揺れ動く心
「ほんとにいいの?」
レイモンドの話が終わり
4人は被害者の家族の話を聞きにいくために、
各々は一度部屋に戻り準備を整えることにした。
エレノアは自分の準備を終えるとシャラの部屋を訪れ、開口一番に探るようにシャラに尋ねた。
「もちろんよ
それよりどうだった?」
「やっぱり怪しいわ
あのアップルパイも」
「そう。じゃあ予定通り頼むわ」
「……わかった」
エレノアは迷いもなく答えるシャラに複雑な気持ちで頷いた。
エレノアは普通の風の能力者よりも気配に聡い。
そのエレノアが伯爵家に入った途端悪寒が走ったのだ。
そして使用人達にも違和感を感じた。
エレノアは荷を降ろすと隣の部屋であったシャラにそのことを伝えるとシャラは自ら囮役を買って出たのだった。
エレノアは反対したがシャラは譲らなかった。
エレノアが折れたのはシャラに用があってたまたま部屋を訪れたカイルもその役割を担うと申し出たからだ。
派遣された騎士が消えているから間違えなく仕掛けられるはずだ。
しかし、この作戦はうまくいくのか……
「好きなの?」
「は?」
突然のシャラの言葉に巡らされていた思考は止まった。
動きを止めたエレノアに気づかなかったのかシャラはからかうように続けた。
「さっき手を握ってたじゃない」
「あれはバレないようにする手段が他に思い浮かばなかっただけ。
万一見えてもできてるのかな? くらいにしか思わないでしょう?」
「ほんとにそれだけ?」
淡々と説明するエレノアに半分呆れたように半分真意を正すようにシャラは言った。
「……ええ」
エレノアは一瞬言葉に詰まったがすぐに笑みを浮かべた。
動揺を悟られたくはなかったのだ。




