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第3章-12

カイの剣が、元の3倍近い大きさの大刀となり、

ゴオオオオオオオ!!と音を立て、眩い光を放つ。


ゲルグ

「小僧……!」


両者が同時に踏み込む。

ゲルグは全魔力を薙刀に込める。

全魔力が、爆ぜる。炎が、世界を覆う。


ゲルグ

「死ね!」

【爆術・超爆煉突!!】


カイの刃が、それを迎え撃つ。


カイ

「おおおおおおお!!」

【無術・閃光覇斬!!】


―激突。

ドォォォォォン!!!


ゲルグの爆炎が、カイを呑み込もうとする。

だが――

白い光が、それを“抱え込み”、飲み込む。


ゲルグの目に映る、自分の炎が白い光に塗り潰されていく光景。


ゲルグ

「……なに……?」

カイの斬撃が、振り抜かれる。


カイ

「うらああああああああ!!」

―ザァァァァン!!

ゲルグの鉄の刃が、砕ける。


身体が裂ける。


炎をまとったまま、崩れ落ちる。

そして膝をついた。


ゲルグ

「……なぜだ……」

揺れる視界。


ーーー

若き日の自分。


ゲルグ

「弱気き者を守れる、強い男にーー」

ーーー


ゲルグ

(なぜ……なぜわしは......)

(こんなものを……思い出している……)


ゲルグの目がわずかに潤んだ。


ゲルグ

(後悔......しているというのか......)

(わしは......)

炎が、身体を焼く。


ゲルグはカイを見る。

その目の光が、どこか懐かしい感じがした。


ゲルグ

「……貴様は」

息が途切れそうになる。


ゲルグ

「この先……さらなる地獄を見るだろう……」


カイは静かに立ち上がる。


ゲルグ

「それでも……変わらずにいられるか……?」

「わしのように......自分を曲げる時が来るかもしれんぞ......?」


一瞬の沈黙。そしてそっとカイが口を開く。


カイ

「先のことなんか、知るかよ」

「けど――」

剣を握る。


カイ

「この先、何があっても」

「おれは、超えてみせる!!!」


ゲルグ

「……フッ」

「やかましいやつだ……」

ほんの一瞬。ゲルグは穏やかな表情を浮かべた。

そのまま、崩れ落ちる。

カイの剣が、ゆっくりと光を収めた。


ーーー


ドゴォン!!!

カイの一撃の音が拠点中にこだまする。

エリスを抱えながら歩くアスナがつぶやく。


アスナ

「カイ・・・!」


カイ

「アスナ・・・エリス…」

「みんな・・・」

「勝った・・・ぜ・・・!」


カイは意識を失った。

ーーー


夕日に向かい、倒れたカイをかつぐアスナ


アスナ

「お疲れ様。カイ」


カイ

「ん・・・」

「あれ・・・おれ・・・?」


アスナ

「覚えてないの?」

「あんた、ゲルグ倒してそれからずっと寝てたのよ?


エリス

「ふふっ」

「すごい活躍でしたわね」


カイ

「へへっ」

「そっか・・・勝ったんだな、おれたち」


アスナ

「ええ・・・」


エリス

「そうですわね・・・!」


おんぶしているカイを見て、アスナがそっと話す。


アスナ

「なんだかこうやってると・・・」

「昔みたいね。カイ」


カイ

「ん?」

「何がだ?」


アスナ

「昔は、こうやってよくおんぶしてあげてたのよ?」

「あんたはずっと寝てたから覚えてないかもしれないけど」


カイ

「あったなそんなことも・・・」

「ってやめろよ!」「子供じゃねーんだから!」


アスナ

「あ、覚えてたんだ」

「あの頃は”アスナおんぶしてー”っていっつもだだこねてたのに」


カイ

「だからやめろって!」


エリス

(にこにこ)


アスナ

「いいのよ」

「今日くらい甘えときなさい」

「もうこんな甘えてらんないわよ?」」


カイ

「え?」

「何でだよ?」


アスナ

「だって・・・」


わーっと人々の声が聞こえる。


アスナはおんぶしたカイを崖の下から見えるよう、

ぐっと腰を回した。


その瞬間ー


人々

「おおおおおお!!!」

「英雄だ!!!」

「国を救ってくれた!!」

「おーい!もっとこっち見てくれ!」


カイは大きく瞳が揺れた。


アスナ

「あんたはもう・・・」

「この国の”英雄”になっちゃったんだから!」


カイは笑って、人々に手を振った。


そんな様子のカイを、アスナは優しい目で見つめる。


アスナ

(シキ・・・)

(カイは・・・これだけの人の救いになってるんだよ・・・)

(すごいでしょ?)

(シキにも・・・見てほしかったな・・・)


アスナの頬を、そっと雫が伝った。

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