お土産
「ユウ様、こちらはどうですか?温かく動きやすい上に美しさを引き立てて」
「・・・。」
ジークのお土産は盛りだくさんだった。
神殿に向かう途中で着の身着のままでこの国にやってきた私は、旅好きカラスが好奇心で集めた人間の国のもののなかにあったわずかな衣類をなんとか工夫して着回していた。ベッドや鍋とかよく考えたら獣達には必要ないもんね。
周りは自前の毛皮で済んでしまうのだから、服というか布はないのが当たり前。それを全部使わせてもらえて本当に助かった。
だから、ジークの持ち帰ってくれた衣類やこまごまとした日用品は心から歓迎したし、早速使わせてもらっている。これから寒くなる中、心もとない気持ちは確かにあったから文句を言うなんて罰が当たる。
文句なんてあるはずない!
でも!でも!!
頬を染めてこころもち持つ手も震えながら、下着を身体にあてられるのはどう考えても恥ずかしすぎるでしょ!!
機能性を重視して集めてくれたものばかりの中に、どう考えてもジークの好みだろう装飾品や服等が紛れていて、お礼をかねて身に付けてみせるのはやぶさかではない気持ちはあるけれど。
あったのだけれど。
下着は、下着は無理でしょ!!!!
「ユウ様は小柄ですので、既製品では子供用になるものしか手に入らず。ですが、女性ですので必要なものもあるでしょうし、本当は服屋を召して作らせたいのですがそれもかなわず。」
一応ジークも考えていてくれているのはわかるんだけど。これ、どうやって手に入れたのか心配になってきた。
神官のお姉さんに相談出来たら違ったのだろうけど、御使いはもういないと言った口で御使いの服を見繕う相談はできなかっただろう。
「ユウ、お風呂行こう。」
「うん。あの、ジーク。」
「わかりました。私はユウ様が戻られるまで国王の間におります。」
「ありがとう。じゃあ、いってきます。」
獣達に見られても、一緒にお風呂に入っても恥ずかしくないんだけれど、人間のマルクとジークには私がお風呂に入っている時間は別の場所にいてもらっている。
今はジークだけだから打ち合わせは簡単になった。
ジークもマルクも温泉を凄く気に入ってくれたから、川のそばのお風呂で鉢合わることがあって自然にそうなった。
温泉好きなのは日本人気質ってわけじゃないんだね。
獣達だってお風呂好きになってくれたし。
私もお風呂好き。
することがなかったらずっと入っていたいくらい。今は1人では来れないから、あまりゆっくりはできないのだけれど。
それでも、ジークのお土産にもらった石けんがうれしくていつもよりはしゃいでいた。
「にい、誰かいる」
「ん?・・・っ!誰だ!」
狼2人をお風呂に入れて身体を乾かすのを手伝ったあと、私がお風呂に入ろうと服を脱ぎ始めたときに逢未が低くうなり、続けて未来まで毛を逆立てた。
よく見ると川から誰かあがってくる。
獣じゃない。人間だ。
ひょろりとしたシルエットに見覚えがあるような・・・。
アル!アルだ!
いつもジークのそばにいた従者。
アルが情けない顔で歩いてくるのを不思議な気持ちでみつめ続けた。




