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「……戻ってきた! あの真っ黒な帆が見えるわ! お父さんの、私たちの『華翊商会』の船よ!」


臨安の港、水平線の彼方に懐かしい船影を捉えた瞬間、私は思わず手にしていた筆を投げ出し、桟橋へと駆け出しました。


凱旋の潮騒、天導てんどうの奇跡。


お嬢の独り言

「……高麗への航海は甘くはなかった。

数日前、天が激しく荒れ狂い、高波が船底を叩き、あわや転覆かという絶体絶命の危機があったと聞き及んでいるけれど。

そこで動いたのが、公孫勝様のお弟子さんたちだったのね」


荒れ狂う嵐の中、弟子たちが甲板に立ち、印を結んで天を仰いだ。

その瞬間、船の周りだけが不思議な光の膜に包まれ、逆巻く波がまるでおとなしい獣のように道を空けたのだといいます。


お嬢の独り言

「……道術の加護。

それは、おじさんの『不屈の魂』と、羅真人らしんじん様から授かった『天の宿命』が共鳴した証。

海さえもその歩みを止めることはできなかったのよ。

桟橋に船が着いた瞬間、真っ先に飛び降りてきたのは、やっぱりあのおじさん。


潮風に晒されて以前より一段と真っ黒に焼け、けれどその瞳は、高麗の山々を映したように深く、鋭く輝いているわ。


『お嬢! ただいま戻ったぜ。約束通り、高麗の宝と、最高の土産話をたっぷり積んできたからな!』」


おじさんは、私の頭を乱暴に撫で回し、豪快に笑い飛ばしました。

その大きな手の温もりこそが、私にとっては何よりの「加護」でした。


お嬢の独り言

「……さあ、おじさん。

最高級の高麗人参を解いて、公孫勝様も、みんな呼んで大宴会よ!

燕青の娘として、私はこの『生還の軌跡』を、商会の歴史に金文字で刻み込むわ。


無準師範様が日ノ本へ繋いだ光、高麗の武人たちが認めた義、そして嵐を越えた天の助け。

私たちの伝説は、今、最高に熱い幕を開けたのよ!」

ようちゃんは、おじさんに飛びついて泣き笑いし、美林びりん様も、無事な帰還に深く感謝の祈りを捧げておいででした。

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