第4章-14
アスナ
「私、神なんて絶対信じないから」
「こんな・・・ただ必死に生きている私たちから大切なものを奪う神なんて・・・」
アスナは、シキを失った日、エリスの村が焼き払われた日を回想した。
アスナ
「糞食らえって言ってんの!!!」
ピキッ
セルケ
「どうやら・・・」
「救われる気はないようだな・・・?」
アスナ
「ええ、けっこうよ」
「かかってきなさい」
ーーー
砂が舞う。
セルケがゆっくり口を開く。
セルケ
「一つ、忠告しておいてやる」
細い目が、アスナを射抜く。
「体術には自信があるようだが……」
わずかに笑う。
「体術では、おれに勝てない」
アスナ
「あら」
肩をすくめる。
「親切に教えてくれてありがとう」
一歩踏み出す。
アスナ
「全く役に立たない忠告、とっても助かるわ」
セルケ
「……ふん」
「減らず口を」
アスナ
(あの尻尾・・・)
(サソリってことは毒を警戒すべきね・・・)
アスナは中距離から炎をコントロールし連続で炎弾をぶつける。
しかし、機敏な尻尾によって攻撃は防がれる
セルケ
「どうした?」
「神に物申すにはずいぶん貧相な攻撃だな」
アスナ
「・・・」
(あの尻尾は素早いけど、小回り効かない・・・)
(リスクはあるけど、懐に入って・・・)
アスナが駆け出し一瞬で距離が詰まる。
アスナ(一瞬でたたき伏せる!)
アスナは近距離で連続で攻撃、セルケは何とか尾で攻撃をさばく。
乾いた打撃音。
アスナ
(やっぱり――着いてこれない)
(この距離なら問題ない!)
アスナがもう一度踏み込む。
セルケの懐へ。
蹴りの体勢。
その瞬間――
ガシッ。
アスナ
「!?」
セルケの服の中から、
二本のサソリの脚が伸びる。
背後から、両手を拘束。
アスナ
(くそっ・・・)
セルケ「終わりだ」
背後に回られる。
尾が、持ち上がる。
鋭く光る毒針。
アスナ
(このっ……!)
ーーー
アスナは後ろ手に炎の目眩しを発する。
【火術・閃光炎!!】
ピカッッ
セルケが一瞬目を瞑る。
その隙にアスナは
地面を強く蹴る。
身体を反転。
上へ回転。
勢いで拘束を外す。
着地と同時にセルケの背後を取る――
アスナ
「はあっ!!」
至近距離で背中に向け炎球。
【火術・焔豪弾!!】
ドォン!!
爆音。
煙が広がる。
煙が晴れる。
セルケは立っている。
服は焼け落ち――
その下から現れる、全身を覆うサソリの装甲。
無傷。
アスナ
(あの装甲……)
(あれだけの距離で当てたのに……)
(効いてない……!)
その時。
足元が揺れる。
アスナ
「……っ」
視界がブレる。
頬を、指で触る。
血。
アスナ
(……やられた)
セルケ
「終わりだ」
静かに言う。
セルケ
「おれの毒は」
「素早く全身に回る」
「すぐにお前は、立つこともできなくなる」
アスナ
(……まずいわね)
呼吸が荒くなる。
セルケ
「おれの装甲は砕けず」
尾が揺れる。
セルケ
「おれは、毒を一度当てればいいだけの勝負・・・」
「言っただろう?」
「体術ではーおれに勝てないと」
沈黙。
アスナは、ふらつきながらも立つ。
そして、小さく笑う。
アスナ
「ほんと……」
「うるさいわね、あんた」
炎が、ゆらりと揺れる。
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