表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄されたので、王宮を出て制度を作り直します ~王国の財政を握っていたのは私でした~  作者: 月守いとは


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

55/95

第55話 切り捨ての波紋

 予測淘汰モデルは、順調だった。


 少なくとも、表面上は。


 失敗確率が高いと判定された団体は、

 資金制限対象となる。


 投資は集中し、

 短期安定は続く。


 だが、三都市のうち一つで、

 小さな報告が上がった。


「搬送遅延が発生しています」


 港湾管理局からの連絡。


 対象は、制限団体の一つ。


「資金不足により人員削減。

 下請け契約打ち切り」


 連鎖が起きていた。


 本来、制限対象は単独で閉じるはずだった。


 だが、現実は違う。


 その団体は、

 小規模だが複数の物流網を支えていた。


 制限 → 縮小 → 遅延 → 別団体の損失。


「予測外ですか」


 エリシアが問う。


 カイは、資料を確認する。


「誤差の範囲内です」


 声は落ち着いている。


「局所的影響です」


「局所が複数になれば?」


「モデルは修正可能です」


 冷静だ。


 だが。


 翌日。


 別の都市で、

 制限団体の破綻が発表された。


 規模は小さい。


 だが、従業員三十名が職を失った。


 市場は一瞬揺れ、

 すぐに安定した。


 数字上は、問題ない。


 だが、記録板には新しい履歴が並ぶ。


『連鎖遅延発生』

『下請け契約解消』

『従業員解雇』


 公開は、すべてを残す。


 王宮。


「世論が割れています」


 側近が報告する。


「効率支持派は“必要な淘汰”と」


「反対派は“冷酷な切り捨て”と」


 レオンハルトは、静かに目を閉じる。


 再挑戦基金は動いている。


 だが、全てを救えない。


 ハルフェン。


 リリアが、記録板を見つめていた。


「……あの団体、知り合いです」


 小さな声。


「真面目な人でした」


 エリシアは、何も言わない。


 公開は中立だ。


 だが、現実は中立ではない。


「カイの理論は正しい」


 リリアは言う。


「でも、早すぎる」


 その言葉が、核心だった。


 夜。


 エリシアは、机に向かう。


 数字を並べる。


 連鎖率。

 影響範囲。

 回復速度。


 見えてくる。


 問題は淘汰ではない。


 **淘汰の速度**だ。


 制限から破綻までが、短すぎる。


 回復の時間が、

 制度に組み込まれていない。


 白紙に、大きく書く。


『時間係数』


 失敗は残す。

 淘汰も否定しない。


 だが、速度を制御できないか。


 窓の外、港は静かだ。


 だが、水面下では、

 波紋が広がっている。


 第4章は、転換点に入った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ