報告会2
「ここまでの話をまとめようか
まず、森に異変が起きたのは七年前、伯爵の息子が亡くなった年だ。
異変は森に入っても入口に戻ること。
森の住人は森から去り、人気は消えた。
そして三か月前から【神隠し】が起きた。
被害者は10日に1,2人のペースで領民が9人、国から派遣された騎士が2人の計11人だ。
目撃情報によると、森の中に入っていったらしい」
ルークが述べるとシャラが声を上げた。
「エレノアが伯爵のアップルパイやメイドから異変を感じたし、七年前に異変があったんだし、
犯人は伯爵じゃないの?」
「現段階ではな」
「どういう意味?」
「決定的な証拠がない」
「あのアップルパイは?」
「いや、あれ自体に魔法はかかっていない」
ルークの言葉にシャラは眉を顰めると、
ルークはあとは任せたとエレノアを仰ぎ見た。
「違和感と嫌な予感がしたのよ。
どうもひっかかるのよね」
その正体は何かピースがまだ欠けているのだ。
「それに、仮に伯爵だとしても彼は魔法を扱えないし、領民を攫う動機がない」
「…それもそうね」
カイルの言葉にシャラがうなる。
自分たちにはこの事件に立ち向かえるカードが足りないのだ。
一歩前進したら行き止まり、部屋には重い沈黙が降りた。
コンコンとノックの音が部屋に漂う静寂を破った。
「殿下方、お食事の用意ができました」
メイド姿をした栗毛色の髪の美少女が静かに告げた。
「わかった。」
ルークが椅子から立ち上がりドアに向かうと、シャラ、カイルもそれに続く。
やはり違和感を感じる……
だが、何か分からない焦燥感に駆られつつも、
エレノアは他の3人に倣い部屋を後にしようとメイドの横をすり抜けた時、
ぼそりとささやいた。
エレノアは目を丸めメイドの顔を見る。
そしてさらに目を見張った。
彼女の瞳は先ほどと打って変わっていたからだ。
エレノアは今まで感じていた違和感に気付いた。
あっと声をあげそうになるのを彼女に人差し指を口元にあてがわれることで制止された。
「エレノア様、お食事が冷めてしまいますわ」
急かされる形でエレノアは食堂へ向かった。
「亡霊は 森へ誘い 蜜を吸う」
彼女の言葉が頭の中で木霊したまま。




