↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
130/152

第8章-9

ギーガーは、砕け散る竜巌骨を見ながら倒れていく。


ギーガー

(これは・・・)

(何が・・・)

走馬灯のように、全ての光景がスローモーションに流れた。


そして、ギーガーは自らの過去を回想した。


◇◇◇◇◇


【回想】


「ギーガー」

「全ての命にはね・・・意味があるの」

「あなたにも・・・きっと」

母親から聞いた、最後の言葉だった。


おれは、竜人族の唯一の生き残りだった。


古の時代、世界を制していたと言われる竜族の力を受け継いだ、

圧倒的な強さを持つ誇り高き一族ー


そんなことを母親が言っていた。


だが少数民族のくせに本能のまま戦いに明け暮れる中で、種族のほとんどは散って行った。


結局、生き残ったのは母親とおれだけ。

その母親も、ぽっくり病気で死んだ。


・・・命の意味だ?

無駄死にした一族の奴らも、おれなんかを残してあっけなく死んだ母親も・・・

あいつらの命に何の意味があるってんだ。


それからおれは、一人だった。

誰と関わることもない。


おれは世界に興味はないし、世界もどうせおれに興味はない。

きっと、今おれが死んでも、世界はそれに気づきもしないだろう。


おれは、何なんだ?

おれの命には、何の意味があるんだ?

そもそも、本当にこの命に意味なんてあるのか?


・・・


あてもなく歩いて、ただ生きていた。

というより・・・死ねなかっただけ。それだけ。


ある時、道の花を踏み潰した。

・・・踏み潰されたのが、おれだったらよかったのに。


いつだったか、帝国軍がおれに話しかけてきた。


帝国王

「貴様が、竜人族の生き残りか」


ギーガー

「・・・」

「知らねぇよ」


帝国王

「ハハハ!」

「知らないときたか!」


ギーガー

「おれが何者でも・・・」

「別に・・・何でもいいだろ」


帝国王

「ハハハ!」


ギーガー

「?」


帝国

「その通りだ!」

「貴様が何者なのかなど、どうでもいい!」


ギーガー

「・・・」


帝国

「そんな何物でもないお前に、居場所をやろう」

「お前は・・・必要なのだ!」

「この世界にな!」


ギーガー

「おれが…必要…?」


帝国軍に入った後は、楽だった。

いろんな敵がいて、そいつらとただ戦えばいい。

とにかく、楽だった。


国の侵略だの、軍略だの、くだらねえ。


ただ強くなること。そして強さを使って敵を殺すこと。

それが、おれが視認できる世界の全てだった。


これが本能ってやつなのか、確かに強いやつらと戦うことは楽しかった。

だが・・・


おれは何だ?

おれは何がしたかったんだ?

何のために生きている・・・?

命の・・・意味・・・?


帝国王

「これまでの功績を称え・・・」

「ギーガー、お前を7大団長の一人に任命する」


帝国兵

「ギーガー様!」

「あんな強いお方なんだ、7大団長も当然だな!」

「一生着いていきます!」


なんだ・・・

この埋まらない渇きは?


なんだ・・・

この空虚さは?


・・・

めんどくせぇ。



戦いで敵の軍勢を殺したその返り血の中で、おれは悟った。


そうだ、これが”答え”だ。

おれは”強くあればいい”。

おれ自身のために、強くあること。

それがおれの命の意味。


それで・・・いい。


◇◇◇◇◇


回想が明ける。


倒れながら、折られた竜巌骨を見上げるギーガー。


ギーガー

(なぜだ・・・なぜ、おれはこいつの前で這いつくばってる・・・?)


ギーガーの目には、小さな身体に大きな光をまとい、

そして強い意志を宿した瞳を持つカイの姿が映っていた。


ギーガー

(こいつには・・・あるってのか・・・)

(おれにはない・・・)

(強さ・・・が・・・)


ギーガーは小さく呟いた。


ギーガー

「違った・・・のか・・・?」

「おれの・・・”答えは”・・・」

続きが気になった方は、ぜひブックマークや下の【☆☆☆☆☆】での評価で応援していただけると励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。