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差し戻しの結果

騎士団が気絶し、王太子が顔面蒼白になっている中、会場の扉が勢いよく開かれた。


「陛下のおなりである!」


その声に、場の空気が一変し、人々が慌てて道を開く。


現れたのは、この国の国王だった。


「何事だ!」


怒声が響く。


「余の留守の間に何をしておった!」


国王は会場を見渡した。


床に転がる近衛騎士。泣きそうな顔の男爵令嬢。青ざめた取り巻きたち。


そして、頭を抱える重臣たち。


「騒ぎになっておると聞いて慌てて戻って来たら……。」


一拍。


「なんだ!これは!」


ゴッ!!


王太子の頭に拳骨が落ちた。


「痛っ!!」


「痛いで済むと思うたか!」


再び拳骨が炸裂し、王太子撃沈。

会場の誰も止めない。むしろ安堵している。


「陛下!」


メリーが叫ぶ。


「私は――」


「黙れ。」


国王は一蹴した。


「そこの男爵令嬢を捕らえよ。」


近衛兵が動く。


「なっ!?」


「あと、そこの馬鹿どももな。」


取り巻きたちが震え上がった。


「へ、陛下!」


「お許しを!」


「黙れと言うた。」


王太子が這うように顔を上げる。


「父上……!」


国王は息子を見下ろした。その目に怒りはあった。だが、それ以上に失望があった。


「余はな。」


静かな声だった。


「お前を王太子として、次代の国王として、厳しく育てたつもりだった……。」


王太子が顔を伏せる。


「だが。」


国王はため息を吐いた。


「結果がこれか。」


沈黙。


誰も口を挟めない。


その時、三成が一歩前へ出る。


「陛下。」


「なにか?」


「如何なさるので?」


国王は即答した。


「決まっておろう。」


一拍。


「廃嫡だ。」


会場がどよめいたが、三成は頷くだけだった。


「無難ですね。」


「無難じゃ。」


国王も頷く。


「余もそう思う。」


そして側近へ視線を向けた。


「スペンサー公爵家へは余から直接話をする。」


「はっ。」


「連れて行け。」


近衛兵たちが王太子たちを拘束する。


「父上!」


「待ってください!」


「私は悪く――」


「連れて行け。」


問答無用だった。


やがて王太子たちの姿が消え、会場に静寂が戻った。


その時、入口から聞き覚えのある声が響く。


「兄ぃたち〜。」


全員が振り返ると、加藤嘉明がのんびりと戻って来た。その後ろには黒田長政と脇阪安治もいる。


「公爵一家、送り届けて来たで。」


「なんか王様の部下いう人ら来た。」


長政が肩を竦める。


「敵意なかったから任せて帰って来た。」


「そうか。」


三成は頷く。


「ご苦労。」


「終わったん?」


嘉明が辺りを見渡す。


「終わった。」


「つまらん。」


「お前な。」


安治が呆れ、正則が大きく伸びをした。


「あ〜疲れた。」


「俺は暴れ足りん。」


清正が真顔で言う。


「お前は十分暴れた。」


「そうか?」


「そうや。」


吉継が笑った。


「大和の温泉、ええで〜。」


「ほな寄って帰るか。」


「賛成。」


「俺も行く。」


ぞろぞろ。本当にぞろぞろと、彼らは帰り始めた。


会場に残された貴族たちは呆然と見送る。

そして誰かがぽつりと呟いた。


「……あの人たち。」


一拍。


「何しに来たんだ?」


誰にも分からなかった。



数ヶ月後、大坂城の石田三成の詰所。


三成は届いた手紙を読み終えた。


「どないなっとんねん、この空間。」


隣で書簡を確認していた吉継が笑う。


「今さら突っ込んだらあかん。」


「それもそうやな。」


手紙にはこう書かれていた。


王太子及び関係者は全員廃嫡・身分剥奪の上、地方修道院送り。


王妃は息子可愛さに今回の件に加担していた事が分かり、離縁となった。


スペンサー公爵家とは和解成立。


新たな王位継承者には、王女が選ばれた。


そして、エミリアーナは王女付き女官として出仕することになった。


三成は手紙を畳む。


「まぁ。」


小さく息を吐いた。


「落ち着くとこに落ち着いたみたいやな。」


且元が頷く。


「結局。」


吉継が茶を啜る。


「事実確認、手続き、根回し……。」


三成が続ける。


「全部すっ飛ばすと、こうなるねん。」


筆を走らせる音が静かに響いた。


どこの世界でも、面倒事の原因は、だいたい同じらしい。

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