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第2章-8

3人に低く、不快な声が響く。

「おいおい」


カイ・アスナ・エリス

「!」


バルガンが気だるそうに奥から出てきた。


バルガン

「おれがちょっと出てる間に」

「なんだよ、このザマはよぉ」


ゆっくりと、視線が向けられる。


バルガン

「……おめえらか」

「お嬢様も、いるじゃねえか」


ニヤつく。


バルガン

「昨日は逃げられちまったからなぁ」

「――あのガキの、供養は済んだのかよ!?」


アスナ

「……こいつ……!」


エリス

「……」


エリスは、静かにバルガンを見る。


エリス

「……お黙りなさい」


バルガン

「あ?」


エリス

「私は……あなたを、許さないわ」


可憐な顔。

だが、その瞳には――

はっきりとした、怒りが宿っていた。


ブォッ――


風が逆巻き、

空気が、一変する。

エリスの魔力、そして静かな憤怒が空間を埋め尽くしていくのがカイには分かった。


カイ

「……エリス……」


バルガン

「フン……」

「温室育ちのお嬢様が、言うようになったな」


剣を構える。


バルガン

「助っ人まで連れて……」

「大したもんだぜ」


不敵に、笑う。


バルガン

「来いよ!」

「あの村の全員に――」


踏み出す。

アジトの石畳がバキバキッと音を立てた。


バルガン

「すぐ、会わせてやる!!」

ーーー

バルガン

「おらぁ!」


アスナ

「はっ!!」

【火術・火時雨!!】


アスナは、いきなり切りかかってくるバルガンに炎を連続で浴びせる。


ドォン!と煙があがる。


アスナ

(なるほどね・・・)


煙が次第に晴れていく。

バルガンはピンピンした様子で煙の中に立っていた。


バルガン

「ブハハハ!」

「おれのこの”黒鉄の鎧”は、おれの武勲から帝国王から授けられた特別製だ!」


カイ

(アスナの魔法が効いてねえ・・・)


アスナ

(さっき、私の炎が当たる直前に・・・)

(あの鎧が炎をかき消した・・・)


バルガン

「分かったようだな?」

「この鎧は、火・水・風・土の4属性全てを消散させる!」

「分かるか?」

「貴様らの軟弱な攻撃と魔法では・・・」

「おれに傷をつけることすらできん!」


エリス

(そう・・・)

(この鎧で・・・お父様の魔法を中心とした部隊は・・・・)


カイ

「無駄かどうかは・・・」

「やって見なきゃ分かんねーだろ!」


カイは素早くバルガンの懐に入り、剣を振るう。


バルガン

「ブハハ!」

「スピードは悪くないが・・・」

「無駄だ小僧!」


バルガンの野太い声が戦場に響き渡る。


それと同時に、カキィインと高い音を響かせ、カイの斬撃が鎧に受け止められた。


カイ

「くそ・・・」


アスナ

(カイのスピードを乗せた攻撃も効かない・・・!)


カイは低く構え、全身のバネを絞り出すようにして剣を振り抜く。


カイ

「これならどうだ……ッ!」

先ほど手応えを掴んだ飛ぶ斬撃。

それは空気を震わせ、一直線にバルガンの胸元へと迫る。


しかし、バルガンは避ける素振りすら見せない。


パキィイイン!と金属が激突する硬質な音と共に、斬撃は火花を散らして虚空へと弾かれた。

バルガンは微動だにせず、鼻で笑う。


バルガン

「面白い剣技だな・・・だが・・・」

「蚊に刺されたほども感じん」

「その程度の小細工、我が鎧には傷一つ付かぬ!」


カイ

「くそ・・・」


バルガン

「そら!」

軽くバルガンは斧を振るう。

カイは回避するが、その衝撃から吹き飛ばされる。


カイ

「うわっ!」

(くそ・・・でかいくせに・・・

(速い・・・!)


バルガンはその大柄な体格には見合わない素早い連撃をカイにしかける。

カイは必死に剣で受ける。


バルガン

「ほらどうした!」

そのバルガンの横から、アスナが顔面を狙って蹴りを入れる。

シュッと音を立て、バルガンの頬に浅い切り傷ができる。


アスナ

(浅い・・・)


バルガン

「小癪な!」

斧の死角に位置を移動したはずのアスナの腹に、バルガンは斧の柄をヒットさせる。


アスナ

「うっ・・・」

「がはっ・・・!」


アスナは思わずその場に膝を着いた。


バルガン

「まずはお前からだ小娘!」


アスナ

(くっ・・・)


カイ

「アスナ!」

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