【オマケ】もしも、片桐且元のポジションが浅野長政だったら……
※本編とは一切関係ありません。
作者が「もし浅野長政だったら?」と思い付いた結果、生まれた完全なお遊びです。
王太子による一方的な婚約破棄宣言会場に亜空間から乱入してきた、三成たち豊臣家奉行衆。
「相手の家への事前通達はお済みですか?」
「……。」
王太子は言葉に詰まる。
長政は気にした様子もなく、指を折り始めた。
「それだけではございませぬ。」
長政は一気に捲し立てた。
「婚約破棄に伴う慰謝料。
持参金その他の精算。
交際中に発生した贈答品の扱い。
婚約解消による公爵家の損害。
社交界への正式な通知。
えーっと、それから……。」
「弾正様、弾正様。」
三成が袖をくいくいと引っ張る。
「ん?」
「王太子が息してへん。」
長政が顔を上げる。
「あ?」
王太子を見る。
「……ほんまや。」
王太子は完全に白目を剥いて、立ったまま気絶していた。
「気絶しとるわ。」
吉継がいつの間にか隣へ来ていた。
「弾正様。」
「なんや?まだ半分ぐらいやで。」
「そうやったな。」
長政は再び指を折る。
「では続きまして、婚約破棄後の領地経営への影響を──」
「待ってください。」
三成が思わず遮った。
「胃が痛い。」
吉継は何も言わず、懐から胃薬を取り出した。
「ほれ。」
「……ありがとう。」
その後も長政の追及は続く。
「公爵殿。」
「はい。」
エミリアーナの側に居るスペンサー公爵が長政に呼ばれる。
「この国の財務はどなたが?」
「我が家です。」
長政の眉がピクリと動いた。
三成は胃の辺りをそっと押さえる。
そして、この国の重臣らしき、頭を抱えているおっさんたちの膝が崩れ始めた。
「……軍事。」
「我が家です。」
「農務。」
「我が家です。」
「……外交。」
「妻の実家です。」
長政は天を仰ぐ。
「……佐吉。」
「はい。」
「そろばんや。あと、この国の帳簿。」
三成は懐からそろばんと、一冊の帳簿を取り出す。
なんで持ってんねん、というツッコミはしない方がいい。
長政と三成はパチパチと計算を始める。
「えーっと……来年度の予算がこれか。」
パチパチパチパチ
そろばんの音が響く。
「税収が?」
「ここや。公爵家が抜けるとしたら……半分ぐらいかな?」
「まぁ、半分と仮定して……。」
パチパチ
「兵糧……それから、地方の税収……。」
真剣にそろばんを弾く。
「……持って、半年か?」
「……いや、ちょっと待って。」
三成がそろばんを弾く。
「……三か月や。」
「終わったな。」
重臣たちが血を吐いた。
その様子を見ていた吉継が、懐から小さな巾着を取り出す。
「虎之助〜、市松〜。」
「はいよ〜!」
「おう!」
入り口の方に、二人の大男、加藤清正と福島正則が立っていた。
「これ、重臣の皆さんにお配りしたって〜。」
「分かった。」
吉継から巾着を受け取ると、清正と正則は胃薬を配り始めた。
その間も長政と三成の計算は終わらず……。
「公爵家への慰謝料払ったら、男爵家は破産やな。」
「領地全部売って足りるかな?」
「借金せなあかんやろうな〜。」
「近衛騎士団の再編費用も要りますよ。」
「王宮の修繕費も入れとこか。」
「それもそうや。」
パチパチパチ……
スペンサー公爵は遠い目になった。
「……帰っていいだろうか?」
「まだあかん。」
長政は即答した。
「外交面の損害が残っております。」
「まだあるのですか。」
「あります。」
三成が遠い目になる。
「……胃薬、おかわり。」
「胃薬はおかわりするもん、ちゃうで。」
吉継はそう言いつつも、もう一包差し出した。
※こうなることが予想されたため、浅野長政は留守番となりました。




