四節 宣告されました
《はぁ~。何か倒れてばっかりだな》
心の中で溜息をしている俺は、恒例になりつつあるベッド安静状態になっていた。
【完全開放はそれだけ負担が大きいということだ】
あらかじめ聞いてはいたが、これは想像以上だった。
今までは体を起こすぐらいはわけなかったが、今は全く動かせない。
「失礼しま~す」
いつもの語尾のばしでクリスが入ってきた。
「元気……ではないですね」
「ああ、見ての通りだよ」
そんな身動きできないことはおかまいなしにクリスは側の椅子に座った。
「で、いろいろと報告がありまして」
《ほんとマイペースだな》
「カミシアさんは意識が戻って戦闘訓練再開してるので心配ありません」
俺の冷たい視線を無視?いや、気づくことなくクリスは続ける。
「あと、一郎さんの体についてもありまして」
「体?どこか悪いの?」
「まあ筋肉繊維はボロボロですけれど、それじゃなくてですね」
《いやいや、ボロボロはまずいでしょ》
「ある異物が発見されたんです」
心のツッコミは華麗にスルーされる。
「異物って、大丈夫なの?」
「う~ん、何とも言えないですね。今の所は異常はないようですけれど」
クリスの顔はあっけらんかんとしていた。
「胸の辺り、まるで血脈みたいに枝状のものが広がっているんです」
「そんなものあって大丈夫なのか?」
俺は不安になって訊く。
「マナのエレルギー値はハンパなく高いですけれど、さっきも言ったように体には問題なさそうですよ」
【この小心者】
情けないと言いたげな感じでリベラルに嫌味を言われました。
《誰かさんが何も説明してくれませんので》
俺も負けじと嫌味で返してやった。
【男なら小さいことは気にしないものだ】
《うんうん、そうだよな。小さいことは気にしない、って!小さくねえよ!》
精霊相手にノリツッコミしてしまう。
《それで、あんたの仕業で間違いないよね》
【失礼な。私にしか出来ないことだ】
《堂々と自白してきたよ》
【あの鎧を身に纏う為には生命エレルギーをマナと融合させる必要があるからな】
急にもっともらしい説明が入ってきた。
【心配するな。死なない程度のエネルギーしか使っていない】
《そういう問題じゃねえよ》
思わずキレ芸のようなツッコミを入れてしまう。
【ただ、完全開放は危険だ】
《この様だからな》
【これはまだマシだ】
《そうなの?》
【まだ不十分な状態だったからな。本来なら命の危険を伴う技だ】
その一言に背筋がゾクッとした。
「一郎さん?」
クリスが心配した顔で俺の様子を見ている。
「ああ、悪い。ごめん、一人にしてくれるか」
「わかりました」
俺のいつもと違う感じにクリスは素直に従って部屋を出て行った。
【一郎。あの技だけではなく、もう一度覚悟を決めろ】
リベラルは一言残して気配を消した。
「マジか~」
俺は突然の宣告を受け止め切れず、ゆっくりと瞼を閉じる。
「どうすりゃいいんだよ……」




