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デスゲームで死んだらパラレルロボ世界だったんですが?  作者: 蒼井茜


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フライト

 その後俺達は手に入れたミササギに乗り込み、クリスの家に向かった。

 このおてんば娘を送り届けてから俺も帰宅する事になる。

 凛を先に帰しておいてよかった。

 あいつなんだかんだで慣れない環境とかあったし疲れてただろうからな。

 今頃風呂入ってぐっすり寝てるかもしれない。

 まだ夕方だけど。


「幸助にしては優雅なフライトね」


「そりゃどうも。普段から戦闘機動ってわけじゃねえからなぁ」


「そうなの? 凜は無茶な操縦したって言ってたけど」


 そういや最初の登校日は無茶したっけ。

 言い訳するなら遅刻しそうだったってところだけど、本音は俺がどこまで動かせるか知りたかったのもあったんだよな。


「寝坊したんだよ。夢にナイスバディなねーちゃんたちがパイスーで出てきてな」


「あんたも思春期なのね」


「そうだぞ。凜からは白い目で見られたけど、健全な男子高校生ともなればそういう夢見て寝坊するなんてよくある話だ」


「でしょうね。以前世話になってた基地でもマーカスって若い隊員がよく女の人の夢見て寝坊してたもの」


「そいつとは話が合いそうだ」


「無理ね。死んだから」


 おい、空気まで死んだぞ……。

 コックピット内の空気が凍り付いて会話が途切れた。


「冗談よ」


「洒落にならねえよ」


「半分は冗談。軍人としては死んだも同然ってところね」


「……被害は」


「二度と子供を作れない身体になったわ……」


「そんな……」


「基地を抜け出してバーで引っかけた女性と一晩、病気を貰って帰ってきたの……そのまま謹慎から除隊処分よ。ついでに病気の影響で軍は再入隊を拒否したわ」


「……糞みたいな被弾したんだな」


「そうね、あんたはそうならないでよ?」


「無理無理、そもそも見知らぬ女に声かけられるようなメンタルしてねえし、着いてくるような女もいないだろ」


「あら、のこのこついてきた私は違うの?」


「クリスは……まぁ、物好きなんじゃねえの。あるいは暇人だろ」


「まぁ酷い」


 クスクスと笑っているが、実際俺の予定に合わせるなんて余程の暇人だと思う。

 こいつだって疲れてるだろうに。


「あ、あそこに停めてちょうだい」


「かしこまりました、っと」


 ガイドビーコンに合わせて機体を変形させ、着陸する。

 ふむ、変形がスムーズだし結構いいなこれ。

 戦闘には使えなくてもツクヨミ改より乗りやすいのは事実だ。

 というかあれがピーキーすぎるだけなんだけど。


「おかえりなさいませ、お嬢様。そちらの方は」


「友人にして同じ隊になる雨傘幸助、メカニックとしてもパイロットとしても一流よ」


「それはそれは、歓待の方はどうしましょう」


「また今度でいいでしょ。あいつもコンペで大暴れして、その後色々あったから疲れてるでしょうし」


「さようですか」


 なんか執事っぽい人と話し始めた。

 二人乗りだけあって腹部のコックピットから降りるワイヤーは二本あるんだが、話に割り込む隙がなかったな。


「幸助、うちの使用人のサレンよ。元軍人で傭兵だったの」


「なるほど、どうりで」


 燕尾服を纏っているが老骨とは思えないほどの筋肉。

 それも鍛えたというより自然とそうなったと思わせるほどのものだ。

 言うなれば戦場で作り上げられたというべきか。


「サレンと申します。どうぞよしなに」


「雨傘幸助です。よろしくお願いします」


「僭越ながら一つお聞きしてよろしいでしょうか」


「はぁ、俺に答えられる事なら」


 そう言った瞬間、胸ぐらをつかまれ引き寄せられた。

 ピタリと喉元に冷たい感触。


「お嬢様とはどういう関係だ」


「お嬢様の言葉を信じてやれよ、爺さん。特務隊として背中を預けて戦う仲だ」


「ならばいかがわしい視線など向けてないだろうな」


「さぁ、どうだろうな。コンペ後の隔離じゃ同じテントだったし、パイロットスーツ着るとクリスはスタイル良いなと思う事はあったかもな」


「いい度胸だ小僧」


「あんたほどじゃねえよ爺さん」


「はいはい、そこまで。男ってどうしてすぐ熱くなるのかしら。幸助からは確かにスケベな視線を感じたことはあるけどなにもされてないわよ。それに胸やお尻というより筋肉を見ている感じの方が強かったから。それにサレン、気付いてないでしょ」


「む……」


 残念ながら俺は武器を持っているわけじゃない。

 ギアが無ければただの子供だ。

 だけど、まぁちょっとした時に使えるような工具は持っている。

 六角レンチなのは……ちょうど手に当たったのがそれだっただけで、爺さんの腹部に見えないように突き付けていた。


「銃じゃなくてよかったな」


「ふっ、今持ち合わせていない事がなによりの証明だろう」


「やるか? ギアに乗れよ、バラバラにしてやる」


「いいだろう、その中古品をスクラップに変えてやろう」


「だからやめなさいって!」


 揃ってクリスにどつかれて咳き込むことになった。

 まぁ、落としどころが見つかって良かったと思っておこう。


「言っておくけど幸助は私より強い。セレスも私より強い。どっちも遠近問わずだけど、今は幸助が不利よ」


 してやったりといった表情の爺さんがムカつくが……事実なんだよな。


「だけど専用機があれば幸助の方が確実に強いわ」


 ふっ、どうだ爺さん。

 不利って言われたのに対して俺は確実な勝利だぞ。


「その表情で喧嘩するのもやめなさい」


 ……バレたか。

 しょうがない。


「一時停戦だ、決着はいつかつけるぞ」


「望むところだ小僧。それまでに専用機とやらをしっかり磨いておけ」


「くくく……」


「ふはは……」


「本当に男ってのは……」


 うん、割といい人達が近くにいるんだなクリス。

 傲慢なだけかと思ってた時もあったけど、ちょっと安心したわ。

 それはそれとしてこの爺さんはいつか泣かせる。

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