第5章-10
一瞬、虹が放つ光で視界がさえぎられるコルウス。
コルウス
「この光は・・・!」
「くそっ・・・」
カラスの攻撃と、死体の行進が止む。
ヒュウ
「!」
(本人の視界がなければ操ってるものの視界もなくなるみてぇだな・・・!)
虹の光がカラスの位置、そしてカラスと死体を操る系の位置を可視化する。
カイ
「今だ!」
【無術・颯速!!】
カラスたちを切り裂いた。
その黒い羽がパラパラと宙に舞う。
カイ
(この人たちも・・・)
カイが死体を操る糸を断ち切る。
死体たちがどさっと倒れる。
コルウスが慌てる
「なんだ・・・この虹は・・・」
「消えろ・・・消えろォ!!」
曇天の影にコルウスに虹の光が強く当たっていた。
そして、カイはそのコルウスを視界に捉える。
カイ
「見つけたぞ!」
「覚悟しろよ、この陰気野郎!!!」
コルウス
(ちっ、カラスが使えねえんじゃ分が悪いな・・・)
(くそ、一旦撤退するか・・・)
後退するコルウス。
コルウス
「へっ・・・」
「やるじゃねぇか・・・」
「今日のところは見逃して・・・」
カイ
「今だ!」
「ヒュウ!」
コルウス
「!?」
ヒュウはコルウスの撤退を見越して背後に回っていた。
コルウスは、辺りがパキキキっと凍ること、そしてそれだけでない悪寒を感じる。
ゾクゾクゾクッ
コルウス
(何・・・?)
(このサムライ・・・!)
コルウスの策略で殺された仲間を、そして陽菜の言葉を回想する。
ーーー
陽菜
「お守り、つけてくれますか・・・?
ーーー
ヒュウ
「他者を操ってるだけのおめえには分からねえだろうなぁ・・・」
「あいつらの・・・」
「"魂"がよ」
氷刀・「凍鶴」でコルウスを一閃する。
【氷術・凍天衝!!】
コルウス
「ガハッ・・・!」
斬られた傷から、コルウスの身体が凍り付いていく。
コルウス
「ば・・・ばかな・・・」
「おれが・・・」
「あ・・・兄貴・・・」
凍り付きながら、ドサッと力泣く倒れるコルウス。
ヒュウは倒れて動かなくなったかつての仲間たちの死体に目をやる。
そして、倒れる陽菜をそっと見る。
ヒュウはそっとキセルを咥えた。
ヒュウ
「・・・」
カイ
「ヒュウ・・・」
その時ー
柔らかな光とともに、ヒュウの眼前に笑顔の陽菜が現れた。
陽菜
「隊長・・・」
ヒュウ
「!」
(これは・・・)
生前の、優しく包むような瞳を、ヒュウは吸い込まれるように見つめた。
ヒュウ
「ひ・・・陽菜・・・?」
陽菜
「お守り・・・」
「着けてくれてるんですね・・・」
ヒュウ
「・・・」
「・・・ああ」
陽菜はそっと笑った。
陽菜
「よかった・・・」
陽菜は、晴れやかな顔をしているようにヒュウには見えた。
陽菜
「隊長・・・」
「さようなら・・・」
ヒュウ
「陽菜・・・」
陽菜が虹の奥に消えていく。
ヒュウはキセルを咥えたまま、
小さく口を開いた。
ヒュウ
「あいつら・・・」
「眠れたかな・・・?」
ヒュウは、晴れた空にできた虹を見ながら、小さくつぶやいた。
カイ
「ああ・・・」
カイは、そっとヒュウの肩に手を置いた。
カイ
「きっと、お前に感謝してるよ」
ヒュウ
「・・・」
ヒュウの目線は見えないが、頬を伝う雫が虹の光を反射しているのがカイには分かった。
キセルの煙が、ゆっくりと虹の空に消えていった。
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