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第2章-7

ロットンはカイとの交戦中にモルディが倒されるのを目にする。


ロットン

「モルディ!」


カイ

「アスナ・・・」

「やったな!」


ロットン「クソっ!」

ロットンはエリスのもとに走る


エリス「きゃっ!」

刃が、エリスの喉元に突きつけられた。


ロットン

「来いよ――」

「この女、ぶっ殺すぞ!」


一瞬で、空気が凍りつく。


アスナ

「エリス!」


カイは歯を食いしばり、

アスナは、戦闘の傷で動けずにいた。


その時――


「カイさん!!! 構わないで!!」


震える声が、場を裂いた。


ロットン

「!?」


エリス

「……私は……お二人の足手まといかもしれません」

「でも……これは、私のための戦いです!」


喉が震え、

瞳に涙が浮かぶ。


それでも――

エリスは、目を逸らさなかった。


エリス

「お二人が命を懸けて戦ってくださっているのに......」

「私が……命を懸けずに……」

「何が、できるというのですか……!」

(先ほど、自分のために戦ってくれたアスナを思い出す)


大きく、息を吸う。

震えを、押し殺す。


エリス

「カイさん……!」

「私は……」

「覚悟はできています!!!」


カイ

「……エリス……」


短い、沈黙。


そして――

カイは、静かにうなずいた。


カイ

「ああ……分かった」


ロットン

「お、おい……?」

「……本当に、殺すぞ?」


戸惑いが、声に滲む。


(なんだ……この女……)

(この“胆力”は……)


刃先が――

わずかに、揺れた。


その一瞬を、

カイは、見逃さなかった。


カイ

「エリス……」

「お前は、こんな奴なんかより――」


一歩、踏み出す。


カイ

「ずっと、つええ」


エリス

「……カイ、さん……」


ロットン

「……ちくしょうが!!」

「死ね!!」


剣が、振り下ろされる。


――その瞬間。


間合いを詰めたアスナの蹴りが、

剣を横から弾き飛ばした。


ガキンッ!


ロットン

「うおっ……!」


エリス

「……え……?」


ーーー


アスナ

「エリス、早く!!」


アスナはエリスを抱き寄せ、

一気に距離を取る。


カイ

「アスナ!さんきゅ!」


ロットン

「くそが!!」


カイ

「おい」


視線が、真正面からぶつかる。


カイ

「――お前の相手は」

「俺だろうが!!!」


ロットンは近くの大斧を掴み、

振りかぶる。


ロットン

「このガキィ!」


バキィイン!!


激突。


近距離戦。

それでも、体格に勝るロットンが、カイを押し込む。


ロットン

「ハハハ!」

「てめぇは、おれには勝てん!!」


――その時。


カイは、本能的に宙へ跳んだ。


ロットン

「馬鹿が!」

「空中なら、スピードも関係ねえ!!」


カイ

「うらぁ!!」


――”見えない何か”が剣から走り、空気を、斬った。


次の瞬間。


高速の斬撃が、

一直線にロットンへ降り注ぐ。


バキィンッ!!


大斧が、宙を舞った。


ロットン

「うおっ……!」

(……なんだ、今……?)

(何か……飛ばしたのか……?)


アスナ

「……あれは……」

(空気を切って……斬撃を、飛ばした……?)


気づいた時には――

カイは、もう懐にいた。


ロットン

「くそっ……!」


カイ

「――ッ!!!」


一閃。


ロットン

「ガ……ハッ……」


崩れ落ちる。


――――

カイ

(……なんだ、今の......)


カイに、確かな手応えはなかった。


それなのに――

敵の武器は、確かに弾かれていた。


カイ

(……何が、起こったんだ……?)


アスナ

「カイ!」

「ナイス!」

「…でも…何?」

「あの攻撃……」


カイ

「さあな」

「おれにも、わからねえ」


少しだけ、視線を落とす。


カイ

「ただ……斬らなきゃ、って思ったんだ」

「それで、必死でやったら……」


アスナ

(……カイと、これまで何度も訓練してきた)

(あんな動きも、あんな攻撃も……見たことない)


アスナ

「まるで……」

「剣が、カイの思いに応えたみたい」


一瞬の沈黙。

アスナには、カイの手の中の剣が、少しだけ光ったような気がした。


カイ

「……まあ」


剣の柄を、軽く叩く。


カイ

「おれの相棒だからな!」


アスナは、そっと笑った。


アスナ

「……カイ」


そっと、右手を差し出す。


カイ

「へへ」


軽く、手を打ち合わせる。


―パチン。


アスナは横でうずくまるエリスに優しく声をかける。


アスナ

「エリス、大丈夫?」

「怖かったよね。頑張ったね」


エリス

「ぐすっ……」

「……大丈夫ですわ、これくらい……」


強がる声の奥で、

まだ、震えが残っている。

自分の白いワンピースの袖を、ぎゅっと握っていた。


カイ

「エリス!」


振り向いたエリスに、

満面の笑みを向ける。


カイ

「お前、すごいな」

「見直したよ!」


エリス

「……?」


カイは、

さっきと同じように――

手を差し出した。


エリス

「……?」

「あっ……」


(カイさんとアスナさんが、

さっきやっていた……あれ……?)


戸惑いながらも、

そっと手を伸ばす。


「……ぴと」


触れるだけの、ぎこちないハイタッチ。


カイ

「へへ」


エリスの肩が、

少しだけ、緩んだ。


カイ

「それじゃ……」


ゆっくりと、前を見る。


カイ

「いくぜ」


表情が、一変する。


エリス

「……」


カイ

「エリス……」


エリス

「……ええ」

「参りましょう」


その瞬間――

アスナは、エリスの小さな震えに気づいた。


何も言わず、

そっと肩に手を添える。


アスナ

「大丈夫」

「私たちが、ついてる」


エリスは、

小さく―うなずいた。

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