五節 覚悟を決めました
「てりゃー」
清々しい晴天の下、俺はリハビリも兼ねた素振りをしていた。
「は!は!は!」
自分が思い浮かぶ迷いを断ち切るように声を張り上げる。
「せいりゃ~」
決めの打突を打ち込み用の人形に打ち込む。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
息を切らしながら近くの階段に座り込んだ。
「今日は気合が入っているな」
すっかり復活したカミシアが声をかけてきた。
「まあな」
つい苛立ちが声に出てしまう。
「まあいい。体は調子良さそうだ」
カミシアはあえて何も訊かないという感じで続けた。
「それで力のコントロールはどうなんだ」
「ぼちぼちだよ」
俺はリベラルからの宣告を上手く処理出来ず、怪我が治っても鎧を着れずにいた。
「どうだ、久しぶりにやるか?」
カミシアは腕まくりをして笑ってみせる。
「一郎さん探しましたよ」
俺が返事をしようとした瞬間、クリスがやってきた。
「カミシアさんもいたんですね。ちょうどいい、二人とも来て下さい」
「どうかしたのか?」
カミシアがクリスに問いかける。
「白騎士の改良テストに付き合ってほしくて」
俺の中にある苦い記憶が蘇る。
「いいじゃないか一郎。借りは早く返すべきだ」
「キーア様」
いつのまにか側に来ていたキーアにカミシアは軽く頭を下げた。
「まあな……」
歯切れの悪い俺にカミシアたちは微妙な顔をしている。
「とりあえず修行場まで行きましょうか」
たまらずクリスが号令を掛けた。
「一郎さん。準備は大丈夫ですか?」
白騎士のメンテナンスを終えたクリスがスピーカーを通して言ってくる。
俺は白騎士を目の前にしても迷っていた。
「一郎様。よろしいですか?」
白騎士も確認をしてきた。
《ああ~もう!面倒くさい!》
いくら考えても結論が出ない思考に自分の中で何かが決壊する。
「神器一体、着装!」
掛け声に応じていつもの閃光が迸る。
【いいのか?命は保障できないぞ】
久しぶりにリベラルが言葉を発してきた。
《覚悟なんてわかんねえよ。でも、俺にやれることはやるって決めた》
【そうか。なら共に行こう】
何かリベラルと本当の意味で一つになれた気がした。
「こうなりゃ、とことんやってやる」
人間は開き直ったら気合いが急浮上するらしい。
「すごい。以前のデータを遥かに越えています」
モニタールームで一郎のデータを計測していたクリスが思わず驚きの声を漏らした。
「おい」
「ああ。すみません」
キーアに言われ気を取り直したクリスの号令が掛かる。
「では、戦闘開始!」
「せいやー」
俺のリベンジはものの数秒で果たされた。
「いや、参りました」
仰向けになって俺を見つめている白騎士が降参という感じで言ってくる。
真の力を取り戻した俺は、片手で白騎士を倒すことが出来た。
「ご、ご苦労さまでした」
あっけに取られていたクリスが慌てて終了を告げる。
【一郎、よく覚悟を決めてくれた】
《よせよ。気持ち悪い》
俺は、めずらしく褒めてきたきたリベラルに照れ隠しで応えた。




