第6章-2
カイ
(な・・・なんだ・・・)
(なんでこんなに軽い・・・)
(これは・・・)
スローモーションで、剣が粉々に吹き飛ぶ瞬間が、
カイの眼前に映る。
視界が揺れ、
頬を伝うものが、熱い。
剣を握ったまま、
カイは膝をついた。
刃の感触が、ない。
握る柄だけを見るカイ。
カイ
(これは・・・)
(おれの・・・剣・・・?)
カイ
「……っ……」
声にならない嗚咽。
カイ
「……っ……」
涙が落ちる。
そのまま、
力が抜けた。
—ドサリ。
アスナ
「カイ!!」
(……私が……)
(……私が、守らないと……)
だが、アスナ自身も限界だった。
呼吸は荒く、脚が震えている。
その時。
ギーガーがカイに竜巌骨を振り下ろすその瞬間ーー
ハギノ
「皆さん!!」
ギーガー
「あん?」
振り返ると、
血だらけのハギノが立っていた。
ハギノ
「バクライ殿が……いらっしゃいます!!」
「そこまで——私が時間を稼ぎます!!」
アスナ
「!!」
「そんな……!」
「ハギノさん、死んじゃうわ!!」
エリス
「……私たちと一緒に……!」
ハギノ
「いけません!!!!」
鋭い声。
二人が、言葉を失う。
ハギノ
「……私には、分かります」
一歩、前へ。
ハギノ
「この戦いを終わらせられるのは……」
「あなたたちです」
拳を握る。
ハギノ
「私は……そのための礎になります」
「覚悟は、できています」
アスナ
「……でも……!」
ハギノ
「自分の命を、大事になさい」
アスナ・エリス
「......!」
ハギノ
「さあ——行きなさい!!」
その剣幕に押され、
アスナは歯を食いしばる。
ギーガー
「おいおい」
「誰が逃がすって?」
ギーガーが大刀を軽く倒れているカイに振るう
ガキィイインン!!
アスナ
「!?」
ギーガー
「・・・」
ハギノが、その瞬速の剣技でギーガーの斬撃を押されながらも受け止める
ハギノ「っ・・・!」
ヒュウ「ハギノ!」
ハギノ「さあ早く!!」
アスナ「っ・・・!」
アスナは素早くギーガーの足元に転がるカイを背負い、
そして折れたカイの白銀の刃の柄を拾い上げる。
エリスは必死に、ハギノが連れてきた馬に向かって走る
——脱出。
しんがりをつとめるハギノの背中を、
ヒュウが見送っていた。
ヒュウ
「……ハギノ……」
今、選べる手段は——これしかない。
唇を、強く噛む。
ハギノ
「ヒュウ殿」
振り返らずに言う。
ハギノ
「……分かっていますね?」
ヒュウ
「……くそっ……!」
「ハギノ!!」
ハギノ
「やめてください」
「別れの言葉なんて……」
ヒュウ
「生きろ!!」
ハギノ「!?」
ヒュウ
「バクライが来るまででいい!」
「来たら……絶対に戦うな……!」
「逃げろ!!」
一瞬の沈黙。
ヒュウ
「口答えは・・・」
「許さねえ・・・!!」
ハギノ
(バクライ殿に憧れるだけだったあなたが・・・)
(立派になりましたね、ヒュウ殿)
ハギノ
「……分かりました」
小さく、そう答えた。
ハギノの連れてきた馬に担がれ、カイ一行は戦場を去る。
ギーガー
「・・・ふん」
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