06戦乙女の壊し方
夜。
扉を叩く音は、三度目でようやく止まった。
「……開いてるよ」
中に入ってきたアンジェラは、少しやつれて見えた。
髪は乱れている。
視線も、どこか落ち着かない。
「……久しぶり」
絞り出すように言った。
「どうしたの?」
ベッドの上で体を起こしながら、僕は笑う。
わかってるけど、聞く。
「……もう、失敗できないの」
短く、はっきりと。
「このままだと……Bランクに落ちる」
拳が、ぎゅっと握られる。
「だから」
一拍。
アンジェラの喉が鳴る。
「戻ってきてほしい。」
一瞬の沈黙。
空気が、止まる。
「……へえ」
僕は、ゆっくりと首を傾げた。
「それって、どういう意味かな?」
静かに問う。
アンジェラは、口ごもる。
目を伏せ、足元の床を見つめる。
「アンジェラの剣が壊れなかった理由、知ってる?」
唐突に、僕は言った。
「……え?」
「君の、あの剣」
少しだけ、楽しむように間を置く。
アンジェラは、わからないという顔でこちらを見上げた。
「実は――僕が壊れないように魔法をかけていたからなんだよ。」
僕は苦笑する。
アンジェラは、目を見開いた。
「……は?」
声音が、固まる。
それは無理もない反応だろう。
「そ…そんなの聞いていない!!」
信じられない、という様子で叫ぶ。
「うん」
僕は頷く。
「だって、言ってないもん」
その一言で、
部屋の空気が完全に変わった。
「ッ……この!?」
怒りに任せて殴りかかってきたアンジェラのパンチを――
僕は片手で受け止める。
「な……なんで?」
目を白黒させるアンジェラ。
力では圧倒的に僕の方が弱いはずなのに、何故止められたのか。
答える必要はない。
それよりも面白いから続ける。
「どうしてだろねぇ」
アンジェラの頬を片手で挟むように持つ。
「お願い、してみてよ」
「……なにを」
視線が泳ぐ。
驚きと羞恥で頭が混乱しているようだ。
それを楽しむように、僕はさらに頬を強く押す。
「ちゃんと」
にっこりと笑う。
「頭を下げて」
「……!」
「ほら、ほら」
頬を離し、
指で床を示す。
「土下座とか、似合うと思うよ」
「……っ!」
歯を食いしばる音。
「……ふざ……けんな」
小さく、震える声。
でも。
それでも。
膝が、床につく。
「……っ」
手が、床につく。
「お……お願い……します……」
頭が、下がる。
床に水滴がポタリと、落ちる。
僕はベッドに座り、静かにその様子を見下ろす。
――ひどい状態だ。
その姿は、かつての“太陽の戦乙女”のリーダーとは思えなかった。
無様で無様で、とても――愛らしい。
――でも
「やり直しだね。
服を着ているのは誠意に欠けるよ」
「……!?」
ビクッと身体を跳ねさせて顔を上げるアンジェラ。
「ほら。脱いで……全裸でやり直してよ。」
そう言って、僕は笑う。
アンジェラの顔が再び真っ赤に染まっていく。
泣き出す寸前のような表情で、視線が左右にウロウロと動く。
「う……うそよね?」
声音は震えている。
でも、聞こえなかったフリをする。
「脱がないんだったら、僕はパーティーには戻らないよ。
Bランクでも頑張ってね」
あっさりと告げる。
「い……いや……そんなの……」
彼女の顔を見るだけで考えていることが手に取るようにわかる。
他のメンバーの足を引っ張りたくない。
見捨てられたくない。
自分だけが置いて行かれたくない。
くくっ。
思わず笑ってしまう。
アンジェラの逃げ道は完全に塞がった。
「なら、早く脱ぎなよ」
再び促す。
彼女の表情は真っ赤で、混乱しきっていた。
さらに追い打ちをかけるように言葉を続ける。
「服を脱いで土下座したら、僕はパーティーに戻ってあげる。約束するよ。」
長い沈黙の後、アンジェラは絞り出すように言った。
「……わかった。
わかったから……」
服に手を掛け始める。
(やっぱり面白い。)
頭を下げるのを待ちながら、僕は楽しくなってきた。
僕はアンジェラが脱ぐ様子を見つめる。
アンジェラは震える手でシャツのボタンに手をかける。
一つずつ外していき、上着を脱ぐ。
同様にズボンもストンっと落とされる。
すらりと伸びた綺麗な足。
引き締まったお腹。
形の良い太もも。
布地が消えていくことで、アンジェラの白い柔肌が露わになっていく。
美しい身体だ。
最後に残ったのは、パンツとブラジャー。
羞恥のあまり、プルプルと子犬のように震えている。
その震えを押さえ込むように、両手を前でギュッと握っている。
「も……もうこれでいいでしょ?」
少しだけ息が上がっている。
表情も硬直気味だ。
「ううん。まだだよ」
笑みを浮かべて言う。
アンジェラは困惑した顔で見返す。
「全裸って言ったよね」
「そ、そんなの無理!」
「駄々こねないの」
優し気に告げると、アンジェラはビクッと身体を強ばらせる。
そして意を決した様子で――ブラジャーのホックに手をかけ始めた。
フロント部分を外して、ゆっくりと下ろしていく。
――ぱさりっ
女性らしい曲線を描く乳房が露わになっていく。
最後に残ったのは、小さな白色のパンツ。
アンジェラはそれを恥ずかしそうに見下ろす。
――ぱさりっ
パンツが地面に落ちた。
その音は静かな部屋内でひどく響き渡った。
「ほら、土下座」
改めて告げる。
アンジェラはそれに応じるように両手を地面につけた。
服を脱いだ状態での土下座。
僕はそれをじっと見つめる。
表情は引きつり、目元には涙が浮かんでいる。
ふふっ。
楽しい。本当に楽しい。
もっと見せてよ、もっと泣いてよ、もっと感じてよ。
アンジェラの全身から伝わってくる無様さが愛おしい。
彼女の尊厳を完全に破壊してしまう行為だけど、
僕にとってはそれが正義だと思えた。
自分の中の何かが解放されていくのを感じる。
ああ至福。これこそ真の喜び。
今までずっと我慢してきた報酬だ。
――ふふふふふ。
笑みが止まらない。
悪魔のように、人を貶めて喜ぶ”サディスト”のように。
心からの快感に打ち震える。
最高に気持ちが良い。
「……お願い……」
アンジェラの声が届いた。
頰を赤く染め、視線を地面に向けながら必死に言葉を紡ぐ。
「……お願い……します……パーティーに、
戻って来て……ください……」
服を脱ぎ捨て、両手をついて必死に謝っている。
深々と頭を下げて、土下座し続けてる。
ポタポタ、と大粒の雫が地面に水たまりを作っていく。
全身から伝わってくる羞恥心。
完全に敗北したという事実を突きつけられているのだろう。
憎い男の前で。
丸裸にさせられて。
屈辱的な姿勢で。
そんなアンジェラが愛おしくて仕方ない。
これ以上ないほどに可愛い。
彼女は、かつては、強いリーダーだった。
でも今は――ただの小娘だ。
ああ、そうだ。
君はただの小娘さ。
気高い戦士でもなくて、
名誉ある冒険者でもない。
ただの無力な一人の少女。
見せてよ。その無様な姿を。
僕にしっかり見せてよ。
その尊い姿を。
嗜虐的な笑みが自然と浮かび上がる。
「……っ」
アンジェラが何かを言おうとする。
だけど声が出てこないのか、口元を引き結ぶだけで何も言えない。
僕は静かに立ち上がった。
アンジェラが怯える視線を向けてくる。
ベッドから降りて、彼女の前まで近寄っていく。
そこで、僕は、ズボンに手をかける。
アンジェラを完全に屈服させるために――
こんなんシラフじゃ書けねぇですわ




