ジークの帰還
ジークが帰ってきた。
帰る日時は決めてあったようで、その日、力自慢の騎士達が朝迎えに向かっていた。
大きな荷車が8台。ヤギも十数頭いる。
「ユウ様。ただいま戻りました。」
「おかえりなさい。ジーク」
すべて城に運ばれた。
ジークはここを出てヨルジャン国にもどり、御使いは神の国に帰ったと伝えてくれたそうだ。徐々に他の国にも伝わるだろう。
一時期はもとの気候に戻ってしまったかと危惧されていたそうだが、異常気象もなく、おだやかな天候が続き、人々の混乱は収まった。人々はまた、神に感謝する生活にもどっていくだろう。
城では廃嫡を取り消すことは出来ないが、国のために国王を補佐してほしいと懇願されたが、やるべきことを見つけた自分にはもう他の使命は考えられなかったとジークは笑った。
国で寒さに強い家畜や作物を調べ持ち帰ってきてくれた。
自分の分の食料を確保しなくてはこの国においてもらえないと考えたと言う彼は、いたずらが成功したみたいな嬉しそうな顔をしていた。
急遽、ヤギとたくさんのひな(荷車1台分)の家が造られることになった。
マルクの指導のもと、立派な建物が造られた。
世話しやすい工夫もされている。
寒さ対策でみんな一つの家。餌にも寝床にもなる草を敷き詰める。
となりの小屋にはたくさんの乾燥させた草がつめこまれた。
糞尿の混ざったものを積み上げる場所も畑のそばに作った。
来年これを肥料にしてまた作物を大きく育てることができるだろう。
冬の間に大きくなった鳥達は卵を産んでくれるだろう。
ヤギたちのお乳もお肉の代わりの栄養を補ってくれるにちがいない。
残りの荷物は、麦や豆、カボチャや芋などこの国になかった人間の作物。
冬の間の食料として、種として大事に地下にしまう。
ジークは皆に認められて国民になった。
冬を乗り切るために、力を貸してくれれる頼もしい仲間になった。
そして、家畜達の家と冬の準備のめどがたった頃、マルクが家に帰ることになった。
「マルク、ありがとう。」
「いやあ、役に立ててよかったよ。俺なんかでもさ。」
「ううん。貴方だからできたんだよ。獣達と仲良くしてくれてうれしかった。帰ってしまうのが凄く寂しい。」
涙を我慢する。
両脇の銀狼たちが私にすり寄ってくる。
大丈夫。心配しないで。
「後のことは私に任せて安心して旅立つといい。」
なぜか端っこに追いやられて大きな子猫たちにじゃれつかれながら声を出すジーク。
あ、伸しかかられて、埋もれた。
「あはは。ジークもすっかりなつかれたな。ああ、心配はしてないよ。大丈夫。また逢おうな。」
「マルクありがとう!お母さんを大事にね。」
「感謝する。」
「ありがとう!」
「元気で。」
「待ってる!」
皆に見送られてマルクは帰っていった。村近くまでフクロウさんが送っていくので昼には家に帰りつけるそうだ。
特別製の笛を持って。
ジークと私ももらった、人間には聞こえない音を出す笛。
獣の耳には届くから、こちらに来る時に迎えにきてもらえる。仲間の証。
マルクが帰ってから2日目の朝。
空から冬の訪れを知らせる白い雪が降り出した。




