改造計画大規模バージョン
こうしてぐっすり眠りにつくまで妙な時間を費やしたわけだが、翌朝爆音で飛び起きた。
朝から市街地で出していい音じゃねえぞこれ!
「なにごと!」
上裸で寝るのが日課な俺、そのまま飛び出して廊下で凛と鉢合わせる。
……こういうのって普通妹相手じゃなくてヒロインとかに見られるんじゃねえの?
下は普通にズボン履いてたからいいけどさ。
「……お兄ちゃん、結構いい体つきしてるね」
「おっさん臭いぞ、妹よ」
「それよりこの音なに!」
「俺が聞きたい! いや、聞きたくない!」
適当なシャツを掴んで階段を降りると母さんが何気ない表情で朝食を並べていた。
「あらおはよう」
「おはよう、じゃなくてこの音なに!」
「あぁ、駐体所が足りなくなったから増設しているのよ。2人も専用機あるんでしょう? せっかくだから母さんとお父さんもそれぞれの機体を持っておこうかなって」
「……そんなお金あるの? というかミササギは?」
「あれは自家用でしょ。戦闘用には心許ないもの」
妙なところで親子の縁を感じさせないでほしい。
この場合俺はゲーム内の経験があるから一人だけ置いて行かれた気分になる。
けど、間違いなく凜は母さんの子だな。
「お金も心配ないわよ。ちょっとお話したらいい機体を格安で譲ってもらえることになってね」
「それって叔父さん相手だよね……」
「やだ、そっちはお高いお肉を用意してもらう事にしたわよ。今日はすき焼きね」
「お、やった!」
肉は正義だ!
じゃなくて……。
「どのルートで手に入れるのさ……」
「まぁ、母さんの昔なじみよ。今はギャラクティックホワイトナイツカンパニーのCEOやってるの。その伝手で機体を譲ってもらえることになって、ついでに駐体所も拡張するのよ」
「拡張つったってこんな住宅地で……」
「地下があるじゃない」
なんてこった、我が家はついにびっくりドッキリハウスになってしまうのか?
古いアニメや特撮で出てくるような地下ドッグ付きの家に……いや、浪漫としちゃ悪くないか?
「ついでに避難シェルターもついてるわ」
「入口は?」
「キッチンに増設する戸棚を開くと出てくる仕組みよ」
「パーフェクトだ母上」
「いや、お兄ちゃんもお母さんも変なこと言ってないで……なんで意気投合してるの? 親子だからってセンスまで遺伝する必要ないでしょ」
おっと、今度は凜を置いてけぼりにしていたか。
しかし俺のセンスは母さん似だったか。
確かに父さんとはあまり趣味が合わなかったな。
「シェルターに、地下ドッグ、それにカタパルトも付けたから地下の方がこの家より高いのよねぇ」
「まじかぁ、趣味につぎ込んだと言えば普通の事かもしれないけど規模と金額が洒落にならないなぁ」
「そうね。けどそんな事より早く食べちゃいなさい。遅刻するわよ」
「おっと、いけね」
真面目な学生生活をと決めたんだった。
遅刻なんかしてられねえな。
「いや、お兄ちゃんそれでいいの?」
「なにが? 予算の範囲内で趣味の範疇、近隣の皆さんへの挨拶周りはしなきゃいけないけどそれくらいだろ。それにツクヨミ改とスサノオ持って帰れるなら通学が楽になる」
「そりゃまあ……確かにそうなんだけどさ」
「それに考えてもみろ、遅刻しそうになったら俺の操縦だぞ」
「お母さん最高!」
こいつそんなに俺の操縦嫌か?
安全運転しているんだがなぁ……耐Gシステムが脆いと訓練してないパイロットなら潰れるってだけで。
「お兄ちゃんの運転は乱暴なの」
「そうでもないぞ。ほぼ一直線に飛んでるだけだし」
「バードストライクとか避けるためにちょいちょい軌道修正して、そのたびに酷い事になってるからね?」
「マジで?」
「今度お皿吊るして水乗せて飛んでみなさい!」
「そりゃ普通に慣性の法則で水がこぼれるわ」
「こぼれないの! 普通はこぼしちゃいけないの!」
「でもそれじゃ急旋回も急停止もできないだろ。戦闘にならねえよ」
「ギアの基礎講習、本当に受けた……? あれ市街地で出していい速度じゃないから」
「ギアの速度違反なんて項目はないからな」
警察の御厄介になるのは面倒なのでその辺は調べた。
速度違反はないが、整備不良は一発免取である。
まぁ飛行機と考えれば納得の内容だったな。
あと酔っぱらい運転は一発ムショ行き。
誤射とかは整備不良扱いで、戦闘時の流れ弾はケースバイケースとなる。
まぁ最悪の場合危険運転致死となるらしいけど。
ついでに面白い項目だと改造機の爆音は免停だった。
音速以上で飛んでるから各家庭の防音設備って凄い豪勢になっているんだが、この工事はそれも突き破ってきたな。
まぁカタパルト設置なら致し方あるまい。




