第3章-10
カイ
「弱者?」
「悪いけど・・・」
「勝つぜ、おれは」
にっとカイは笑った。
カイ
「それに・・・」
「絶対に、勝ってこの国を変えてみせる!」
カイは切り込む。
ゲルグは静かに笑った。
ゲルグ
「お前は・・・変えられない」
「何もな」
次の瞬間。
カイの目の前で、ゲルグの薙刀の先の魔力が膨れ上がる。
カイ
(爆発なら・・・)
(受け身で捌ける・・・!)
ゲルグ
「ふん」
しかし、ゲルグは爆発ではなく、高速の炎の光線を放射状に発する。
薙刀の先から、いくつかの光線が放たれる。
【爆術・爆乱円射!!】
カイ
「なっ!?」
その光線をいくつか躱すが、一つがカイの服をかすった。
次の瞬間ー
ドォオオン!
かすった箇所から爆発が起こる。
カイは大きく吹き飛ばされる。血の雫があたりに舞った。
カイ
「ぐはぁっ・・・!」
カイは床に転がる。
ゲルグはカイを見下ろす。
ゲルグ
「お前もまた・・・」
「弱い・・・」
「わしが消した何千・何百という弱者の一人にすぎん・・・」
カイ
「ごほっ・・・」
「うるせえよ・・・!」
カイは何とか立ち上がる
カイ
「弱者だなんだとか・・・」
「訳の分からんことを・・・
「何言ってんだお前!」
ゲルグ
「分からんようなら教えてやろう・・・」
「弱者は罪だ・・・」
「弱者は、弱者なのが悪いのだ」
カイは動けない。息が荒い。
ゲルグ
「強者は、弱者を蹂躙する」
「世界の摂理だ」
その言葉にカイの指が、わずかに動く。
ゆっくりと、顔を上げる。
ゲルグ
「わしが消してきた村や国、お前の自警団の男も・・・」
「弱かった」
「その”弱い”という罪を、わしが裁いた」
「そして…今からお前を裁くのだ・・・!」
カイ
「……」
カイは下を向いて、ぎゅっと小さく拳を握った。
カイ
「……おい……」
ゲルグ
「・・・?」
カイフラつきながら、
キッとこれまでになく強い目でゲルグを睨んだ。
カイ
「お前・・・!」
ぎりっと歯ぎしりの音がした。
カイ
「弱いのが悪いだと...」
「強い奴が弱い奴を虐げていいだと・・・!?」
「ふざけるのも……いい加減にしろ……」
空気が、変わる。
カイの身体から、静かに“何か”が滲み出る。
脳裏に鮮明に光景が浮かんだ。
燃える孤児院・叫び声・シキの背中。
そして焼かれるエリスの村・崩れ落ちる家・エリスの、あの顔。
――いくつもの”地獄の光景”が重なった。
カイ
「お前みたいな奴の……」
剣を握る手が震える。
カイ
「クソな理屈を黙って聞いてられるほど……」
足が、地面を踏みしめる。
カイ
「おれは……」
顔を上げる。カイの目が、完全に変わった。
カイ
「人間ができてねえんだ……!!」
―ドクンと心臓の音が鳴る。
次の瞬間。
カイの周囲の空気が、“歪む”。
白い“何か”が、剣に集まる。
ゲルグが、わずかに目を細める。
ゲルグ
「……ほう」
カイが一気に踏み込んだ。
今までとは違う速度。
―ズンッ!!
床が砕ける。
ゲルグは、即座に反応する。
「ふん・・・!」
(速い・・・だが・・・)
(無駄だ・・・!)
腕に魔力を集中させる。
―カウンター爆発。
だが――その爆発の前に
カイの一閃がゲルグの腕に届く!
――シュバァァァッ!!
ゲルグの腕に、初めて“傷”が走る。
ゲルグ
「……っ!?」
(わしの鎧をこんな小僧が・・・!)
カイは止まらず連撃をしかける。
ゲルグの連続爆発のスピードを、一瞬だけ上回り続ける。
ゲルグのカウンターが、空を裂く。
―ドゴォォン!!
そして、カイの斬撃が、爆炎の隙間を通る。
―ザンッ!!
ゲルグに軽く斬撃が数発ヒットした。
ゲルグ
「……ほう」
(爆発の前の魔力の”溜め”を見切ったのか・・・)
(大した集中力だ・・・)
口元が歪む。
ゲルグ
「面白い・・・」
魔力が、さらに膨れ上がる。
全身が“爆発の塊”になる。
ゲルグ
「ならば・・・」
「これはどうだ・・・!?」
周囲一帯が震える。
―次の瞬間。
【爆術・衝爆周破!!】
ゲルグは自分を360度囲む爆発を、3秒ほど起こし続けた。
ドドドドドドドドドン!!!
一瞬、飛び込んだカイの斬撃と爆発が、真正面から激突する。
―ドォォォォォン!!!
爆発。
重く、圧し潰すような一撃。
カイが吹き飛ぶ。
壁に叩きつけられる。
ドガァン!!
カイ
「ガハッ!!」
「うっ……!」
視界が滲む。
呼吸が、うまくできない。
手の中の剣が、小さくなる。光が、消えかけている。
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