凜は流石にレベル1の半ばくらいだけどクリスはもうレベル2行ってもいいだろうから……今までの倍くらいきついけど頑張れ!」
「……一発殴らせてもらっても?」
「できるのならどうぞ」
ぶんぶんと振り回している腕をひょいひょいと避ける。
いや、動体視力は元からよかったんだけど、身体が追い付くようになったのは面白いよな。
反射神経も研ぎ澄まされてるし、殴り合いの喧嘩なら勝てないまでも負けることは無いと思う。
「今耐えられるGはどのくらいだ」
「ギリギリ、16ってところかしら」
「最終的に30くらいは耐えてもらうから覚悟してくれ」
「潰れるわよ……というかそんなの血液が循環しなくてブラックアウト待ったなしじゃない」
「そうならないように身体を鍛えるんだ。それでも無理な時は専用のパイロットスーツで足を刺激して循環させるから問題ない。本人が血流以外の理由で意識飛ばさなければ上等だからな」
「……鬼」
「鬼も悪魔も対峙する側だな」
「そういうあんたはどうなのよ!」
「んー、素なら20は耐えてる。30はさすがにパイスー欲しいな。40になったらもう無理だ」
「あんたにも無理って言葉があるのね……と思ったけど普通に常識外れよ。普通7Gで限界なのよ?」
「そうだな、これは訓練と才能みたいなもんだ」
「……私もそれなりに才能あると思ってたけど、うぬぼれだったわ」
「そんな事はないぞ。クリスはしっかり才能持ってる。磨き足りなかっただけだ」
「……じゃあ今やすりで削られてるのは」
「ダイヤモンドカットしてるだけ」
「……もう少しましな口説き文句が欲しかったわ」
残念ながら俺にそんな甲斐性はないんだ。
諦めてくれ。




