親の話は恥ずかしい
「話し戻すがミササギはいつ用意できる?」
「なめんな、いつでもすぐにお届けだ」
「じゃあ俺が乗って帰るわ。クリスもついでに送っていく、それでいいか?」
「無茶な操縦しなければね」
呆れたように肩をすくめるクリス。
さすがの俺も自家用機を空中分解するような動かし方するつもりはないぞ。
ジャイロとバランサーもそのままにするつもりだ。
メインで使うの俺じゃないし。
「今回は丁寧にエスコートさせてもらうよ」
「だといいんだけど」
「その口調だと相乗りした事あるみたいだな。どうだったリッパーの嬢ちゃん、こいつの操縦」
「無茶苦茶よ。毎秒数十回姿勢変わってるし、とんでもないGに襲われるし、その癖射撃は全部当てながら近くにいる敵は無駄なく切り捨てられてる。Lの名前を返上したくなったわ」
「ほう、うちはパイロット適正高い血筋なんて言われてるが……麒麟児だな」
「日本だとそういうのね。私の故郷ならデーモンって言われてたと思うわ」
「鬼子って言い方もあるが意味合いは悪くなるからなぁ……トンビが鷹を産んだわけでもねえし」
「それってどういうことだ?」
まるで父さん母さんが凄腕パイロットだったように聞こえる。
「ん、言ってなかったのかあいつら。あの二人パイロット資格持ってるぞ、ギア免許とは違う戦闘許可のがちがちの奴」
「マジで!?」
「マジもマジ、府中の虎と立川の龍なんて言われたギア乗りだった」
ふ、二つ名が昭和臭い。
おまけにダサい。
「どんくらい強かったん?」
「そうだなぁ……どっちも世代遅れの機体で学園のパイロット科全員ぶちのめしてた。あいつら一般高だったのに」
「なぜそんな事に……」
「俺等がガキの頃はパイロットの需要が多くてな。それゆえにパイロット育成している学校の発言力も強かったんだ。それこそ他校の予算を一部奪える程度に。それに腹立てた2人がこの辺りにあったパイロット育成学校の生徒を軒並み叩きのめして、元通りの予算分配にしたってところだ」
ヤンキーかな?
やってる事の規模がでかいだけでカチコミじゃねえか……。
「まさか叔父さんも?」
「俺はそこまで強くないからな。ただこっち方面じゃめっぽう強かったから相手機体を見て弱点教えたりしてた。今でいうオペレーターか?」
「あぁ、凜はそっちの血を……」
「とはいえ他校にカチコミかけるような血の気の多さは問題でな。当然学校も色々苦情ぶん投げてきた。軍も出てくる騒動になった以上大人しくならざるをえなかったってのが俺達の事情。そんで大人の事情としてはくだらない事を理由に子供のための予算横流ししようとしてたカス共がいたので深くかかわりたくなかった。結果双方痛み分けで無かったことにしたわけだ」
「そんな事が……あれ、それ表沙汰にならなかった?」
「まだネットが未発達でよかったよ。都市伝説扱いだ」
「……そうかぁ」
いや、マジでどういう進化ツリーしてるんだこの世界。
ネットが未発達なのに軍はギアを持っていた?
単品で見ればPCより上の代物があったのにネットワークは……うん、考えるだけ無駄か。
「他にそういう話ってないの?」
「あの二人に聞いてみろ。色々教えてくれるはずだ」
「どうだろう……やんちゃな話は教えてくれないからなぁ」
「いっちょ前に親になった手前子供にいい顔したいんだろ」
「そんなもん?」
「そんなもんだ。大人になればわかるさ」
「その割には叔父さんは恥ずかしげもなく語るよね」
「俺は大人のふりが上手いだけだ。中身はガキの頃から一ミリも変わってねえよ。あるいはそれを自覚できなくなった奴を大人って呼ぶのかもしれないけどな」
「じゃあ俺も永遠にガキでいいわ」
「よくないわ! 幸助くらい強い人が子供のままだと正式に軍人になれないじゃない!」
あー、これは言語の壁というか、理解の差ってやつか?
「クリス、身体は成長するから精神面が子供のままってだけの話だぞ」
「だとしても隊長じゃない」
「誰が?」
「幸助」
「なんで?」
「一番強いから」
ダメだ、この娘……脳みそまで筋肉詰まってる。
「隊長は凛か良平に任せるつもりだったが? まぁ同じチームとして動くならだけど」
「私は?」
「お前は俺と最前線で切ったはったしてるから全体を観測できない。その点狙撃手の良平はよく全体を見ているし、凜は言うまでもなく。OK?」
「なるほど、OKよ。でもあんたなら隊長もできると思うけど……」
「坂月重工のお偉いさんに顔を売っておけるならっ手理由が半分。凛に早めに指揮を覚えさせたいってのが半分、おまけに全線で暴れたいってのが本音だ」
「納得したわ。面倒なのはあの二人に任せるのね」
「正解だ。その法が俺達も楽だろ?」
「そうね、その通りだわ!」
うん、この娘ちょろすぎて少し不安になるな。
まぁ本性切り裂き魔だけどさ……。




