第3章-4
その日の朝
団長を弔う自警団。
団員
「団長・・・」
「俺たちを逃して・・・」
「ちくしょう・・・
カイは静かに、しかし何かがはっきりと”熱くこみあげてくる”のを感じていた。
涙ぐむエリスの横で団長の遺体に話しかける。
カイ
「団長・・・」
「絶対に・・・敵は取ってやるからな・・・」
アスナ
「カイ・・・!」
ーその一方、滝の下に落ちたゲルグとジボン。
ジボン
「ゲルグ様!」
「ご無事ですか?」
ゲルグ
「・・・」
ゆっくり起き上がるゲルグ。
首をポキポキと鳴らした。
ジボン
「ゲルグ様!」
ゲルグ
「ふん・・・なるほどな・・・」
「噂通り、面白いガキどもだ・・・」
ジボン
「いかがいたしましょう?」
ゲルグ
「夜が明ければ奇襲はしづらいからな」
「楽しみは取っておくとしよう」
ゲルグは歩き出した。
ゲルグ
「いくぞ」
ジボン
「はっ!」
ーーー
その日の夕方
神妙な面持ちで話すカイ・アスナ・エリスとエリカ。
アスナ
「これから、どうしましょうね・・・」
「あれでゲルグを倒せたとは思わない・・・」
「滝下に遺体もなかったし」
エリカ
「団長がいなくなって・・・」
「正直自警団の戦力はほとんど・・・」
「私も戦いの魔法はほとんど使えませんし・・・」
エリス
「・・・」
アスナ
「・・・」
エリカ
「昨日のように奇襲を受けたらひとたまりもありません」
「ここはひとまず・・・ゲルグたちに見つからないようにして時間を稼ぎ・・・」
「戦力を整えるのがー」
カイ
「ダメだ」
「そんなの、意味がねえ」
あまりにもぶっきらぼうなカイの発言が、会議室に響いた。
アスナ・エリス・エリカ
「!?」
エリカは、周りから見ても明らかに、頭に血が上っていた。
机をバンッ!と大きな音でたたいた。
エリカ
「意味がないって・・・」
「何ですかその言い方は!」
「私は・・・この自警団を任されて・・・」
カイ
「時間稼ぎって、本当にできんのかよ?」
エリカ
「!?」
カイ
「今襲いに来る可能性だってあんだぞ?」
「それに、逃げ回ってる間に他の村が消されたら・・・」
「何のための自警団だよ?」
エリカ
「・・・」
エリカは下を見て悲痛な表情を浮かべる。
エリカ
「そんなこと分かっています・・・」
「もちろん・・・分かっていますよ!!」
「でも・・・今の私たちには・・・」
アスナ
「エリカさん」
優しくアスナが話しかけた。
アスナ
「カイの言い方が・・・ごめんなさい」
「でも・・・」
「私もカイに賛成です」
エリカ
「!?」
エリス
「・・・」
「ええ・・・!」
エリスは強い目でカイを見た。
カイ
「こっちから出向いて、あいつらをぶっ倒す!!」
「それでみんな助かる!団長の敵も取れる!」
エリカ
「・・・!」
アスナ
「作戦は知らん!」
「アスナ!よろしく!!」
エリカ
「カイ・・・」
アスナ
「もう・・・」
「しょうがないわね」
「任せときなさい」
エリス
「やってやりますわ!」
エリカ
「皆さん・・・」
「ありがとう・・・」
エリカはそっと涙を拭いた。
ーーー
作戦室で、アスナとエリカが話をしていた。
エリカ
「分かりました、ゲルグの居場所」
「このルニール国の西の果て、丘の上の古城・・・」
「ここからそんなに遠くない距離です」
アスナ
「ありがとう、エリカさん」
「魔力を追跡する魔法が使えたなんて・・・」
「こんな高等魔法、初めて見た」
エリカ
「いえいえ」
「あれだけ派手に魔力の痕跡をゲルグが残していましたからね」
「まあ、この自警団では追跡以前に魔法が使える者も少ないですし・・・」
「あまり使い道のない魔法だったんですが、まさかこんな時に役に立つなんて」
「もう少し実践向きの、実用的な魔法が得意だったらよかったのですが・・・」
アスナ
「いいのよ」
「カイなんて、不得意だらけよ?」
くすっと笑うアスナ
アスナ
「魔法だって使えない・・・」
「でも・・・カイにしかできないことがある・・・」
先ほどの作戦会議で、カイがゲルグ撃破の音頭を取ったことを、アスナは回想した。
アスナ
「不思議よね」
エリカ
「・・・」
「信頼しているのね、カイのこと」
アスナ
「え?」
エリカはそっと笑った。
エリカ
「何でもないわ」
エリカは切り替えて話し出した。
エリカ
「それにしても・・・やっぱり絶対的な戦力が足りないわね」
アスナ
「そこなのよね・・・」
「攻城戦になると、どうしても向こうの方が物資も戦力も余裕がある・・・」
「かといって丘の上にある城じゃ、囲んで攻め込んだりもできない・・・」
「そもそもそんな物量勝負ができる余裕は、もちろんこの自警団にはないし・・・」
ふーっとアスナは息を吐いた。
その話の途中、突然外から物音がする。
カイが、作戦室に入ってきた。
カイ
「おーい」
「エリカさん、お客だよ」
エリカ
「お客?」
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