トラウマ
「いやぁぁぁぁ!! 」
突如、
剣を振るっていたエレノアは金切り声をあげた。
「エレノアぁ!! 」
狐はここぞとばかりにエレノアに襲いかかった。
ルークは叫んだ。
心臓が止まりそうになった。
しかし、狐はエレノアを襲う前に弾き飛ばされ消滅した。
「ーーっな! 」
三人は絶句した。
銀色と黒が混ざり合った球が
エレノアを包み狐を消滅させたのだ。
エレノアを包むものは狐を消滅させてもなお
膨らみ続けた。
エレノアが恐れていたのはこれなのだ。
膨らみ続ける光と闇。
「エレノアっ! 」
今まで黙っていたシャラがエレノアの前に飛び込んだ
「来ないで!! 」
エレノアが叫ぶと同時にシャラは飛ばされる。
「シャラ!!」
カイルはシャラに駆け寄った。
「っう! 」
カイルが抱きかかえるとシャラは苦しそうに呻いた。
「最悪だ……」
「どういうことだ? 」
ルークの声にカイルが即座に反応した。
「エレノアの中の光と闇の魔力の暴走だ。」
「光と闇? エレノアは風属性でしょ……? 」
「いや、そうだが違う…」
ルークはエレノアを覆う物体が闇に染まる前に止めなければならなかった。
約束を違えないために。
運命を変えるために
ルークはエレノアに向かっていった。
「いかせませんわ」
突如目の前に現れルークの前に立ち塞がったのは
ゴスロリちっくなドレスに身を包んだ
ツインテールの女だった。
彼女の赤い瞳は楽しそうに細められていた。
「メリッサ!! 」
エレノアが叫ぶ。
突如1/3だった闇が半分に変わった。
「お嬢様。お久しぶりですね。お元気でしたか? 」
「元気なわけないでしょ! 」
「あら、残念。私とても悲しいですわ。
でも、嬉しいですわ。
相変わらずとても魅力的な闇の魔力で。
5年前を思い出します。
5年前もこんな洞窟でしたわね」
メリッサは狐が獲物をいたぶるかの様に弑虐的な笑みを浮かべる。
かぁぁとエレノアの瞳が赤くなり闇が侵食を始めた。
「やめろ! 」
「あら。あなた様は、あの陰険王子の弟君じゃなくて? 」
「ヘリオスを知ってるのか? 」
「知ってるも何もあいつは我ら復活派の幹部。」
ルークは眉をひそめた。
ヘリオスが魔王を復活するのを目的とした魔人を中心とする組織、復活派に関係していたことは勿論知っていた。
ルークは威圧感を込めて冷ややかな声で言い放った
「で? 何の用だ? 」
「あらつまらないわ。
わざわざ教えてあげたのに。
もしかして知っていらしたの? 」
「…。
お前が今現れたことはエレノアの暴走に関係あるんだろう?」
メリッサはクスリと冷笑した。
「流石第二王子殿。
あの野郎と違って食えないやつですわね。
ですが、その問いに答える前に
昔話でも致しましょうか」
「やめてっ!! 」
エレノアの悲痛な叫び声だけが洞窟の中を木霊した。




