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デスゲームで死んだらパラレルロボ世界だったんですが?  作者: 蒼井茜


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お話合い

 こうして帰宅した俺は、即座に父さんと母さんに捕まった。

 さすが竜虎、息ぴったりで逃げる暇もなかったぜ。


「さて、幸助……話を聞かせろ」


「長くなるけど」


「お茶でも入れてくるわ」


 あ、逃がす気ないのですねお母様。

 うん、父さんも目がマジだ。


「……凜は?」


「寝ている。相当疲れたんだろうな」


「ですよねー」


「さて、親子腹を割って話そうじゃないか。あるいは俺がお前の腹か口を割る」


「怖いって……ちゃんと話すから」


 俺の言葉を聞いて一応の納得を見せたのか、父さんがお茶を待つ。

 俺も待っていたんだが……。


「母さん、これは?」


「青汁よ。父さんも顔をしかめて涙目になるくらいにがいの。飲みなさい」


「で、でも……」


「飲みなさい」


「……いただきます」


 うげ、くっそにがい。

 しかも青臭い。

 まるでキャベツを丸ごと齧って、ピーマンの苦みを濃縮したような味だ。


「口直しのお茶が欲しければ話なさい」


「はい……まず自家用機で戦闘になった時の話なんだけど」


 最初から最後まで、という事になったので全部語る事にした。

 まさに最初からなわけだが、凛をサブパイロットにしてインベーダーを相手にした時から、軍が俺に目をつけて専用機のツクヨミを送ってきた事。

 そしてそれじゃ性能が足りなかったので改造のついでに新しい機体も作ってコンペに出したこと。

 その結果またしてもインベーダーに襲われて、なんだかんだで俺達が特務とはいえ尉官佐官の座を得たことまで。


「なるほど……特務隊か」


「っす。というわけで母さん、お茶をください……」


「おかわりどうぞ」


「……まだ足りない?」


「どうぞ?」


 ……有無を言わせねえな。

 クッソにがい。


「あの、どこが足りないでしょうか」


「そうねぇ、具体的に言うなら特務隊の話ね」


「そこ、俺もいまいち理解してないんだが……とりあえず凜が特務大尉、俺が特務少佐で同級生二人も同じ階級。あと俺の機体と一緒に来てくれたメカニックが技術中佐だよ」


「へぇ、じゃあ今後は特務隊として働くの? 学校は?」


「もちろん通うよ。今まで免除されてた部分が多かったから補習も含めて学生を謳歌する予定」


「できるのか? 特務隊とは軍人と同義だぞ」


「できるでしょ。15年前の事件もあるし軍もそこまで俺達はこき使われないはず」


「……だがなぁ」


「後見人は大将と、真田准将」


「真田……15年前の生き残りか」


「そうそれ」


 俺も15年前の話はついさっき知ったけど。

 それに書面はまだ出てないが、形式上この二人が俺達の後見人という事になっている。

 具体的に言うなら真田准将が俺達の戦闘力を保証して、大将が後ろ盾になってくれる手はずだ。


「けどなぁ、アルバイトとは違うんだぞ」


「あぁ、それなんだけど学校側からは書類出せって言われてるんだ。アルバイト許可証に保護者のサイン付きで」


「……学校までアルバイト扱いかよ」


 父さんがうなだれた。

 母さんはニコニコしているが、お茶はまだ出てこない。


「お前の腕は理解した。というか動画が上がってたし、軍からも説明されたから理解する。けど凜はどうなんだ。あの子はまだ中学生だぞ」


「ぶっちゃけて言おうか。凜は天才だ。パイロットとしてもオペレーターとしても」


「そこまでか?」


「前の自家用機あっただろ、あれでリミッター解除して気絶しないだけじゃなくオペレーティングをしてくれたくらいだ」


「そんなにか……」


「今じゃ探査用ドローンを自力で操作しながら広範囲の観測もしている。それでオペレートしながら被弾しないんだ。本人に言えば天狗になるから言ってないが、あれは天性の才能だよ。今後努力を重ねれば伸びる。それこそ俺の夢を飛び越えるかもしれない」


「幸助の夢?」


「あぁ、将校になる。できるなら大将とかで、安全な後方勤務がいいな」


「それを、凜が先に叶える可能性があると」


「努力次第だよ。あと運とタイミングもかかってくる。それこそ席が埋まってたらどうにもならないからなぁ」


「確かにな。だが順番待ちに行ける可能性はあると……」


「俺だと最前線から逃がしたくないから良くて准将とかだろうけど、あいつはオペレーターとして優秀だからこそ後方にって可能性が高いんだ」


「……話は分かった。その上で、俺達が反対すると思わなかったのか」


 父さんの威圧がのしかかる。

 母さんは相変わらずニコニコしているが……そろそろお茶ください。


「府中の虎と立川の龍なら、軍人になる事も反対しないと思ったんだけどな」


「ど、どこでそれを!」


「叔父さんが言ってた」


「あいつ……」


「今度お夕飯に招待しましょうか」


 あ、これ青汁飲ませる気だな母さん。

 リットル単位で。


「まぁ茶化したけど、残ってるデータと情報、あと時代を察するに第二世代機で第三世代機を狩ってたんじゃねえの?」


「……よくわかったな」


「いや、第一世代機はギアと言ってもジェットと手足の付いた戦車じゃん。流石にそれじゃ格上機体はどうにもできない。一方で当時は今よりインベーダーについて知られてなかったからパイロット育成学校も数が多かった。そのどこもがこぞって第三世代機を用意して、パイロットであることにプライドを持たせてた。それが悪い方向に暴走したのは予想しやすいけど、それに対処するなら第二世代機じゃないと無理だし」


「第三世代機を持ち出した可能性を考えないのか」


「物理的に無理でしょ。優先的に軍に、続いてパイロット育成学校に配備されていた機体を一般人が手に入れるの」


「まぁ、当時は第四世代機への時期転換だったが……実際第三世代機が民間に流れてくることは無かった。それを倒すために色々研究したものだ……じゃなくてだな、そんな古い話持ち出してまで特務隊になりたいのか。まだ辞退はできるんだろう」


「できるけどしない、ここで断るつもりはないよ。友達とか凛とか関係なく、これは俺の夢への近道でもあるから」


「だがなぁ……」


「それに、たぶん大将が逃がしてくれない。理由をつけて呼びつけられるよりは軍役って肩書の方が無茶もしてこないだろうから」


「そうか……?」


「民間人と軍役の間にいる特務隊はそこまで無茶はさせられないはず。少なくともネットで調べた限りは」


「ネットねぇ……母さんはどう思う?」


「そうね、もし適当なこと言っているのなら青汁のおかわりをだしてたけど、本気みたいだから母さん応援しちゃう」


「え、いいの?」


「だって将校になるのが夢なんでしょ。だったら寄り道しないで真っ直ぐ突き進んじゃいなさいよ。お父さんは心配性だからこう言ってるけどね」


「じゃあ……」


「ただし、凜に関しては個別にお話しする事になるわ」


「それは仕方ないと思う。というかむしろがっつり話し合ってくれ。俺なんかよりよっぽどだ」


「そうね、その時は青汁じゃなくて紅茶を用意しておくわ」


「……お茶、俺にもくれない? 口内痺れてきた」


「はいはい、じゃあどうぞ」


 あぁ、やっと苦みが……センブリ茶だこれ!

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