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第1章-11

薄暗い拠点の奥。


ボルジックは、

不釣り合いなほど美しい剣を、うっとりと眺めていた。


ボルジック

「……しかし、ほれぼれするぜ」

「聖剣グリオギヌス……」


子分A

「へへ……」

「帝国からの献上品は、やっぱ格が違いますねぇ……」


ボルジック

「だがよぉ……」

「まだ“人間”で試し切りができてねぇんだ」


ゆっくりと、視線を子分Aへ向ける。


ボルジック

「――お前で、試してみるか?」


子分A

「ひっ――!?」


一瞬の沈黙。


次の瞬間。


ボルジック

「……冗談だよ」


子分A

「……は、はは……」


その時。


駆け込んでくる影。


子分B

「お、お頭!!大変だ!!」


ボルジック

「あぁ?」

「今度は何だ、騒がしいな」


子分B

「拠点のはずれで、ボヤ騒ぎです!」

「……もう、けっこう火が回っちまってて……!」


ボルジック

「チッ……」

「さっさと対応しろ!」


子分B

「へい!もう手の空いてる奴らは向かわせてますが……!」


ボルジック

「なら他の連中も行かせろ!」

「ぐずぐずすんな!」


子分たち

「へい!!」


足音が、遠ざかっていく。


――拠点に残ったのは、ボルジック一人。


ボルジック

「ったく……」


次の瞬間。


ボルジック

「……!?」

「――誰だ!」


闇の中から、二つの影が現れる。


カイと、アスナ。


ボルジック

「……なんだぁ?」

「誰かと思えば、この前のガキかよ!」


ボルジック

「迷子か?」

「ハーッハハハハ!!」


カイ

「ボルジック……」

「今日で、お前を討つ!」


ボルジック

「へっ!」

「正気か、お前ら?」


ボルジック

「ここは――おれの拠点だぞ?」

「たかがガキ二人で、何ができるってんだ!」


アスナ

「あら?」

「それじゃあ……お仲間を呼ぶ?」


ボルジック

「……あ?」


アスナ

「今起きてる“ちょっと大きめのボヤ騒ぎ”から」

「人を戻しても、いいのかしら?」


ボルジック

「……」


アスナ

「――ああ、そうそう」


アスナは、にこりと笑う。


アスナ

「あんたがお仲間を呼んでくる間に、拠点の別の場所も燃やしておくわね」


ボルジック

「……なに?」


アスナ

「だって、いい拠点じゃない?」

「周辺の村々からも遠すぎず」

「しかも山間で攻められにくい」

「でも立地の傾斜がゆるやかで物資の運搬などをしやすい」

「これから山賊団として再起するにはうってつけよね」


アスナ

「そんな“理想的な拠点”を――」

「“たかがガキ二人”のせいで焼け野原にしても、構わないなら」


一拍。


アスナ

「どうぞ」

「お仲間を呼んだらいかがかしら?」


沈黙。


遠くで、梁が崩れる音がした。

火の匂いが、じわりと広がる。


ボルジックの表情が、歪む。


ボルジック

「……てめぇら……」


その横で、カイが目を丸くする。


カイ

「ア、アスナ……!」

「そんなとこまで考えてたのかよ……!」


カイ

「すげーな……」

「……でも、お前も相当悪い奴だぞ」


アスナ

「……あんたは黙って集中しなさい」

(もう、ほんとこのバカ……)

一瞬呆れた表情を見せるアスナだが、不思議と緊張がほどけるのを感じた。


ボルジック

「……舐めやがって……」


剣を、握り直す。


ボルジック

「本当に――」

「殺されてぇらしいな……!!」


空気が、張りつめる。

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