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春を告げる花が開く様にぱっちりと目を醒ました碧い髪の精霊は、弱り切った聖女の姿を見てこれはいけない、と聖女の守護精霊となった。
聖女が完全な菜食となるのは土地の魔素の澱みを流す前後10日程の筈。
何故、こんなにも聖女が弱り切っているのかと聖女の目を通して2000年ぶりの世界を観察した。
聖女は先代から指名を受けた存在ではない為に民衆の望む様なパフォーマンスは出来なかった。
しかし、確実に後世に遺す事の出来る技術を人々に託しながら巡礼の旅を続けている。
聖女を迎え入れた土地は、劇的な変化を望み、聖力の向上の為に常に菜食主義である事を強いた。
動物性タンパク質を摂取しなければ、人間は容易く弱る。
ウンディーネ、と名付けられた精霊は聖女の生命を護る為に聖女の肉体を人間族のそれからエルフ族や精霊に近い肉体へと造り変える事を決めた。
聖女が土地を巡る度、かつて世界から姿を消した精霊達が再誕した。
ウンディーネに続く様に、サラマンダー、シルフィード、グノーシスが聖女の守護精霊となった時、精霊達は今代の聖女が自分達の王となる素質を持っている事に気が付いた。
2000年を経て、精霊の王が人として誕生したのだと精霊達は気付き、その事実こそ贖罪の達成であると認識した。
その一方で指名を受けたにも関わらず、聖女の指名を拒んだ姉に対して精霊達は怒りを覚えた。
聖女が復讐を望まない、穏やかな性質である事で精霊達が姉と伯爵家に齎したのはささやかな嫌がらせである。
本来、聖女となった娘が嫁ぐ筈だった伯爵家で我が物顔をしている白い結婚の間柄である姉の元に、赤子を4度授けた。
白い結婚である事は夫であるリィンハルト伯爵も、伯爵家の人間も良く知るところであり、「誰の子供であるのか?」と強く姉を詰った。
生まれた赤子は都度魔力測定を受けた。
魔力測定によって、親子関係を立証する為である。
結果、赤子は間違いなく2人の子供であると言う診断を受けた。
寝所を共にしたのは婚礼の日、ただ一度きり。
伯爵領に滅多と帰らないリィンハルトや伯爵家の人間は混乱した。
聖女の姉はそのテの知識に疎く、一度でも寝所を共にすれば子供に恵まれるのだと喜んだ。
生まれた赤子達が皆、両親のどちらにも似ておらず、ウンディーネ達の分御霊である事に姉と伯爵家の人間達が気付く事は無く、ただ混乱だけが続くのだった。




