第3章-7
キフル
「ねえジボン?」
ジボン
「なんだ?」
キフル
「私、あの娘をいただくわ」
「最高・・・!」
うっとりした表情でアスナを見る
ジボン
「おいおい、おれはあの弱そうな方かよ?」
アスナ
(分断する気ね・・・)
(エリスを狙われるとまずい)
(2対1にはなるけど・・・)
アスナ
「エリス、後ろにー(さえぎられる)」
エリス
「アスナ!」
アスナ
「!?」
エリスは可憐さの中に強さを含んだ目でアスナを見る
エリス
「私は大丈夫ですわ」
アスナ
「エリス・・・?」
アスナはエリスと道中の会話を回想する
ーーー
【回想】
エリス
「私はずっと守ってもらってばかり・・・」
「団長さんだって・・・」
アスナ
「何言ってんのよ、治療だって立派なあんたにしかできないことでしょ?」
「いいのよ」
エリスは口をつぐむ
アスナ
「私なんてカイがちっちゃいころからお守りしてんだから、今更エリスを守るくらいー」
エリス
「でも!私はお二人に・・・」
アスナ
「!?」
エリスの目を見るアスナ。エリスの意志の強さを感じ取った。
エリス
「守ってもらうのではなく、”並んで立ちたい”の・・・」
アスナ
「エリス・・・」
エリスの、可憐だが芯のある目を見つめるアスナ
アスナ
「もう・・・」
「あんたも意外と頑固ねー!」
エリス
「な、そんなことありませんわ!」
アスナはくすっと笑い、エリスをじっと見ていう
アスナ
「気持ちは分かったわ」
「でも、無理しないこと?」
「いい?ちゃんと私たちを頼らなきゃダメよ?」
エリス
「アスナ・・・」
ーーー
アスナ
「・・・」
「分かった」
エリス
「!」
「アスナ・・・」
アスナ
「でも」
真剣な目でエリスを見つめる
アスナ
「何かあったらすぐ逃げること。分かった?」
エリス
「・・・」
「分かりましたわ」
ジボン
「作戦会議は終わったかよ!?」すぐさま切りかかる
「ドゴォン!」
エリス
「!?」
エリスの足場に斬撃が当たる
足場が崩れエリスが下の階に落ちる
エリス
「きゃああ!」
アスナ
「エリス!」
そのアスナの足元に風の斬撃が飛ぶ
察知し避けるアスナ
キフル
「ふふふふ・・・」
アスナ
「っ!」
(エリス・・・!)
ーーー
回想が空ける。
キフル
「あなたは私が遊んであげる」
「うふふふ」
アスナ
(エリスも心配だけど・・・)
先ほどのエリスの覚悟を思い出す
アスナ
(まずこいつを倒す!)
「来なさい」
キフルはアスナに近づき、持っている鞭で攻撃をしかける
ピシィ!
アスナは余裕をもって見切り、躱す。
アスナ
(スピード・キレ、どちらも問題ない・・・)
(高速でたたき伏せて・・・!)
アスナは追撃をしかけるが、キフルはすぐ回避し、後退していく
キフル
「ふふふ・・・」
アスナは追撃の拳・蹴りを繰り出すも、キフルは後退し、奥に引いていく。
アスナ
(何・・・?)
その時、エリスが落ちた下から「ドォン!」と音が聞こえる。
アスナ
「っ!」
「エリス・・・」
「待ってて!」
怪しみながらもキフルを追っていくアスナ。
そのころー
ジボンが連続で切りつける
エリスは何とか躱す+風の魔法で相手を押し返すが、防戦一方。
エリス
「ハァ・・・ハァ・・・!」
ーーー
キフルを追っていくアスナは、奥まった部屋に追い込む。
キフル
「ふふ・・・あのお友達が心配?」
アスナ
「・・・」
鋭い目でキフルを睨む
(少し追いすぎた)(早くエリスのところに戻らないといけないのに・・・)
アスナは部屋に舞う風を感じる
アスナ
(風・・・?)
次の瞬間、アスナの世界が傾くーグラァー
アスナ
(!?)
立ってられず膝をつく
アスナ
(これは・・・)
キフル
「ふふふ」
アスナ
(さっきの風・・・何かしたわね・・・!)
それでも距離をしかけ鋭く蹴りをしかけるアスナ
ビュッ!
キフル
「!?」
キフルの髪が数本、宙を舞う
アスナ
(感覚が・・・ずれてる・・・)
キフル
「惜しかったわね・・・ふふふ」
「戸惑っちゃって・・・かわいいわ・・・」
だんだんと力が入らなくなるアスナ。
アスナ
(まずい、この部屋から出ないと・・・)
後退しようとするアスナに、女の鞭が当たる
アスナ
「きゃあああああ!!」
想像だにしない激痛
アスナは倒れ込む。
アスナ
(な・・・なにが・・・)
外傷はほとんどない、それなのに、肌の表面がビリビリと痛む
アスナに脂汗が浮かぶ。
キフルがそれをべたつく笑顔で眺める。
一方ーー
エリスが血を流して倒れている。
ジボン
「フン。つまらん」
「キフルのやつは・・・まだか・・・」
「”いつものやつ”だと、今日もかかるだろうな」
ーーー
キフル
「どうかしら?」
「神経に作用する麻酔を揮発させ、風に混ぜ込んでるの」
アスナはうずくまりながらも、キフルを鋭い目で見る
キフル
「特にあなたみたいなかわいい子には、とっておきの神経麻薬を使ってあげたわ」
アスナ
(痛みだけが異様に大きいのは、感覚の神経ね……)
キフル
「どう?力も入らないでしょう?」
アスナ
「あら・・・」
「ずいぶん丁寧にいろいろ教えてくれるのね・・・」
「後悔するわよ・・・?」
アスナは話しながら風がさらに部屋に舞いだしたのを感じる。
だんだん、目も霞んできた。
キフルは楽しそうに話す。
キフル
「あなたのような強くて壊しがいのある子を苦しませて殺してあげるのが、一番楽しいわ」
「ふふふ」
「昨日もね・・・生意気な女の子で遊んでたら・・・」
「その子、最後は泣きながら”殺して”って叫んでて・・・」
「ブタが泣き喚くみたいで、本当に最高だったわ!」
アスナは笑って話すキフルを見据えたまま軽く笑う。
アスナ
「・・・楽しく1人語りしてるとこ悪いけど・・・」
「オチのない話ね・・・眠くなってきちゃうわ・・・!」
キフルはニッ笑う。
キフル
「ふふふ」
「そういう強気な物言いも・・・すごく素敵ね」
立てないアスナの髪を掴む
キフル「どう?こうなったあなたはおしまいなの」いやらしく眼前で話すキフル
アスナの頬にキフルの息がかかる。
キフル
「かぷっ」
アスナの耳を甘噛みする
アスナ
「うああああ!!!」
激痛に自分でも想像しないような大声が出る。
キフル
「ほら、もう何されても気が飛びそうなんじゃない?」
アスナ
「ハァ・・・ハァ・・・」
屈辱と怒りが湧いたが、アスナの体はむなしいほど言うことを聞かなかった。
アスナは必死に腕を振り、炎弾を作り出す
【火術・連炎焼!!】
3発、キフルの方を狙ってはいるが視界が定まらず大きく外れる
アスナ
(……くそ、距離も方向もズレてる)
炎弾は、虚しく壁を焼いただけだった。
キフル
「あら、もう全然見えてないじゃない」
「ふふふ」
アスナ
「くっ・・・」




