第8章-5
カイ
(届かないか・・・)
ギーガー
「まだ足りねぇなあ?」
「他にはねえのかよ、おい?」
そこに、帝国軍の黒いワンピースのけだるげな女・オンブルが、
ぶおおっという音と黒い風を纏ってやってくる。
オンブル
「どーもー」
小さい子犬を抱えたまま、気だるげな表情で話した。
カイ
「!」
オンブル
「ギーガー様ぁ」
カイ
(援軍か・・・?)
ギーガーは集中していて聞いていない様子。
オンブル
「ギーガー様ってばぁ」
ギーガー
「あん?」
「オンブルてめぇ、今話しかけんな」
「いいとこなんだ、ぶった斬るぞ」
オンブル
「こわーい」
ちらっとカイを見るオンブル。
オンブル
(へぇ・・・)
(この子・・・)
カイ
「?」
オンブル
「ギーガー様と斬り合うなんてすごい子ですねぇ」
「ぷふふっ」
小さな笑みを浮かべるオンブル。
オンブル
「ギーガー様、魔法使わないんですかぁ?」
「この子、魔法使えないみたいですよ」
「ぷふ、ぷふふふっ」
小ばかにした様子だが、カイは意に介しない。
ギーガー
「・・・こいつはおれが斬る」
「魔法なんかで倒して、何がおもしれーんだよ?」
「口出してくんな、クソ日陰女」
オンブル
「ぷふふっ」
「めんどくさいですよそんなのぉ」
オンブルがにやりと笑った。
オンブル
「魔法で私が殺しちゃおうかなぁ?」
ちらりと横目でギーガーを見るオンブル
オンブル
「!」
その時、ギーガーの空気が変わる。
ギーガー
「・・・」
辺りに、ズゥウウウウウン!!と重苦しい”怒気”が広がる。
カイ
(このオーラ・・・)
様子の変わったギーガーの異変に気づくカイ。
ギーガー
「・・・」
「しゃべんな」
オンブル
「・・・!」
オンブルを、赤黒い凶暴な光を秘めたギーガーの黄色い目が捉える。
ギーガー
「・・・」
「ぶっ殺すぞ?」
オンブル
「・・・」
オンブルは、一瞬呼吸を忘れた。
オンブル
「・・・はーい」
数秒ぶりに息を吸うオンブル。
オンブル
「じゃぁ、早くしてくださいよぉ」
オンブルは黒いオーラを放って消えていった。
カイ
(今のは・・・)
ギーガー
「ああ、気にすんな」
「うるせぇハエだ」
「心配しないでも・・・」
ギーガーは変わらず、狂気をまとった血走った目でカイを睨む。
ギーガー
「お前は・・・」
「おれが殺してやるよ・・・!」
カイ
「・・・」
カイは集中した様子で睨み返した。
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