第5章-16
残酷な言葉とは裏腹に、サクヤは寂しそうな眼を4人に向ける。
サクヤ
「・・・」
しかし、サクヤは目の前で、立ち上がろうとするカイに気づく。
サクヤ
「!?」
「おぬし・・・」
カイ
「う・・・」
「うああああ!!」
カイは、手にした光を帯びる大刀を地面に突き刺し、何とか立ち上がる。
アスナ
「カイ・・・!」
(剣で立ち上がるなんて・・)
カイ
「ハァ・・・ハァ・・・」
サクヤ
「おぬしは一体・・・?」
アスナ
(!?)
アスナは、自分にかかる重力の”ゆらぎ”を感じ取った。
カイ
「ハァ・・・ハァ・・・」
「どうだ・・・?」
「重力だかなんだか・・・知らねえけどな・・・」
「おれはそんなの分からねえし・・・効かねえぞ・・・!」
へっと笑うカイ。
カイ
「理がどうしたってんだ!」
「ガハハ!!」
バクライの真似をして笑うカイ。
一瞬だけ、ヒュウが小さな笑みを浮かべた。
ヒュウ
(なんだよそれ・・・)
(実際、重力で立ち上がるのもやっとじゃねーか・・・)
サクヤ
「・・・」
(こやつは・・・)
目に戸惑いの色が浮かぶサクヤ。
その瞬間ー
【火術・潜噴!!】
サクヤの足元から火が吹き上がる。
ドウンッ
サクヤ
「!?」
一瞬、驚くサクヤ。
アスナ
(さっき地面に落とされた火球・・・)
(その魔力をサクヤの足元に残しておいた・・・)
(奇襲・・・ってほどではないけど・・・)
サクヤ
「ほう・・・」
「よかろう」
足元の炎を水魔法で消すサクヤ。
その瞬間、全員の重力が解かれる。
エリス
「ハァ・・・ハァ・・・」
アスナは静かに立ち上がる。
アスナ
「・・・」
(けど・・・どうしたら・・・)
サクヤ
「まだ・・・やるというのだな・・・?」
「いよいよ・・・貴様ら全員”還して”やらねばならんようだ・・・」
カイ
「やれるもんなら・・・!」
「やってみろ・・・!!
「おれは・・・諦めがわりぃんだ!!」
サクヤの瞳が揺れる。
サクヤ
「・・・」
「おぬし・・・」
カイに話しかけるサクヤ
カイ
「?」
サクヤ
「なぜ、おぬしはそこまで・・・」
「・・・」
変わらず寂しさをまとった瞳を向けるサクヤ
サクヤ
「無駄・・・なのだぞ・・・?」
「いくら・・・立ち上がろうと・・・」
カイ
「・・・」
サクヤ
「……倒せるわけがない・・・」
「あの帝国を……」
カイ
「何言ってんだよ・・・」
サクヤ
「?」
カイ
「倒せる訳がないって・・・」
「誰が決めたんだよ!」
サクヤ
「!?」
カイ
「お前はそうやって・・・
「無理だって諦めて・・・」
「逃げ続けんのかよ・・・!?」
サクヤの目線が落ちる。
サクヤ
「・・・」
カイ
「おれは諦めない!!」
「絶対に、帝国を倒す!!」
「もう、お前ら帝国には何も奪わせねえ!!」
アスナ
(カイ…!)
サクヤは静かに問う。
サクヤ
「……本気か」
カイ
「当たり前だろ!!」
カイの剣が光を帯びる。
サクヤ
「・・・」
「分かった・・・」
カイ
「!?」
ズンッとサクヤの周囲が魔力を帯びる。
サクヤの目に、”覚悟”が灯る。
サクヤ
「ここで貴様らを”還し”、現実を・・・」
「理を教えてやろう・・・」
「力の前では・・・何もかもが無意味という理をの・・・!」
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