第1章-12
ボルジック
「まあいい、ちょうどいいや」
「……この前はよ……」
ボルジックはじっくりかみしめるように言った。
ボルジック
「この“聖剣グリオギヌス”の……」
「試し切りが、できなかったからな……」
ボルジック
「しかし散々暴れてこんな献上品がもらえるなんて
帝国はホントに太っ腹だぜ!」
カイ
「……帝国……?」
ボルジック
「あ?」
「気になるのか、小僧?」
カイ「......」
ボルジック
「帝国の連中がよ――」
「山賊のおれたちに、村々を襲わせる」
ボルジック
「奪った金品の一部を帝国に納める」
「そうすると――」
ボルジック
「こうして、こんな上等な武器や資材が回ってくるってわけだ!」
「ハーッハハハハハ!!」
ボルジック
「……なんで、こんな話をしたか……」
「分かるか?」
にやり、と笑う。
ボルジック
「てめぇら二人は――」
「ここで、確実に殺すからだよ!!」
――次の瞬間。
巨大な火球が、
二人の間へ叩き込まれる。
カイ・アスナ「っ!?」
2人は、左右別々に避ける。
ドォン!!後ろの石の壁に火球が当たる。
アスナ
「カイ!!」
(……分断された……!)
ボルジックは、
迷いなく――
カイへと迫る。
ボルジック(あの小娘は炎の扱いに慣れてやがる……)
ボルジック(少々、ダリい……)
ボルジック
「……まずは、てめぇだ」
「小僧!!」
火球が、
連続で放たれる。
カイは必死に剣で受ける――
その隙に、
背後へ――
ボルジックが回り込む。
ボルジックがグリオギヌスを振るう
カイ
「くっ!」
剣を躱した、その刹那。
空いた懐へ――
拳。
ボコォッ!!
カイ
「――ぐっ!!」
地面を転がる。
アスナ
「カイ!!」
カイ
「……ガハッ……」
「……くそっ……」
アスナ
「大丈夫!?」
カイ
「ああ……」
「こんくらい……どうってことねえ……!」
ボルジックは、
腹を抱えて笑った。
ボルジック
「なんだよ、小僧!!」
ボルジック
「お前――」
「本当に、魔法が使えねえのか!!」
ボルジック
「ハーッハハハ!!」
「こいつは傑作だ!!」
ボルジック
「かわいそうになぁ!」
「魔法も使えねえのに、おれの前に駆り出されて!」
ボルジック
「――そして、死ぬ!!」
ガーッハハハハ!!
アスナ
「……」
カイ
「……ボルジック……」
ボルジック
「あ?」
「命乞いか?」
カイ
「……お前は……」
「覚えてるか?」
カイ
「二年前……」
「お前が焼き払った――」
「孤児院を」
ボルジック
「ああ?」
「ああ、覚えてるが?」
ボルジック
「それが、どうした?」
ボルジック
「忌々しいな……」
「あの時はよ……」
ボルジック
「金髪のガキに、仲間をだいぶ斬られた」
ボルジック
「――けどな」
ボルジック
「おれが、殺してやった!!」
ボルジック
「ハーッハハハハハ!!」
アスナ
「……こいつ……!」
カイ
「……許さねえ……」
ボルジック
「あ?」
カイ
「おれは――」
「お前を、許さない!!」
ボルジック
「へえ?」
「知り合いだったのか?」
ボルジック
「安心しろよ」
「すぐに――」
「お前らも殺してやるからな!」
――カイが、
飛び出す。
アスナ
「カイ!!」
「落ち着いて!!」
ガチン――!!!
聖剣グリオギヌスが、
カイの剣を受け止める。
ボルジック
「ふん……」
「相変わらず――」
ボルジック
「単調な攻撃だぜ――」
――だが。
ボルジック
「……へへ……」
ボルジック
「……!?」
違和感。
カイの剣から――
何かが、
溢れている。
闘気。
あるいは――
意思。
ボルジック(なんだ……この刀……)
ボルジック(……止められねえ……!?)
カイ
「ボルジック!!」
カイ
「お前だけは……!」
「お前だけは……!!」
カイ
「絶対に、許さない!!!」
カイ
「うおおおおおおおおお!!」
アスナ
「……これ……」
「……カイ……なの……?」
(この……オーラは……?)
カイ
「おおおおおおおおお!!」
――バキィィンンンン!!!
聖剣グリオギヌスが、
砕け散る。
破片が、宙を舞う。
ボルジック
「――なっ……!?」
バシュッ!!
カイの刃が、
ボルジックの胸を――
切り裂く。
だが。
砕けた剣の反動で、
カイは体勢を崩す。
――あと一歩。
届かない。
斬撃は、
浅く走るだけだった。
ボルジック
「……チッ……!」
ボルジック
「このガキ……!」
「大事な剣を、おっちまいやがって!!」
距離を取る。
警戒の目。
ボルジック
(……パワーが上がった……?)
(いや……)
(……剣に、何かある……)
アスナ
「カイ!」
アスナ
(……今ので……)
(カイの攻撃は、完全に警戒された……)
アスナ
(……こうなったら……)
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